ナベちゃんのヨメ

▼ナベちゃんのヨメ / 辻村深月(Kindle版)

辻村深月シングルがもう一冊出ていたので、こちらもダウンロード。
Kindle SingleはだいたいUnlimited対象なので、こういう時に得した気分。
さてこの作品は、というと・・・。

「パッとしない子」同様、毒気の強いタイプの作品。
テイストは若干おとなしめで、読中感は「自分の非をやんわり窘められて
いる」感じ。しかし、読後に感じる居たたまれなさは全く同じなのが凄い。

友だちだと思っていた人が、ある日自然とそうではなくなる瞬間が、恐ろ
しいまでにリアルに描かれる。現実の人間関係もきっとコレと同じような
行程で起こるんだろうなぁ、と思うと、やっぱり少しやるせなくなる・・・。

自分でも気付いているのだが、僕には殆ど友だちが居ない。
今となってはその状態が実は非常に居心地が良いのだけど、数十年前は
さすがにその状況を自己嫌悪していた。もしあの時期にコレを読んでい
たら、ちょっと自殺したりしちゃったかも(^^;)。

この作家の人間観察眼は本当に恐ろしい。しかし、それがあるから辻村
深月は面白いんだ、と思う。でも、こういう系統の作品が彼女の中心軸
ではない、ということだけはちゃんと言っとかないと誤解を生みそう(^^;)。
従って、氏のダークサイドを味わいたい人にはオススメです!