なかよし小鳩組

▼なかよし小鳩組 / 荻原浩(Kindle版)

萩原浩・ユニバーサル広告社シリーズ第二弾に当たる作品。
前回、ド田舎の村おこしを手掛け、やや成功しながらも(おそらく)金には
ならなかったユニバーサル広告社の次のクライアントは、なんと広域指定暴
力団、いわゆる「ヤクザ」である。それも、本気でコテコテの(^^;)。

まぁ、ファンタジーなんだろうなぁ、という気はする。
何十年か前なら、もしかしたら起こりうる状況かもしれないが、今のご時世
でこういう仕事をするのは本気の自殺行為。一度でも取引実績を作ってしま
ったら、もう二度と現世には戻ってこれないのだから。

だからこそ、このあり得そうで絶対にあり得ない状況が少しだけ羨ましい
何十年か前の僕だったら、もしかしたら飛びついて痛い目にあったかもしれ
ないし、もしかしたら良い意味でも悪い意味でも人生が変わっていたかもし
れない。読中、そんな妄想が飛び交った。

今回はそういう特異過ぎるクライアントとのやりとりの他、主人公のコピー
ライター・杉山と離婚した妻のもとで暮らす幼い一人娘との邂逅も描かれて
いる。派手な展開との落差でこの部分がかなり切ないのもポイントかもしれ
ない。

ユニバーサル広告社シリーズも今のところあと1作を残すのみ。
・・・まぁ、あと1作ある、ということはまだ潰れずに済んでいる筈で、ちょっ
とだけホッとする。この会社のその後、気になるなぁ・・・。