#AC Cable Line
▼C線上のアリア / 湊かなえ(Kindle版)
湊かなえの新作。
amazonの煽り文には「介護ミステリ」の記述があり、帯には衝撃的な一文が。
元祖である湊かなえが、久々にクソヤバいイヤミスを書いたのか、と期待したの
だが・・・。
・・・間違い無く「介護ミステリ」ではあった。
しかし、肝心の「介護」の部分の描写はそれほど陰惨なモノではなく、どちらか
と言えば軽めだった気がする。コレとほぼセット、と思える「認知症」に関する
描写もあるのだが、コチラはラストに繋がる伏線として機能。であるが故に、正
直リアリティに乏しい作品になってしまっている気がする。
代わりに、よくありそうな嫁姑問題に関しては実にリアル。幾つかの家族のこじ
れた様子があまりに丁寧に描かれており、その辺りの満足度はけして低く無い。
言ってしまえば、それがあったおかげで最後まで読めたんだ、と思う。
ここまで書いたことで解ると思うが、この作品はちょっと僕には刺さらなかった。
というのも、前出の「認知症」の他に、「金庫」「ノルウェイの森」「命の水」、
そして「延長コード」などの関連性の低いアイテムが伏線として登場し、最終的
に一本の線で繋がる、というミステリーらしい構成なのだが、『介護』をテーマ
としたある意味で“重い”作品だと思っていただけに、その諸々が単なる伏線であ
った、という結果に肩透かしを喰らった気分。ちょっと残念だった。
デビュー作から一貫して読んでいる湊かなえ作品だが、イヤミス一辺倒だった頃
に比べて文章力・構成力が格段に上がっていることは間違い無い。しかし、その
おかげで“好きな作品”と“あまり好みではない作品”が出て来てしまうのは、もう
しょうがないのかなぁ、とも思う。今回は刺さらなかったけど、やっぱり次作に
は期待。次もどうなるのか、ちょっとドキドキするけど。