#怖いはなし
お久しぶりの新津きよみ作品。
もちろん、やたらに怖いタイトルと表紙デザインに惹かれて購入。しかし、世
に数多居る夫の一人としては、やや身につまされるタイトルではある(^^;)。
いわゆるテーマ短編集。
全7篇から成る各話に共通しているのは、「殺したいくらい邪魔なヤツがそば
に居る」人たちが主人公になっていること。もちろんおおよそがワケアリ(^^;)
で、その「邪魔なヤツ」は、おいそれと別れたり離れたりすることが難しい人
が対象。にっちもさっちも行かない究極のシチュエーションに陥った時、人は
どうするのか?という内容。
この作家の心情描写能力と叙述トリックの腕前は以前から認めているのだが、
こちらの短編集はその能力がピークにある、と感じさせてくれる作品。オカル
トの要素は全く無いのだが、読後感はミステリーと言うよりもホラー。極上の
オトナ向けの怖いはなし、と評価する。
残念なのは、これまたいつものように「オチを読者に委ねる」系の作品である
こと。個人的には生殺しにあった気分なのだが、オチを考えることで薄気味悪
さが倍増している、というのは認めざるを得ない。結果的に大成功なんだろう
なぁ、コレ。