走ろうぜ、マージ

#犬と暮らすということ


▼走ろうぜ、マージ / 馳星周(Kindle版)

続く馳星周強化月間、今回はノンフィクション
既にレビュー済みの「ソウルメイトII」の大元になった(であろう)実話で、
作者自身の綴る日記が一冊の本になっている。

犬好きで知られる馳星周が、最初に自分の犬として迎えたのが、バーニー
ズマウンテンドッグの雌・マージ。この犬種にしては珍しく10年以上生き
た彼女と、ボスである馳星周の最後の3ヶ月間が描かれている。

僕が馳氏をリスペクトせざるを得ないのが、「犬を飼う」人としての条件
最高級のレベルで満たしており、その上で心の底からの愛情を犬に注い
でいること。単純に大型犬を飼う、という行為だけでも、例えば予算的な
ハードルは相当高い。自由になるお金が潤沢にあり、ある程度時間が自由
に使え、犬のためになんでも出来る。そのくらいの位置に行かなければ、
犬を飼う資格は無いんじゃないか?と思わざるを得ない。

少なくとも、馳氏とマージが圧倒的なまでの信頼感で結ばれていたのは間
違い無い。マージは絶対に幸せだったし、その後も一貫して多数のバーニ
ーズの一生を見つめ続けている馳氏は本当に凄い人であり、憧れるべき人。
大型犬と共に暮らそう、と考えている人は、コレを読んでおくべきだ。

かなりネガティブな印象レビューになってしまったが、言いたいのはこの
作品が「犬と共に暮らすことの辛さ・厳しさ」、そして何よりも「喜び」
が伝わるすばらしいノンフィクションである、ということ。クライマック
スの生々しさには思わず目を背けてしまったが、あとがきまで含めて読了
出来、本当に良かったと思う。

幸せな犬が、無尽蔵に増えるといいなぁ・・・。

アンタッチャブル

#これまでにない公安モノ


▼アンタッチャブル / 馳星周(Kindle版)

エンドレス状態となっている馳星周強化月間
今回は幾つかの候補の中からしっかり紹介文を読み込み、雰囲気的にハー
ドだと思われる作品をチョイスしてみた。のだが!

主人公は警視庁捜査一課から左遷され、どうしたワケか公安に入る羽目に
なった刑事・宮澤。捜一から見ればある意味で敵対組織、公安にもちろん
宮澤を歓迎する気配は無く、「公安のお荷物」とされている椿とのコンビ
を余儀なくされる。ところがこの椿がとんでもない人物で・・・という内容。

他の作家の作品で公安を題材にした作品は多々読んでいるのだが、ここま
「笑い」に寄せた内容の作品は初めて。精神破綻している椿の言動が
まず面白いし、それに付き合わされて右往左往する宮澤の様子がソレに和
を掛けて面白い。ただ面白おかしいだけではなく、ちょっとゾッとする
うな真実や人間関係のもつれが絶妙に描写されており、ミステリーとして
の完成度もかなり高い。

さらに、この小説にはいわゆる「濡れ場」が多々。その表現が妙に艶めか
しい。馳星周、以前は官能小説の書き手だったらしく、そのテクニックに
も注目しておいた方が良い。

何よりもこういうアプローチの公安モノ、というのが新鮮で、最初から最
後までとにかく読ませてくれる。どうやら続編があるようなので、アンリ
ミテッド探索が終わったらすぐ読めるように買っておいた。

恐ろしくハマってるなぁ、馳星周・・・。

アルルカンと道化師

#倍返し


▼アルルカンと道化師 / 池井戸潤(Kindle版)

昨日大好評のうちに終了したTBSドラマ「半沢直樹」。前回同様、かなり
興奮させられた名作だったのだが、ほぼ同じタイミングで池井戸潤原作の
半沢直樹シリーズ第五弾を読了した。

前作「銀翼のイカロス」でほぼ行くところまで行ってしまった半沢。この
先は【銀行幹部物語】、ないしは【ROAD TO 頭取】的な物語を展開する
しかなくなった、と思っていたら、なんと時代は過去へタイムスリップ。
半沢が東京中央銀行・大阪西支店融資課長だった頃のエピソードであり、
敵役はこの後に半沢の倍返し敢行で奈落の底に叩き落とされることになる
浅野支店長。あと、小木曽(^^;)も出て来ます。

ロスジェネ辺りから仕事が大きくなり、なんとなく遠くへ行ってしまった
感の否めない半沢だっただけに、ここで過去エピソードで繋ぐ、というの
は非常に大胆な作戦。イカロスの時の「大手航空会社の再建」に比べれば、
等身大感情移入のし易い物語が展開される。

・・・結果、半沢シリーズの中でも屈指の作品となったかも。
池井戸センセイ、良い意味でドラマのテイストを最大限に生かし、主要登
場人物をドラマのキャストでほぼ当て書きしてるのが潔い。このシリーズ、
もしかしたら日本人がいちばん感情移入出来る小説な気がする。

既に半沢ロスを感じている僕だが、出来ればこの作品を早いところドラマ
にして欲しい。下町ロケットとかは、結構早かったんだけどなぁ、映像化

帰らずの海

#はるばる来たぜ・・・


▼帰らずの海 / 馳星周(Kindle版)

強化月間シーズン2、題して馳星周アンリミテッドの2本目。
今回は北海道・函館を舞台にした警察小説主人公を始めとした全ての
登場人物がワケアリ、という、馳星周ならではのノワール感の漂う作品。

ただ、これまで読んだアンダーワールド系と比較すると、ドロドロこそ
しているモノの、ややとっつきやすい人間ドラマが展開されている感。
かつて栄華を誇った地方都市陥りがちな状況も解りやすく描かれてい
る上に、あまりに根の深い恋愛小説の要素もある。読み応えはタップリ、
けして退屈しないタイプの良作、だと思う。

若干納得が行かないのは、今現在も「北海道第二の都市(※)」とされ
函館が、既に終わっている街のように描かれていること。3年前に初
めて行った函館は、贔屓目無しで観光都市としての勢いが失われている
とは思えなかった。夜の飲み屋街もそれなりに盛況だったし、海街とし
ての雰囲気も良好。機会があれば、もう一度行きたい街のベスト3に入
っているのだけど・・・。

ということで、函館出身の人以外(^^;)にオススメ。
馳星周作品、今のところハズレ一切無いです。すげぇな、やっぱり。

※人口だけで言うと【札幌・旭川・函館】の順番らしいです!

日本懐かし夏休み大全

#なつやすみのこども


▼日本懐かし夏休み大全

買いだめした「懐かしシリーズ」、取り敢えずラストの1冊。
ちなみにこちらは今までの作品と違い、A4変形サイズの純粋なMOOK
従って著者名がクレジットされていない。

昭和生まれの子どもたちの「夏休みの思い出」を集めた一冊。
ラジオ体操・昆虫採集・夏祭・花火などは、考えてみれば確かに夏休み
のアイテムである。この夏休みアイテムを二学期まで引き摺ってしまう
と、妙に空しくなったなぁ、あの頃は(^^;)。

取り敢えずザッと読んでから考えたのは、この中で今も生き残っている
モノがどれだけあるのか?ということ。早朝のラジオ体操は既に死滅し
ていそうだが、昆虫採集は今でも時折捕虫網と虫かごを抱えた親子を見
掛けるし、町内会の夏祭や花火を楽しむ子どもたちもわりと見掛ける。
僕は全篇に「懐かしさ」を感じたのだが、もしかしたら今も残っている
モノが多々あるのかもしれない、と思った。

特筆すべきは「現存する(であろう)最後の室内釣堀」、我が区・篠崎
つりぼり金ちゃんが、かなりのページ数で紹介されているところ。
最後に行ったのはもう5〜6年前になると思うのだが、今も健在なようで
一安心。近いうちにもう一度行かなねば!と強く感じた。

ちなみに僕の夏休み定番ドリンクペプシコーラ一択。
王冠裏くじはなかなか当たらなかったけど♪

・・・テーマソングは↓↓コレだな、絶対。