#ノワール短編
Kindle Unlimitedでまだ読んでいなかった馳星周作品。
特に何も考えずにチョイスしたのだが、なんとこれが氏には珍しい短編集。
ちょっと面食らいましたよ、ええ。
改めて。
全6篇からなる短編集。主役の殆どは日本で暮らすワケアリのアジア系外
国人かその関係者で、おおよそは違法滞在の中国人。野心を持って来日し
たにも関わらず、敢えなく夢は破れ、最悪の状況に陥る人たちの様子が、
バリエーション豊かに描かれている。
「不夜城」に代表される馳ノワールであることは間違い無いが、登場人物
のレベルが明らかに低い。他の作品に登場する中華系マフィアたちはある
意味で恐怖の象徴であったが、今作に出てくる人たちは全員がそこまで行
かない普通(?)の違法滞在者。もちろん馳作品だから、むごくてエグい
場面の多々ある物語なのだが、主軸は間違い無く【悲哀】。こういう方法
で描かれるノワールの方が、もしかしたらリアルなのかもしれない。
タイトルの「古惑仔」には、「チンピラ」というサブタイトルが付いてい
るのだが、正直この作品の登場人物たちは皆チンピラ以下の最下層な気が
する。彼らの様を読んで僕がいたたまれなくなるのは、同じく自分がチン
ピラ以下だからなのかなぁ・・・。ちょっと複雑。