バリアフリー温泉で家族旅行

最近ヒマがあれば調べているのが、バリアフリー温泉
ちょっと身体の動きに難のある人でも気にせずに行ける温泉宿、というの
を出来るだけ近郊で探しているのだが、「近郊」というのがちょっと問題。
どの書籍を読んでも関東甲信越では適当と思える物件が結構無かったりす
るのだけど・・・。

▼バリアフリー温泉で家族旅行 / 山崎まゆみ(Kindle版)

このガイドには山梨県河口湖温泉の物件、神奈川県箱根温泉の物件が1つ
ずつ掲載されている。同じようなガイドブックをたくさん読んでいるのだ
が、近郊で2件って実は多い方。取り敢えず一つ、目星を付けてみた。

この本の特徴はハンディキャッパー高齢者向けに特化した施設情報が詳
しく記載してあること。特に大浴場回り解説写真は非常にありがたく、
かなり参考になる。

そして便利なのは、プラスアルファ情報として車いす等でも立ち寄れる
近隣施設情報を掲載してくれているところ。目的がハッキリしている人に
は、本当にありがたいガイドブックだと思う。

・・・とても良い本なのだけど、できればもっとたくさんの関東近郊バリア
フリー温泉情報が欲しい。本じゃなくても、サイトとかで良いから、この
手の情報に詳しいところをご存じの方は教えてくださいませ!

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WHITE RABBIT

▼ホワイトラビット / 伊坂幸太郎

「AX」から2ヶ月くらいしか経っていないのに、もう新作!
伊坂幸太郎の新刊は、なんと“籠城ミステリー”。この段でもう胸がときめい
ちゃう人、やたら多い気がする(^^;)。

伊坂幸太郎の籠城モノと言えば、「チルドレン」「陽気なギャング」シリ
ーズで何度か目撃したことがあるのだが、今回のは完全に一線を画す内容
籠城モノなのに登場人物やたら多く、ともすれば話がこんがらがってしま
いそうなのだけど、絶対にそういう展開に持って行かないのが伊坂幸太郎の
凄いところ。終わってみれば全キャラが皆重要な役回りを最低一つは担って
おり、結果的に“無駄な人物”一人も居ない。加えて、章全てに用意された
どんでん返し感嘆に値するくらいレベルが高く、随所で爆笑しつつも唸る
奇跡のような作品だ・・・。

そして嬉しいことに、今回のキーマンは「泥棒」「探偵」の両極端を生業
とするあの男。彼のキャラがここまで立つのはかなり久しぶりで、それだけ
でもう嬉しい。さらに、「レ・ミゼラブル」にインスパイアされた狂言回し
的な表現があまりに小憎らしい上に「あそこからこの話を思いつくのか!」
という天才ぶりも遺憾なく発揮されているのだから、もう脱帽するしか無い。

ユーモアに富んだジェットコースターミステリー。しかしこのカッコ良さ
伊坂幸太郎のエッセンスが存分に詰まった作品、ぜひお試しを!

「神様」の貴重な映像

▼G SPIRITS Vol.45

本日発売のG SPIRITS 45号、特集はなんと「カール・ゴッチ」
我々の年代のプロレスファンはほぼ全員がゴッチを「神様」として認識し、崇拝
の対象とする人。ここ最近、UWF回顧書籍を多々読んでいるのだけど、どうやら
このMOOKがトドメになりそうな気配。

まずは初来日時のエピソードを読みつつ、伝説となっているvs吉村道明のビデオ
をYouTubeで検索。↑↑が本当にアップされており、その試合内容に驚愕する。
こういう映像の存在をさりげなく教えてくれるのがG SPIRITSという雑誌の真骨頂
ではないかと。

・・・いやぁ、すばらしい。
初来日時の詳細なエピソードに加え、アントニオ猪木を始めとする関係者への
インタビュー。圧巻なのは、13ページに渡ってビッシリと書き込まれた「カレ
ル・イスターツ全試合記録」。これはもう、本気の永久保存版である。

とにかく、全盛期と目されるゴッチの試合映像を目撃できたことが嬉しい。
G SPIRITSを読んでなかったら、全く気付かずに終わるところ。本当に感謝だ!

マスカレード・ナイト

▼マスカレード・ナイト / 東野圭吾

東野圭吾の新作は高級ホテルを舞台とするマスカレード・ホテルシリーズ
前作の「イブ」が2014年だから、どうやらこのシリーズのリリーススケジ
ュールは3年に1度、ということらしい。もちろん発売日に入手したのだけ
ど、別の本が読み終わらず、ようやく一昨日から読書開始。しかし結局、
約2日で一気に読み切った。

大晦日にホテルコルテシア東京で行われる仮装カウントダウンパーティー
「マスカレード・ナイト」を利用した計画犯罪。この情報を察知した警視
庁捜査一課は、刑事・新田浩介をまたもや同ホテルに潜入させ、いまや
コンシェルジュの位置にまで上り詰めた山岸尚美と共に犯罪阻止に動く、
という内容。

・・・すばらしい
やたらに魅力的なキャラクター陣に加え、伏線の張り方とその回収は完璧。
怪しい人物は何人も出てくるのだけど、僕には最後の最後まで全く犯人の
見当が付かなかった東野圭吾の真骨頂とも言える、文句の付けようのな
いミステリー。ただただ脱帽するしか無い。

このシリーズが始まってから、コルテシアのモデルとされる水天宮ロイ
ヤルパークホテルにやたら親近感を持つ始末。そのくらい大好きなシリー
ズなので、3年に1度と言わず、毎年新作を出して欲しい。

ミステリー好きは必読。とにかく面白いので。

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終電の神様

▼終電の神様 / 阿川大樹(Kindle版)

お馴染みKindleストアのリコメンドに出てきた作品。
タイトルに惹かれて購入したのだが、そこに小さな問題が(^^;)。まぁ、
大したことは無いのだけど、理由は後述。

奥付によると、阿川大樹という作家はあの劇団夢の遊眠社旗揚げメンバー
役割はいわゆる音効さんで、舞台で使う曲をほぼ作曲していたらしい。そし
半導体技術者としての顔もあり、さらに小説家。非常にマルチな才能を有
する人であることは間違い無い。

体裁は連作短編
(おそらく)人身事故運転停止した夜の満員電車に偶然乗り合わせた人た
ちの様々な「事情」を、切れ味鋭く描写した“深い”系ヒューマンミステリー

タッチは若干暗めで、かなり重たいエピソードもあるのだが、全体的な印象
は真逆。一遍を読み終わるたびに、じんわりとした感動が浮かんでくる佳作。
電車の遅延は日常的に起こる現象だが、そこにフォーカスして人間ドラマを
いくつも書き上げるセンスは、単純に凄いと思う。

小さな問題とは、この電車がどうやら終電では無い、ということ(^^;)。
Amazonのレビューによると、「人身事故の神様」からの改題らしい。
改題前のタイトルならすごく納得出来る作品集なのだけど、「終電」という
言葉がわりと強力で、ちょっと内容がブレちゃってる感あり。確かにイメー
ジは悪いけど、元のままの方が良かったんじゃないかなぁ・・・。

しかし、あくまで小さな問題。全体的にはじっくり読ませてくれる作品集
ので、タイトルに惑わされずに読むことをオススメしておきます!