N’DAM vs MURATA 2

WBA世界ミドル級正規王座戦、タイトルは「N’DAM vs MURATA 2」
世界中に物議を醸した王座決定戦から5ヶ月、ダイレクトリマッチという形
村田諒太はリングに上がった。

今回も村田はKOを狙っていなかった、と思う。
村田のボクシングはこれまで一貫して相手にダメージを与え続けながら勝利
する、というスタイルであり、KOはそれに付いて来ただけ。下手にKOを狙
ったら逆に危ない、と思っていたのだけど、それは完全に杞憂。村田は1Rか
ら見事すぎる「ザ・ボクシング」を展開し、因縁の王者、アッサン・エンダ
心を折った上でTKO勝利WBA世界ミドル級正規王者となった。

エンダムに終始プレッシャーをかけ、殆どのパンチをガードした上に強烈な
左右のボディ。苦し紛れのストレートにはカウンターを併せるのだから、
エンダムに出来ることはクリンチ以外に無い。逆によく7R保った、と感心し
たほど。文句の余地が全く無い勝利は、ファンはもちろん村田自身がずっと
望んでいた結果だと思う。

しかし、これはあくまでステップ
しつこく書いている通り、このタイトルはあくまで「正規王座」本当の
ミドル級世界王者は、WBAスーパー王座及び、WBC・IBFの同級王座を現在
も保持し続けるカザフスタンのゲンナジー・ゴロフキンである。村田がゴロ
フキンに「挑戦」するためには、もう一つタイトルが必要だと思う。出来る
ことなら、WBO王者ビリー・ジョー・ソーンダースとの統一戦に勝利し、
リアルワールドチャンピオンシップとしてゴロフキンに挑んで欲しいところ。

僕が村田を好きなのは、現状をしっかり理解している彼の姿勢
試合後の勝利者インタビューで「僕より強い王者がたくさんいる」と明言し、
今後のチャレンジを約束してくれた。村田にそういう姿勢があり、レベルの
高いボクシングを魅せてくれる限り、僕は村田を信じようと思う。

・・・やっぱり嬉しいなぁ、村田の戴冠
このまま、てっぺんまで突っ走って欲しい!

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「怪物」の恐ろしいボクシング

米国・カリフォルニア州カーソンスタブハブ・センターで行われたボクシン
W世界戦セミファイナルに登場した日本井上尚弥は、米国・WBO7位の
アントニオ・ニエベスを相手に横綱相撲、自身の持つWB0世界スーパーフェザ
ー級王座を防衛、米マットで衝撃のデビューを果たした。

言ってしまえば、あまりに「恐ろしいボクシング」
中央に立つのは王者の井上で、ニエベスは足を使ってその周囲をサークリング
する、という展開が主なのだが、それほどフットワークを使用しているように
見えない井上の動きが鋭すぎる5ラウンドに炸裂したボディブローの印象は
かなり強烈。誰もがウゲェと思ったに違いない。

6ラウンド、王者のパンチを警戒した挑戦者が全く中に入って来ない。コレを
挑発する井上の姿はもう神懸かった格好良さ。ダウンこそ奪えなかったものの、
挑戦者に次のラウンドを闘う気力は無く、井上の6R終了TKO勝ち

山中の王座陥落以来、ちょっと寂しくなった感のある日本ボクシング界だが、
怪物感を増した若き王者のおかげで今後が俄然楽しみになってきた。惜しむら
くは、メインでリマッチに敗れたローマン・ゴンザレスとの試合が実現しなか
った(おそらく)ことくらい。

目指すのは三階級制覇でも、統一王者でも、どちらでもいい。
日本にはまだ、怪物・井上尚弥が居る!

MONEY vs NOTORIOUS

8月27日(現地時間)、ラスベガスで行われる「メガファイト」
ルールボクシング・3分12R、スーパーウェルター級契約、8オンスグローブ。
カードはフロイド・メイウェザー・ジュニアvsコナー・マクレガー

メイウェザー5階級制覇パウンドフォーパウンド歴代最強とされるプロ
ボクサーで、マクレガーUFC唯一2階級を同時に制覇した総合格闘家
ボクシングの試合をするのだから、普通に考えればメイウェザーの勝利は動か
ない。しかしこの試合、妙な期待感がある。

UFCでのマクレガーを知っている人なら、彼が殆どの試合をパンチ→パウンド
でカタを付けていることもご存じなハズ。MMAとはいえ、あのパンチの決まり
方は凄まじく、もしマクレガーのパンチが先に当たったら、と考えると・・・。

この試合が決まってから瞬間的に思い出した試合がある。
何年か前の大晦日、魔裟斗山本KID徳史K-1ルールでの一戦がソレ。
KIDがまさかの開幕ダウンを奪い、本職であるハズの魔裟斗がタジタジ。
最終的には逆転で魔裟斗が勝利したのだが、この試合がそういう展開になる
可能性は充分にある、と思う。

DAZNで生中継かぁ・・・。
コレはライブで観ておいた方が良い試合かも。2日前にお試し契約かな?

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“山中慎介”という偉大なボクサーは・・・

WBC世界バンタム級選手権
王者山中慎介日本記録となる13度目の防衛を掛け、同級1位のメキシコ、
ルイス・ネリと対戦。結果は4R・TKO「神の左」は、遂に力尽きた。

今回、僕は戦前の予想を素直に「山中のKO勝ち」に出来なかった。
理由は動画サイト等ネリのいくつかの試合を見てしまったから。フック系
強打山中ストレートにも引けを取らないし、何より若いもしかしたら
という思いもあるにはあったのだけど・・・。

それでも、最後は山中がKOしてくれる、との願望を持って観戦したのだが、
無情のTKO負け。終了直後からセコンドのタオルが早い、との指摘が多々あっ
たけど、あのまま続いていたら偉大な王者がKOされるシーンに化けたかも・・・。
そう考えると、セコンドの判断を責めることは出来ない気がする。

・・・いやぁ、想像以上に悔しい
おそらく山中は日本ボクシング史上でも「最強」のボクサーであり、ここまで
ずっと僕らに夢を魅せてくれた。だからもちろん感謝もあるし、ここまでの労
を労う気持ちもあるのだけど、ここで終わってしまうのは・・・。

キャリア的にも年齢的にも、山中に現役続行を求めるのはかもしれない。
でも、もし・・・。もし山中が2階級制覇などの他の目標に向かって走り出すのな
らば、どんな結果になろうが僕は山中に付いていく覚悟がある。

とにかく、お疲れ様でした!
しばらくの間は、何も考えずに休養してください・・・。

村田諒太vsアッサン・エンダム

問題のWBA世界ミドル級正規王者決定戦村田諒太vsアッサン・エンダムを、
ようやくフルラウンドチェック。敢えてエンダムに肩入れするつもりで素人
採点を試みたのだが、それでも村田の大差判定勝ち・・・なような気がした。

WBAは試合翌日に会長から謝罪コメントがあり、ジャッジ2人の資格を停止。
その上でダイレクトリマッチ(次戦で同一カード再戦)の指示を出し、村田
を徹底擁護する体勢。だけどねぇ・・・。

まず、村田はKO勝ちをするべきだった。エンダムは決して酷い選手ではなか
ったけど、あの程度の選手に判定まで持ち込まれてしまうのなら、統一王者
ゴロフキンに遠く及ばない。この試合はあくまで「正規王者決定戦」であ
り、その上にスーパー王者が存在することを考えると、文句の無い勝ち方を
するのはマストだったように思う。

そして、日本人として「疑惑の判定」に文句が言い辛いのも事実。
亀田兄弟の一連のタイトルマッチ等で解るように、あきらかなホームタウン
ディシジョンを連発していた時代が、ホンの少し前にあった。間違っている
とはいえ、ジャッジの判定はエンダム勝利だったのだから、コレは認めざる
を得ない・・・んじゃないかなぁ、と。

個人的には再戦の必要は無い、と考える。もし次に村田がエンダムと闘えば、
今度はきっと村田が勝利すると思うのだが、それは名目上チャンピオンにな
るだけであって、真の「ミドル級世界王者」となるワケでは無いのだから。

村田が次に狙うべき世界王座は、WBO世界ミドル級選手権しか無いと思う。
タイトルホルダーはイギリスビリー・ジョー・ソーンダース。無論大物だ
が、このタイトルを取ればゲンナジー・ゴロフキンへの挑戦資格は充分。
本物かどうかも疑わしいベルトに執着するより、文句の無い世界王座を。
僕が村田に望むのは、そういう“強い王者”の姿だな、やっぱり。