▼硝子の太陽 ルージュ / 誉田哲也
2冊同時発売の「硝子の太陽」、“Rouge(ルージュ)”を読了。
・・・いやぁ、凄かった。誉田哲也の真骨頂を改めて思い知らされた気がする。
ルージュ編はみんな大好きストロベリーナイトシリーズの最新作。
前作・インデックスを経て捜査一課に復帰した我らがダークエンジェル、
姫川玲子の活躍がかなりのボリュームで楽しめる力作である。
・・・と言いながら、姫川女史もかなりお年をめした感が(^^;)。
若くして警部補となり、自らの班を率いているのは昔と一緒だが、あれから
かなり時が経っているにもかかわらず、階級は警部補のママ。かつての恋の
相手だった菊田も同格の主任となり、同じ立場で同じチームに居る、という、
ちょっと複雑な人間関係がやや切ない。それでも、魅力いっぱいなのは変わ
らないのだけど(^^;)。
今回のストーリーも当然ドロドロしているのだが、いつもと若干状況が違う。
もちろんネタは“殺し”、つまりいつも通りの“殺人事件”なのだが、この事件が
かなりの国際問題系。このシリーズで起こる事件は陰惨で残酷なモノが多いの
だが、今回はソレに社会性が加わっており、全体の凄まじさは倍増。こういう
展開で作品を構築してしまったら、今後は大丈夫なのかちょっと気になる程。
老婆心も甚だしいのだが。
そして、コラボ企画はやっぱり後から読む方が楽しめる。
既にノワールを読んでいるから、東警部や陣内がどういうタイミングで登場し
てくるのかが解っているのにワクワクする。その際の心情描写がルージュ側の
キャストに偏らせてあるのも憎い。この感覚が楽しみたくて、思わずノワール
のコラボ場面だけ読み返してしまった。
そしてラストはキッチリ今後への惹きを暗示。ストロベリーナイトシリーズの
中でも屈指の傑作だと思います、マジで。姫川ファンはもちろん、気合いの入
った警察小説マニアは絶対に読むべき。出来ればNoir & Rouge、2冊セットで。