#計数屋
Kindleのリコメンドに出てきた作品。五條瑛は当然初めて。
もちろん、刺激的なタイトルに惹かれて購入。僕の「タイトル買い」
は往々にして当たる場合が多いのだが、果たして今回は・・・。
舞台は八丁堀、従業員数3名の超零細調査会社に勤務する男が主人公。
下町の風情を残す街で気楽に働いていたのだが、ある日を境に八丁堀
に不穏な空気が。幾つか重なる偶然に不信感を持った主人公が、その
謎に迫って行く・・・という内容。
正直、導入部の展開の遅さに若干いらつきを感じたが、ストーリーが
展開し始めた瞬間に夢中になった。ここで起こる出来事は1件の殺人
とラストの大事件の他は取るに足らないモノばかりなのだが、それら
が連鎖していく様に静かだが確かな「凄まじさ」があり、次の展開が
気になって仕方無い。こういうミステリーもあるのか、とすら感じた。
まぁ、読み終わっても「計数屋」という仕事がどんなモノなのかイマ
イチよく解らない(^^;)し、ラストのあっさりした雰囲気も食い足りな
い感はあるのだが、個人的に思い入れのある八丁堀という街の風景描
写の絶妙さで相殺。事件の起こる場面にイチイチピンと来るのが嬉し
かった。
小難しさはあるし、文章量も大したモノなので手を出しづらい作品で
はあると思うのだが、心理学系の作品に興味のある人なら刺さりそう。
本格ミステリーが好きな人もぜひ!