臨床心理(上)

▼臨床心理(上) / 柚月裕子

柚月裕子デビュー作
まもなく著作全読破を達成しそうな勢いなのだが、このデビュー作とあと
1作品のみ電子書籍化されていない出版社はやっぱり宝島(^^;)。イメー
ジ的にはいちばん電子に理解あありそうな出版社なのに、何故こうも頑な
に電子書籍化しないのか、ちょっと不思議。

まぁそういうのはともかくとして、こちらは第7回「このミステリーが凄い」
受賞作品にして、柚月裕子の最初の作品、言わば原点。誰よりも男前な女流
作家のルーツはどんなものか?と言う興味から読み始めたのだが・・・。

まず、「臨床心理士」というある種謎の職業に着目したところに感心。
そういう職業が存在することはなんとなく知っていたのだが、それが具体的
にどういう業務を行うのかが解っただけで大きな収穫。そしてデビュー作か
ら他の作家がなかなか踏み込もうとしない領域に手を付けるあたりは彼女の
真骨頂。さすが、である。

ただ、後の「孤狼の血」「盤上の向日葵」の読後に感じた「妙な清涼感」
は今のところ特に感じない。描かれている世界は一貫して超不条理、という
ことを考えると、以降で格段に筆力が向上したのではないか、と思われる。
そういう意味で、アーリー柚月裕子を体験しておくのは、今後出る新作の為
にも良かったんじゃないか、と。

取り敢えず上巻を読み終わったのだが、この段階は本当に前段
雰囲気から考えると、もう嫌な予感(^^;)しかしないのだが、もう覚悟して
下巻に臨むしかない。そもそも、この束で上下巻にする必要無いと思うんだ
けどなぁ、マジで(^^;)。