雑誌こそ電子版、か?

年が明けてからちょっと様子を見てきたのだが、週刊プロレスKindle版
Unlimitedに落ちてくるのはどうやら発売から一週間が目安らしい。
そもそも週プロが目的で申し込んだサービスなのだけど、一週間遅れるのは
ちょっと厳しい。でも・・・。

30年以上買い続けている週プロ電子版にチェンジしたのは、仮にUnlimited
では無くとも今のところメリットしか無い「雑誌」「紙」と思っていたけ
ど、保管場所に困らない、というのは大きいなぁ・・・。

蜂に魅かれた容疑者

▼蜂に魅かれた容疑者 警視庁いきもの係 / 大倉崇裕(Kindle版)

大倉崇裕動物シリーズ第二弾。
前作ですっかりお馴染みになった元捜査一課鬼警部補須藤と、総務課の
人より動物を愛するオンナ(うすき)の凸凹コンビが、カルト新興宗
と対峙する物語。今回は短編集ではなく、かなり気合いの入った長編
モチーフとなる生物は「蜂」、それも日本最強種と言って過言の無いオオ
スズメバチである。

いやぁ、おもしろいぞ、コレ
まずすばらしいのは緩急の付け方。起こっている事件は背筋が凍る程恐ろ
しく、緊迫感に溢れる内容なのだが、須藤と薄の会話が始まった瞬間、突
然始まるファニーワールド。この繰り返し、もしかしたら苦手な人も居る
とは思うのだが、緊張と緩和がバランスよく混在する構成はさすが。要所
フッと笑える、というのは、個人的に良いメリハリだと思います!

動物シリーズとしながらも、内容は超一級品ミステリー&サスペンス
ちょっとしたアクションシーンもあり、いわゆる警察小説が好きな人たち
も抵抗なく読める気が。

そして、怪獣マニアにもオススメ。
薄が保護する動物たちは、前作も含めて全て怪獣の名前が付いている!!
それも、かなりマニアックな連中が(^^;)。そういうとこもポイント。

ちなみに今回は久しぶりにBookLive!の電子書籍を購入。1〜2日の違い
Kindle版もリリースされた模様。BookLive!も悪く無いのだけど、やっ
ぱり小説はKindle Paperwhiteで読む方が良い感じかも。シリーズ次作は
kindleで読もう、やっぱり。

小鳥を愛した容疑者

▼小鳥を愛した容疑者 / 大倉崇裕(Kindle版)

大倉崇裕を知ってからずっと読みたかった動物シリーズ
ミステリー好きであり、動物わりと好きな僕としては、もう惹かれて当然
の作品。もちろんKindleでシリーズ第一作目から。

突然銃撃を受け、休養を余儀なくされた警視庁捜査一課の鬼警部補。復職こ
そ果たしたものの、配属された部署は容疑者のペットを保護する警視庁総務
部総務課“動植物管理係”。そこでコンビを組むことになった人間より動物を
こよなく愛する新米女性巡査只者では無くて・・・、という内容。4篇からな
る連作短編集。

いやぁ、面白い!
タイトルこそ「小鳥」だが、それはジュウシマツの登場する冒頭作品のみ。
後はヘビ・巨大カメ・フクロウと、ペットにするにはあまりに特殊な動物
かり。そういう特殊ペットの生態や飼育の仕方がなんとなく解るばかりか、
それらがしっかりミステリーのネタになっているのが凄い。

そして捜査一課でコテコテの殺人事件ばかりを担当していた鬼警部補と、
みなし公務員のような状態で採用された動物のエキスパートである女性巡査
との掛け合いが軽妙で、まるで漫才を見ているかのよう。

「本格」「コミカル」、そして「動物」が同居する、というある種とんで
もないスタイルだが、そこに無理は全く無い。このままシリーズ2作目にチャ
レンジするぞ!・・・とか思ったのだが(^^;)。

なんと2作目はまだKindle化されてねぇ、という事実が(^^;)。
3作目は既にKindleになってるのに・・・。なんでだ???

死神の捜査 死神の目

▼死神の捜査 死神の目 / 大倉崇裕(Kindle版)

福家警部補シリーズでハマった大倉崇裕
取り敢えず違うシリーズに手を出してみよう、とKindleストアを探していた
ら、「電子書籍オリジナル」というやや廉価なタイトルを見つけた次第。

いわゆるキャラクター重視型ミステリー
警視庁内に存在する、と言われる謎の部署で、犯人の無罪確定と同時に事件
の再捜査を始め、真犯人を挙げてしまう男。事件の度に違う部署から相棒を
指名するのだが、その対象になった人間に出世の目は無くなる。誰が呼んだ
か、通称は「死神」。そういう特殊な男の捜査状況を描いた短編である。

短編とは言っても、お馴染みのKindleシングル各作品に比較するとそれなり
にボリュームがあり、起承転結が非常にハッキリした腑に落ちるミステリー
この作家の書く「警察」は、ある意味ファニーユーモラス。読んでいて
本当に気持ちが良い。

「短編」の見本のような作品。比べるのは本当に失礼だが、才能あるKindle
のインディーズ系作家諸氏はこの小説を参考にすべきだと思う。

さぁ、動物警察シリーズに手を付けるか!!
そろそろ頃合い♪

ろくでもないやつら

▼ろくでもないやつら / 角田妃呂美(Kindle版)

瞬間的に読むモノに困り、電車の中でチョイスしたUnlimited作品。
ひらがなだけのインパクトのあるタイトルと、ミステリーっぽい雰囲気の
(のデザイン)に惹かれてダウンロード。いわゆるKindleインディーズ系
作品で、もちろん過度な期待はせずに購入したのだが・・・。

なかなかどうして、というタイプの作品。
いわゆる叙述トリック系であり、全体のアイデアに関してはかなりイケてる
思う。わりと意外な人が犯人でラストはちょっとびっくりしたし(^^;)。
しかし残念ながら、あまりに短い(^^;)。短編と言っても良いくらいの文章量
にはちょっと肩すかしを食らったかも。そのへん、実に惜しい。

なぜ惜しいかというと、この角田妃呂美という作家の文体はかなりの緊迫感に
溢れており、長編ミステリーサスペンスにかなり向いていると思うから。
もう少し頑張ってせめて倍くらいの量を書いていれば、もっと強烈な印象を残
してくれたような気がする。

Kindle書籍にはアップデート機能があるので、出来ればコレを改稿してもう少
本格的なミステリーに近づけて欲しい。あと、絶対縦書きレイアウトに!
横組みはどうも小説には向いてないような気がするので。