今や「プロレス史研究家のバイブル」とも言える雑誌・Gスピリッツ。
その人気連載「実録・国際プロレス」を一冊にまとめたもの。基本、創刊号
からGスピリッツを愛読している僕であり、バックナンバーも(珍しく)全て
所持している。つまり、本当は必要の無い書籍なのだけど・・・。
↑↑まぁ、この束を見て欲しい。
ちょっとした国語辞典を凌ぎ、さながら広辞苑のごとき厚さ。考えてみれば
Gスピリッツの創刊は2007年、連載はほぼ同時に始まった筈だから、物量は
確かにこのくらいは間違い無い。さらに言うのなら、いくつか掲載されてい
ないインタビューもある筈。にも関わらず、ということ。
昭和からのプロレスファンにとって、国際プロレスは忘れ得ぬ存在。
新日本・全日本をメジャーとするのなら、国際は間違い無くマイナーであっ
たのだが、であるが故のワクワク感は凄かった。来日する外人のニックネー
ムは「放浪の殺し屋」(ジプシー・ジョー)、「気狂い犬」(マッドドッグ
・バジョン)、「流血大王」(トーア・カマタ)など、ちびっ子ファンを震
え上がらせるものばかり。これを迎え撃つのが我らのラッシャー木村であり、
アニマル浜口、マイティ井上。猪木や鶴田に比べれば華が無く、派手さには
欠けるが、その泥臭い男らしさが我々を魅了。グレート草津のような、若干
思い入れを持ちづらい(^^;)選手も居たが、国際の所属選手は全員が「哀愁」
を漂わせており、そこになんとも言えない愛着を感じていた。
そんな哀愁の第三団体・国際プロレスの元所属選手や団体関係者、雑誌・新
聞記者やカメラマンまで、23名に渡る人物に深く切り込んだ、とにかく濃い
インタビュー集。
内容が内容な上に、価格もかなりのモノなので、プロレス史に興味のある人
にしか勧められない本だが、我々のような輩にはある意味で「聖典」。国際
の歴史は、昭和プロレスの歴史そのものだと思う。
・・・ただ一つ。
残念なのは、大エースであり後期国際の象徴であった「金網の鬼」、最後の
IWA王者だったラッシャー木村の「声」が聞けなかったこと。それがあったら
完璧だったなぁ、この本・・・。