引き続き高橋克彦のホラー短編集をセレクト。
ほぼジャケット買いのような感じで選んだのがこの「幻少女」だったのだが、
この作品にも完全にやられた。
短編集と言うよりも、ショートショートのホラー集。
全10篇だが、短いモノは3ページ程度。ただし、長かろうが短かろうがどの
エピソードも作品としてカッチリ成立しているのが凄い。内容は紛う事なき
ホラーであり、どの話もどこかで必ず一瞬背筋が寒くなる。ただ・・・。
・・・どれもこれも、「思わずジーンと来る話」なのである。
よって読後感はホラーのそれではなく、ちょっとした人情系のドラマを観た
後のような、ホンワカした感覚に包まれる。この種のジャンルの作品でこう
いう気分になったのは正直初めて。この作家、やっぱり只者では無い。
中でも、ラストが相当グロで終わる「色々な世界」は一読の価値あり。
色弱、ないしは色盲という現象に対し、今までに無い解釈を提示してくれる。
実に良い書き手に巡り会えた。
もう一発行こう!