アマゾン大全2018

▼アマゾン大全2018

コンビニの雑誌棚で見掛け、思わず購入してしまったMOOK
Amazonで評判の良い商品を555種類集め、徹底的にレビュー。カテゴリーは
家電&デジタル・ホーム&キッチン・日用品・ビジネス&トラベル・アウトド
ア&カーグッズの5つに別れ、それぞれに絶妙「ちょっと気になるモノ」
多数掲載されている。

ハッキリと、楽しい(^^;)。
今や完全にAmazon依存症になっている僕には、まるで指南書のような内容。
特に家電&デジタルの分野にはパーソナルDJとか防水スピーカーとか、もう
意味無く欲しくなるものがいくつか発見出来ちゃうんだから凄い。

・・・しかしこの本、絶対に電子書籍には向かない(^^;)。
わりと厚めの束で、パラパラめくっているからこそヘンなモノとの出会いが
ある。さすがにiPadとかで読んでたら、そういう風にはならない気がする。

まぁとにかく、暇つぶしには最適。
特に普段の買い物の殆どをAmazonで済ませてしまう僕のような輩に対して
はちょっとした実用書。オススメです、コレ。で、気になったのは↓↓です!

 

花のさくら通り

▼花のさくら通り / 荻原浩(Kindle版)

萩原浩・ユニバーサル広告社シリーズ第三弾
前回、ヤクザ(がクライアント)仕事をなんとか振り切った零細広告制作
プロダクションユニバーサル広告社だが、秋葉原に事務所を維持すること
が困難となり、一応都内だけど過疎化すら感じられる“さくら通り商店街”
都落ち。家賃は安いが、条件はなんと「住み込み」引っ越しまで余儀なく
されたコピーライター杉山だが、ひょんなことから大家和菓子店3代目
から“さくら祭り”チラシ製作を依頼される。クライアントは同商店会だが、
そこは一癖も二癖もある頑固な爺たちが仕切る閉ざされまくった世界
これをなんとか打破しよう、と、ユニバーサルの個性豊かな面々が意地で
奮闘する・・・という感じ。

いやぁ、いいわ、コレ。
これまで読んだシリーズ3作の中では、とにかくピカイチの内容。
登場人物の悪役→善玉転向への流れ、いわゆるベビーターンの連続が妙に
心地よい。加えて「商店街のシャッター通り化」という問題は都下に限ら
ずどの地方でも悩ましい議題であるが故に、何故だか他人事だと思えない
おかげでリアリティは非常に高く、感じたままを言うのなら“手に汗握る”
展開。クライマックスの会議が決する場面では、思わず快哉を叫んでしま
った。

そして、この作品の舞台とやたら系統の似ている街で、これまた似たよう
な仕事(レベルは更に数段低いけど^^;)に従事する僕としては、個人的
共感度が半端ない高さ。途中から応援団(^^;)になってたかもしれない。

もちろん最後はハッピーエンド。同じような世界で仕事をしている僕から
すると、この部分にリアリティは一切感じない(^^;)のだが、まぁ、ソレは
ソレで良いのかも。非常に清涼感に溢れたお仕事物語だと思います。

年末にこのシリーズを読めて本当に良かった、と心から。
来年は頑張るぞ、オレも!

なかよし小鳩組

▼なかよし小鳩組 / 荻原浩(Kindle版)

萩原浩・ユニバーサル広告社シリーズ第二弾に当たる作品。
前回、ド田舎の村おこしを手掛け、やや成功しながらも(おそらく)金には
ならなかったユニバーサル広告社の次のクライアントは、なんと広域指定暴
力団、いわゆる「ヤクザ」である。それも、本気でコテコテの(^^;)。

まぁ、ファンタジーなんだろうなぁ、という気はする。
何十年か前なら、もしかしたら起こりうる状況かもしれないが、今のご時世
でこういう仕事をするのは本気の自殺行為。一度でも取引実績を作ってしま
ったら、もう二度と現世には戻ってこれないのだから。

だからこそ、このあり得そうで絶対にあり得ない状況が少しだけ羨ましい
何十年か前の僕だったら、もしかしたら飛びついて痛い目にあったかもしれ
ないし、もしかしたら良い意味でも悪い意味でも人生が変わっていたかもし
れない。読中、そんな妄想が飛び交った。

今回はそういう特異過ぎるクライアントとのやりとりの他、主人公のコピー
ライター・杉山と離婚した妻のもとで暮らす幼い一人娘との邂逅も描かれて
いる。派手な展開との落差でこの部分がかなり切ないのもポイントかもしれ
ない。

ユニバーサル広告社シリーズも今のところあと1作を残すのみ。
・・・まぁ、あと1作ある、ということはまだ潰れずに済んでいる筈で、ちょっ
とだけホッとする。この会社のその後、気になるなぁ・・・。

オロロ畑でつかまえて

▼オロロ畑でつかまえて / 荻原浩(Kindle版)

久しぶりの萩原浩作品。
この作品、どうやら氏のデビュー作らしく、ユニバーサル広告社シリーズ
して全3冊がリリースされている模様。これは丁度良い物量、と判断し、この
シリーズを読破することを決意。まずは第一作目から。

弱小広告代理店、と言うより、広告制作プロダクションを舞台にしたコメディ。
弱小と言いながらも、中堅クラスの企業からプレゼン参加の依頼はあるようだ
し、ある程度定期的な仕事も入っているから、僕らにとっちゃ羨ましい限り
んだけど(^^;)、経営的には断末魔一歩手前の零細企業。そんな会社に突然降っ
て沸いた、超の付くど田舎の山村「村おこし」コピーライター杉山は、
とんでもない方法に手を染めて・・・、という内容。

作者はそもそも元広告マン。しかも独立してフリーのコピーライターとして
活躍していたらしいから、状況設定はかなり真に迫っている。内容はコメディ
で、基本的にかなり笑える内容なのだが、その「笑える」状況も含めて・・・、
あまりにリアル(^^;)なのがちょっとだけ怖かったりもする。

広告の世界に「確定したもの」は殆ど存在しない。これから世に出るモノだか
ら、可能性の大小こそあれ、売れる・売れない、人気が出る・出ないは蓋を開
けてみるまで正しいことは解らない。つまり、全ての仕事は必ず「嘘」から始
まるモノであることを、作者はきっと理解している。その部分を大胆にデフォ
ルメし、誰もが笑える内容に仕上げてしまうセンス。デビュー作でコレをやれ
るのだから、この人の才能は本当に大したモノだと思う。

これがまだあと2冊ある、というのは幸運かも。
年内はユニバーサル広告社シリーズでなんとか乗り越えられるかもしれない。
次はヤクザイメージアップ。かなり楽しみ!

実録・国際プロレス

▼実録・国際プロレス / Gスピリッツ編集部

今や「プロレス史研究家のバイブル」とも言える雑誌・Gスピリッツ
その人気連載「実録・国際プロレス」を一冊にまとめたもの。基本、創刊号
からGスピリッツを愛読している僕であり、バックナンバーも(珍しく)全て
所持している。つまり、本当は必要の無い書籍なのだけど・・・。

↑↑まぁ、このを見て欲しい。
ちょっとした国語辞典を凌ぎ、さながら広辞苑のごとき厚さ。考えてみれば
Gスピリッツの創刊は2007年、連載はほぼ同時に始まった筈だから、物量は
確かにこのくらいは間違い無い。さらに言うのなら、いくつか掲載されてい
ないインタビューもある筈。にも関わらず、ということ。

昭和からのプロレスファンにとって、国際プロレスは忘れ得ぬ存在。
新日本・全日本メジャーとするのなら、国際は間違い無くマイナーであっ
たのだが、であるが故のワクワク感は凄かった。来日する外人のニックネー
ムは「放浪の殺し屋」(ジプシー・ジョー)、「気狂い犬」(マッドドッグ
・バジョン)、「流血大王」(トーア・カマタ)など、ちびっ子ファンを震
え上がらせるものばかり。これを迎え撃つのが我らのラッシャー木村であり、
アニマル浜口マイティ井上猪木鶴田に比べれば華が無く、派手さには
欠けるが、その泥臭い男らしさが我々を魅了。グレート草津のような、若干
思い入れを持ちづらい(^^;)選手も居たが、国際の所属選手は全員が「哀愁」
を漂わせており、そこになんとも言えない愛着を感じていた。

そんな哀愁の第三団体・国際プロレスの元所属選手団体関係者雑誌・新
聞記者カメラマンまで、23名に渡る人物に深く切り込んだ、とにかく濃い
ンタビュー集

内容が内容な上に、価格もかなりのモノなので、プロレス史に興味のある人
にしか勧められない本だが、我々のような輩にはある意味で「聖典」国際
の歴史は、昭和プロレスの歴史そのものだと思う。

・・・ただ一つ。
残念なのは、大エースであり後期国際の象徴であった「金網の鬼」、最後の
IWA王者だったラッシャー木村の「声」が聞けなかったこと。それがあったら
完璧だったなぁ、この本・・・。