殉狂者(下)

#セクトブギウギ


▼殉狂者(下) / 馳星周(Kindle版)

馳星周殉狂者下巻のレビュー。
過去と現在が混在するスタイルはそのままだが、下巻はどちらかと言えば
現在の方が修羅場になる。過去と現在が繋がったところで、全ての謎が解
明される、という構成なのだけど・・・。

正直、ミステリーとしての深さはほぼ無い。上巻を読んで想像した通りの
展開であり、謎解きは容易。今回は珍しくディテールまで含めた全ての謎
が想像通りであり、少しだけ食い足らなかったかもしれない。

しかし、「スペインの過激派組織の過去と現在」という、ちょっと想像す
るのが難しいテーマを取り上げるセンスはさすがに馳星周。ここに日本人
運動家を絡め、現代とリンクさせる、というアイデアはさすがで、なんと
なく謎が解明した段階でもハラハラした感じで読めた。

馳星周のリアリティの鋭さは他の追随を許さない氏独自のモノ。この世界
にハマってしまうと、ある意味で泥沼な気が(^^;)。すっかりズブズブ
ちょっと怖くなってきたけど(^^;)。