MY DAD IS A HEEL WRESTLER


「パパはわるものチャンピオン」
TOHOシネマズ錦糸町

いつものイクスピアリでは無いのは、上映される映画館が・・・少ないから(^^;)。
前評判どころか、公開が始まってからの評判もやたら良く、コレは大ヒットに
なるかも、と思っていたが、全般的な客入りはそれ程でも無かった模様。

近隣の映画館のスケジュールを調べてみたら、どこもほぼ1日1回上映。それ
も凄く早い時間が多い。錦糸町は12:30開始、これならなんとか、ということ
でチョイス。珍しく事前指定を押さえることなく足を運んだのだが・・・。

・・・いや、客入ってんじゃん、と(^^;)。
そこそこ大きなスクリーンでの上映なのに、少なめに見ても客席の半分は埋ま
っている。おそらく「まもなく上映終了」を感じ取ったプロレスファンが慌て
て観に来たと思う。なんつったって僕がそうなのだから(^^;)。そんな感じで
雰囲気は最高。さて、肝心の内容は・・・。

・・・すっごく良い映画です、コレ。
もちろん僕はキ印の付くプロレスファンだから、そもそも採点が甘くなるのは
間違い無いのだけど、ソレを割り引いて考えても心にグッと来る。

かつて団体のエースまで上り詰めながら、ケガで全てを失ったプロレスラーが、
お笑い担当の姑息な悪役覆面レスラーとしてリングにしがみつく。ここまで極
端では無いが、同じような境遇に置かれたプロレスラーが現実にいる。そう、
G1前棚橋弘至。その棚橋が主役を演じるのだから、リアリティが凄まじい。
現実とスクリーンの中の世界が、あやふやになる程だった。

自分の父親悪役プロレスラーだと知り、ショックを受け幻滅する息子
友だちに言い出せず、苦し紛れにウソをつき、周囲から孤立、学校に行けなく
なってしまう。このシーンを観て、僕は恐ろしい程の自責の念に苛まれた。

13歳以降の僕なら、ヒールでもジョバーでも、プロレスラーには敬意を表し
た筈だが、小学生の頃は確実に違った。猪木だった国際軍団・ラッシャー
木村のことは本当に憎んだし、もし街で会ったら罵声を浴びせていたかもしれ
ない。木村さんにも息子さんが居る筈だが、あの頃、彼のような思いをしてい
たのでは無いか?と思うと、もう申し訳無いどころの話では無い。だから大人
になった今、僕はあらゆるところでラッシャー木村のすばらしさを語っている。
なんのことはない、自分勝手な「贖罪」なのだが。

そういう部分も含め、このたった2時間の映画にはプロレスの・・・いや「仕事」
辛さ苦しさ、そしてすばらしさが全て入っている。だから、この映画が
まもなく上映打ち切りになるのが本当に悔しい。この映画を観た人なら、き
っとプロレスを好きになってくれるのに・・・。

ちょっと遅いかもしれないけど、気になっている人はすぐに映画館へ。
プロレス云々はこの際抜きにして、近年稀に見るヒューマンドラマの傑作
絶対に映画館の大きなスクリーンで観た方が良いよ、コレは。