サカナとヤクザ

▼サカナとヤクザ / 鈴木智彦(Kindle版)

完全なる「タイトル買い」
サブタイトル『暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』。コレに
興味を持たないサカナ好きは探す方が難しい。

登場する魚介類はアワビ・ナマコ・イワシ・ウニ・カニ、そしてウナギ
ナマコにはあまり興味は無い(^^;)のだが、他のモノは全て僕の「好物」
としてリストアップされるモノ。この本によると、だが、結論から言え
ば、上に挙げた全ての魚介類は「密漁」が無ければ市場に並ばない、も
しくは並ばなかったアイテムである。

いやぁ、凄い
確かに絶滅危惧種に指定されたウナギが、未だにすき家なか卯のメニ
ューにあることにちょっと引っかかる点はあったのだが、まさかこうい
う絡繰りで闇流通してるとは・・・。そういう、腑に落ちる部分が多々ある、
すばらしいノンフィクション作品だと思う。

いちばん印象に残ったのは、やっぱり北海道・根室方面の密漁の歴史
「ハロー!張りネズミ」でお馴染みの「レポ船」の実態が詳細に描かれ
ている。特に、旧ソ連巡視艇から特攻船と呼ばれる密漁ボートが逃げ
る部分の解説は正に迫真。著者の取材力は半端ではない。

ちなみに鈴木智彦とは、伝説のヤクザ専門誌「実話時代BULL」の編集長
を勤めた、その筋では有名なライター。この取材姿勢、全てのライター
は本当に見習うべき

久々のノンフィクション長編だったけど、殊の外満足。
ジャンル云々の前に、読み物として非常に面白いです。オススメ!