ひさびさの新津きよみ作品。
「夫以外」という、あまりに意味深なタイトルをテーマにした全6篇
から成る短編集。
どの作品にも必ず「老齢期」、もしくは「人生の末期」に足を踏み込ん
だ女性が登場する。本来であれば、後は流れるように余生が送れる筈の
女性たちに「何か」が起こる展開。その「何か」は篇によって様々なの
だが、どれもこれもため息をつきたくなるくらいに切ない。
もちろん、大好物のドロドロ系要素もしっかりあるのだが、そこに重き
を置いて読めるタイプの作品では決して無い。熟年女性の悲哀を、かな
り高いレベルでまとめた粒ぞろいのヒューマンストーリーである。
男の僕が読んでモノ悲しくなるのだから、同じ世代の女性はリアリティ
溢れる展開に読むのが辛くなる人も多々居そう。上質な作品なのだけど、
誰にオススメすれば良いか、ちょっと悩んでしまう作品でもある。
一定の間隔を空けて読むと、新津きよみの文章はやはり凄いインパクト。
ただ、続けて読むのはちょっと辛いな、やっぱり(^^;)。