夜夢

▼夜夢 / 柴田よしき(Kindle版)

札幌出張時、羽田空港でオンラインチョイスしたホラー短編集。
行き帰りの行程と滞在中の夜だけで読破。今回の旅にはKindle PWを持って
いかなかったので、全てをiPad版Kindleで読み切った。最近では珍しい。

柴田よしきという作家は当然。語り部が随時変わる形式のホラー全9話
それぞれが独特の語り口で「怖い話」を語るため、同じ作家が書いたとは思え
ないくらいバラエティに富んでいる。ちょっと悪い言い方をするのなら、
“まとまりが無い”と言えなくも無いのだが、どうやら各所で別々に発表された
作品集、とのこと。ソレを考慮すれば、強引だがまとまっている、と評価して
もいいのかもしれないが・・・。

印象に残ったのは「つぶつぶ」
整然と並んだもの、例えばイチゴのつぶつぶ等に恐怖を感じる女性の話だが、
その偏執的な性格がとんでもない方向に発展して行く様はなかなか見事。
ただ、どちらかと言うとホラーの範疇からは若干外れているかもしれない。
そのあたり、少し残念(^^;)。

サックリ読める短編集で、一篇々々はそれなりにレベルが高い。各話に男女
の危ういストーリーを絡めるなどの共通点もあるのだが、やはり“一冊”とし
てのまとまりに難があるため、読む人によってはちょっとばかり喰いたりな
さを感じるかもしれない。

いわゆる長編を読んだらもう少し印象が良くなる気がするのだが・・・。
何かの機会があれば別の作品を読んでみようかな?