暗手

#八百長野郎!


▼暗手 / 馳星周(Kindle版)

こないだ読んだ「夜光虫」の刺激が収まらず、続編を購入。馳星周強化月間
は終わる気配を見せず(^^;)。まぁ、退屈しなくていいのだけど。

続編とは言いつつも、夜光虫からなんと19年ものブランクを空けてリリース
された作品。最近文庫になったので、単行本の発売からも3年が経過している
計算になる。

前作ラストで「殺し屋」に変貌した加倉。整形で顔も変え、台湾や中国では
“悪霊”の二つ名が。そんな加倉の現在地はなんとイタリア・ミラノ。殺しは
封印し、今度は野球ではなく、欧州各国の国技とされるサッカー賭博で生計
を立てている。現在の異名、それがタイトルの「暗手」
そんな加倉に、セリエAで活躍する日本人ゴールキーパー八百長をさせろ
という依頼が。動き出した加倉だが・・・という内容。

前作は紛うこと無きノワールな上に、新人らしいワイルド荒削りな文体が
迫力を出していたのだが、今作はやはり趣が違う。今の馳星周は直木賞も取
った超一流の作家であり、勢いに任せる必要が全く無い。状況が良く理解で
きる的確な構成と、渋さ漂うカッコイイ文章は、前作よりも確実に読ませて
くれる作品

今後の展開をバシバシ予感させるラストだが、果たして続編はいつになるの
か、今から楽しみ。さすがに次は19年も間を空けないと思うので。