家族写真

▼家族写真 / 荻原浩(Kindle版)

荻原浩テーマ短編集
いわゆるファミリー系のエピソードが7篇収録されているのだが、殆どの篇で
主役を張っているのが定年間近のオヤジ世代。若い頃はそれなりに夢があった
ものの、今ではしがないサラリーマン、ITの進化に付いて行けず、嫁に早くに
先立たれる、という共通項。さらに全員が、体重に関して悩みを抱えている
というところまで同じ(^^;)。

例えば10年前にコレを読んでいたら、おそらく全く響かなかったハズ(^^;)。
ただ、現在の僕はここに描かれているオヤジたちと年代的には全く変わらず、
なんかもう共感度が半端ない感じ(^^;)。娘が居るワケでも無いのに、嫁に行
く娘のことを思って涙してしまうのだから、僕もかなり年をとった(^^;)。

ただ僕の場合、下手すれば彼らよりもずっと下層を歩いてるんだよなぁ・・・。
だから、こういう幸せは間違い無く手にできないワケで、そのあたりがちょ
っと腹立たしくもある。

氏の作品としてはややおとなしめだが、同年代をウルっとさせる人物描写
やっぱり名人芸。難点を無理に挙げるのなら、表題作「家族写真」がちょっ
とだけ食い足りない気が。かなり良い話なので、出来れば長編にリライトし
てくれると非常に嬉しい。

いわゆる昭和テイストの好きな人は是非!
・・・ちょっと運動しないとダメかな、僕も。波平5つしか変わらないし。

GOLDEN★LOVERS

新日本プロレスと米ROHの合同興行「HONOR RISING:JAPAN 2018」にて、
飯伏幸太&ケニー・オメガのタッグチーム、ゴールデン★ラヴァーズが遂に復活。

飯伏が心と身体を病み、その間に新日本のエースの一角にまで上り詰めたケニー。
今の飯伏は新日本の所属では無く、かつてのライバル・ケニーとの立場は逆転。
日本プロレス界の「宝」とも言える飯伏がもう一度輝くためには、ここでGLの
復活が必要、と判断されたためであろう。


過去を振り返ってみても、飯伏&ケニーほど魅力に溢れるタッグチームは数える
ほどしか存在していない。パッと思いつくのは猪木&馬場BI砲ハンセン&ブ
ロディ超獣コンビ天龍&阿修羅龍原砲くらいなもので、GLはその3チーム
よりも今後の期待値は高いと思う。

飯伏が本当にトップに立つには、ヘビー級のタイトル獲得が急務。まずはGLで
IWGPタッグ、年内にはIWGPヘビーのベルトを巻いた飯伏の姿が観たいところ。
天才、遅ればせながら走り出す。おそらく今年の新日は、飯伏を中心に進む!
・・・と予想しとこう!

Loco Solare

・・・最初は、奇跡ってあるんだなぁ、と思った。
平昌五輪・カーリング女子日本代表は、3位決定戦英国銅メダルを争った。
ディフェンスのキツい相手に果敢に攻め込んだものの、今ひとつ決め手に欠け
ていた日本は、第10エンド・最後のスローで名手・藤澤が痛恨とも言えるミス。
しかし・・・。

英国の放ったラストスローは思わぬ方向に滑り、はじかれた日本の黄色いスト
ーンがサークル中央部分へ。「No.1」。ここ数日ですっかり耳に馴染んだ位置
を確保したのは、日本女子の石だった。

良く考えれば、奇跡でもなんでもない
リードされながらも攻めに攻める姿勢を崩さないのは男女代表共に一貫していた。
必死の攻めが相手にプレッシャーをかけ、見事にミスを誘っただけのこと。長い
時間をかけて、日本が遂に世界第三位の位置まで駆け上がった。

カーリング女子日本代表・LS北見のメンバーは、皆良い意味で「普通」に見え
る。はじけるような笑顔北海道弁に癒やされた日本人はたくさん居ると思う
けど、ここに至るまでには相当な苦労があった筈。あの瞬間、おそらく代表メ
ンバーよりも先に僕は泣いた。あっという間に感極まってしまったのだから。

日本はこの五輪で多数のメダルを獲得したのだが、最後に獲ったカーリングの
「銅」は、僕の中では最高の価値。彼女らと同じ国に生まれたことを、誇りに
思います。最高のカタルシスを、ありがとう。心より感謝します!

“レヴェルが違う!”生き残り術

▼To Be The 外道”レヴェルが違う!”生き残り術 / 外道

・・・最近何故かプロレス関係の書籍ばっかり読んでる気がするのだが(^^;)。
プロレスリングマスターこと外道自伝。最近ではプロレスラーと言うよりも、
レインメーカーことオカダ・カズチカプレイングマネージャーとしての活動
の方がやたら目立っているのだが、すれっからしのプロレスファンからすると
間違い無く「出来るヤツ」。いわゆる“いぶし銀系”職人の半生記である。

日本のプロレス界にまだ“インディ”という概念が無い頃にプロレスラーを志し、
そのインディの創世記の頃から活動を開始した外道。僕は彼の国内デビューの
頃からその存在を認識しており、あまりにも波瀾万丈キャリアを端から理解
している。だから、読む前から「まぁ、おもしれぇだろうなぁ」とは予想して
いたのだが、これがまぁ、面白かった(^^;)。

やっぱりFMW・ユニバーサル・W★INGあたりの話がやたら懐かしいのと、
「らしさ」がいちばん発揮された冬木軍の頃のエピソードの深さに思わず唸る。
今もマイクパフォーマンスの上手さには定評のある選手なのだが、そういう人
は媒体が“文章”になってもやっぱり面白い。新日本プロレスというメジャーな
団体で要職に就く、というのは、やっぱりそれなりのモノがあるんだと思う。

まぁ、こないだの鈴木みのるの本と同様、コレもプロレスラーになりたい人
絶対に読むべき本。更に、選手じゃなくともプロレス業界での仕事に興味のあ
る人にも効果絶大。もちろんプロレスファンなら掛け値無しで楽しめる。
そして関係の無い一般の人にもちょっと読んで欲しい。もしかしたら「仕事」
厳しさが認識出来るかもしれないので。

PRIDE

▼プライド / 金子達仁(Kindle版)

著者は金子達仁
この名前になんとなく覚えがあり、著作を調べてみたら、高田延彦「暴露本」
として話題になった「泣き虫」の作者。作風とか文体以前に、あの本には正直
悪印象しか無く、最初は普通にパスしようと思っていたのだが、どういうワケ
かKindle版が648円。ちょうど読む本がなかったので、取り敢えず買ってしま
った。もしかしたらまたイヤな気分になるかもしれないのを覚悟して・・・。

・・・ちょっと驚いた
サイドストーリーの類いを悉くそぎ落とし、我々にとってリアルに「悪夢の日」
となった1997年10月11日にだけフォーカスした構成、そこにまつわる関係者
たちへの的を得た取材。ノンフィクションとしては異色な作り方であるにも関
わらず、グイグイ読ませる。金子達仁、実は凄いライターだった。

この本の主役である3名(高田延彦・榊原信行・ヒクソングレイシー)に、今や
正であれ負であれ、思い入れのある人物は1人も居ない(高田に対しては複雑な
んだけど・・・)。あれからかなりの年月が経ち、僕もいろいろな事にをするこ
とが出来るようになった。嫌悪感を抱いていた“あの本”の中身をとうの昔に忘れ
ていたことも、逆に良かったのかもしれない。

そして冒頭、かなり大事な部分でいきなり登場した広島カープ捕手(当時)・
西山秀二のコメントが大胆に使用されていることにビックリ。この意外過ぎる
導入部分の効果は絶大で、もしココが無かったら最後まで読まなかったかもし
れない。日本の総合格闘技のエポックとなった「あの日」を構成したエピソー
ドの中に、西山さんが居たという事実。個人的に驚愕なんですよ、コレ。

とにかく、筋がビシっと通ったすばらしいノンフィクション作品
同じ系統のテーマを扱った作品が出るのなら、また読んでみたいと思う。
・・・まぁ、「あの日」を思い出すのはもう本当にイヤなんだけど(^^;)。