花のさくら通り

▼花のさくら通り / 荻原浩(Kindle版)

萩原浩・ユニバーサル広告社シリーズ第三弾
前回、ヤクザ(がクライアント)仕事をなんとか振り切った零細広告制作
プロダクションユニバーサル広告社だが、秋葉原に事務所を維持すること
が困難となり、一応都内だけど過疎化すら感じられる“さくら通り商店街”
都落ち。家賃は安いが、条件はなんと「住み込み」引っ越しまで余儀なく
されたコピーライター杉山だが、ひょんなことから大家和菓子店3代目
から“さくら祭り”チラシ製作を依頼される。クライアントは同商店会だが、
そこは一癖も二癖もある頑固な爺たちが仕切る閉ざされまくった世界
これをなんとか打破しよう、と、ユニバーサルの個性豊かな面々が意地で
奮闘する・・・という感じ。

いやぁ、いいわ、コレ。
これまで読んだシリーズ3作の中では、とにかくピカイチの内容。
登場人物の悪役→善玉転向への流れ、いわゆるベビーターンの連続が妙に
心地よい。加えて「商店街のシャッター通り化」という問題は都下に限ら
ずどの地方でも悩ましい議題であるが故に、何故だか他人事だと思えない
おかげでリアリティは非常に高く、感じたままを言うのなら“手に汗握る”
展開。クライマックスの会議が決する場面では、思わず快哉を叫んでしま
った。

そして、この作品の舞台とやたら系統の似ている街で、これまた似たよう
な仕事(レベルは更に数段低いけど^^;)に従事する僕としては、個人的
共感度が半端ない高さ。途中から応援団(^^;)になってたかもしれない。

もちろん最後はハッピーエンド。同じような世界で仕事をしている僕から
すると、この部分にリアリティは一切感じない(^^;)のだが、まぁ、ソレは
ソレで良いのかも。非常に清涼感に溢れたお仕事物語だと思います。

年末にこのシリーズを読めて本当に良かった、と心から。
来年は頑張るぞ、オレも!