ゴースト

▼下町ロケット ゴースト / 池井戸潤(Kindle版)

池井戸潤の新作は大人気下町ロケットシリーズ
個人的に“ビジネス版ワンピース”と位置づけおり、第一作を読んで以来、
とにかく何が何でも読まねばならないリストにしっかり入っているこの
シリーズの第三弾佃製作所にどんな変化が起こるのか??
もうワクワクしながら夢中で読み進めた。

・・・いやぁ、鉄板だわ、コレは(^^;)。
ネタバレしたくないのでざっくり流れだけ書くとこんな感じ。

導入)友の凋落
1)仲間のピンチ
2)新たなる世界への挑戦
3)顧客が本当に求めるモノ
4)義勇軍・そして同盟を組む
5)悪魔の誘惑
6)ハイレベルの法廷闘争
7)仲間との別れ

・・・どうだい、コレ。
ちょっと単語を弄れば、完全にワンピースの説明、と取られてもしょうが
ないくらい、ワクワク感に満ちた構成。コレをビジネス小説の分野でキッ
チリやっちゃうところが池井戸潤の真骨頂。今回も恐れ入りました!

しかし、困った感情も(^^;)。
例によってそれなりに長い物語であり、にもかかわらず諸々の起承転結も
ちゃんと付いているのだが、読後に猛然と気になるのは「その後」
このシリーズだったら、おそらく文庫で1万ページを超えても軽々読める、
との確信我にあり。池井戸先生には大変申し訳ないですが、早急続編
お願いいたします!

そしてこの作品、秋にTBSのあの枠でのドラマ化も決まっているとか。
だとしたらもう、本当に続編はマル必な気がするぞ、本当に。

とにかく、気合いの入ったビジネス小説愛好家には必読図書
文句なくオススメします、うん。

FODプレミアム

hulu・NETFLIX・amazonプライムビデオ等のVODサービスは、今や僕の
生活に無くてはならない映像ソース。各社それぞれがオリジナルコンテン
ツを所持しており、その作品群には概ね満足なのだが、一つだけ足りない
ジャンルが。そう、「フジテレビのドラマ」である。

今現在はもう見る影も無いのだが、我々の年代で“連ドラ”と言えばやっぱ
フジテレビの作品群。20〜30年前は、ドラマだけでなく音楽やバラエ
ティでも王者だった当時のフジテレビコンテンツは、時折強烈に見返した
くなるモノが多い。しかし、VOD各社には殆どコンテンツが落ちてこない。
そこで・・・。

FOD(フジテレビオンデマンド)のアカウントを開いてみた。
文字通りフジテレビが運営する配信サービスで、当然ながら自社コンテン
が充実。自社モノだけでなく、WOWOW系や海外のドラマ、映画なども
それなりの物量がある。価格も月888円と他に比べて安くいので、フジ系
のドラマで育ってきた40〜50歳台のテレビ好きには、かなり有効なサー
ビスかもしれない。

取り敢えずドラマのラインナップをザッと検索し、昨日・今日で深津絵里
主演の「恋ノチカラ」「ビーチボーイズスペシャル」などを一気に(^^;)。
今後はもっと昔のドラマにシフトしそうで怖いくらい(^^;)。

FOD、良いかも。
取り敢えず今夜はガリレオシリーズを一気に観よう♪

参考:FODプレミアム(公式)

リアルフェイス

▼リアルフェイス / 知念実希人

amazonのリコメンドから購入した作品。
知念実希人という作家は初めてだが、ちょっとだけ聞き覚えがあったので
調べてみたら、「崩れる脳を抱きしめて」で昨年の本屋大賞にノミネート
されていた人。昨年のノミネートは10作品うち5作品を読んでいるのだが、
どの作品も僕の中では高評価。これは期待出来る、と踏んで読書開始。

ジャンルで言えば連作短編医療ミステリー。それも、美容整形というち
ょっとアレな分野を取り扱ったやや異色な作品。語り部は麻酔医師大学
院生朝霧明日香で、彼女がアルバイト勤務する美容形成外科を率いるの
「天才」の異名を欲しいままにする美容外科医・柊貴之。ただし、金さ
え積めば顧客のどんな依頼にも応える、いわゆる悪徳医師(^^;)、という
構成。

意外や意外、思った以上にコメディでやや面食らった。抱腹絶倒とまでは
いかないが、前半から中盤にかけてのテンポの良い展開はなかなか見事。
しかし、後半のシリアスな展開は思いっきり重厚で、落としどころもかな
り秀逸。ラストは全く予想外、最後までしっかり騙されてしまったのだか
ら、ミステリーとしての完成度もかなり高い、と思う。

しかし、気になる点が2つほど。
いわゆる「笑い」でミスリードを誘う、という方式は決して嫌いでは無い
が、そのジャンルの権威である東川篤哉の作品群と比較すると、やや中途
半端な印象は否めず。もっと振り切っても良かったし、それが充分出来る
作家な気がする。もしかしたらシリーズになるかもしれないから、次作品
での吹っ切った展開を大いに期待。
もう1つは・・・。まぁ、完全に好みの問題なのだけど、ラノベっぽい表紙
やっぱり苦手だなぁ、僕は(^^;)。売れるのかね、こういう表紙だと(^^;)。

ありがとうU.W.F.

▼ありがとうU.W.F. 母さちに贈る / 鈴木浩充

どういうワケだか最近リリースラッシュが続くUWF関連書籍
本命・・・というか、リファレンスとなるべき柳澤健「1984年のUWF」
皮切りに、そのアンサーとも言えるインタビュー集「証言UWF」など、
読み応え抜群の作品が多かった。しかしこの作品、これまでずっと「謎」
とされており、好き勝手な見解だけが先走っている現在のUWFを取り巻
く状況を打破する作品となるかもしれない。なぜなら、著者鈴木浩充
そう、あの新生UWFと呼ばれた株式会社ユー・ダブリュ・エフにて、
神真慈氏と共に専務取締役を務め、UWFを特別な場所まで押し上げ
た人である。

神社長・鈴木専務の2人に、30年近く取り憑いて離れないイメージは、
「横領フロント」。プロレスファンは誌面に載るプロレスラーの発言し
か拠り所が無く、例えば前田日明の発言こそ真実、と信じ込んでしまう
風潮が否めない。これに加え、新生UWF崩壊後の2人は公に対しての発
言を一切しなかった。ある意味“犯罪者”というレッテルを貼られたまま、
それを受け入れて地下に潜ったのだ。

この本は自費出版である。
これまでずっと沈黙を貫いた伝説のフロントが、どうして今になってか
ら著作を発表したのかと言うと、タイトルにある通り自らの母親のため
母が“自分の息子が泥棒扱いされている”ことで心を痛めている、という
事実を知り、ここで改めて身の潔白を証明しようとした。だから、大手
の出版社にも、ライター・作家にも頼らず、「自らの言葉」だけで表現
出来る自費出版にてこの本をリリースした、とのこと。

そもそも、UWF解散時にフロントの2人が本当に横領していた、と思っ
ているファンは、実はそれ程多くないと思う。会社を起ち上げたのは紛
れもなく神・鈴木両名であり、そこで得た利益の使い途は役員で決めて
構わない。そんなことは通常の会社に務めている人なら誰もが理解出来
ることであり、前田や他の選手の言うことがイマイチピンと来ない、と
感じていた人も少なくないハズ。ただ、ファンの心情的にはやはり選手
の味方をしたく、無条件に黙った2人のフロントに一方的に悪者になっ
て貰った、というのが本当のところだと思う。

この本を読んでいて、その考え方はおそらく正解だった、という思いを
強くしたのは間違いない。だからこそ、最悪とも言えるヒール役を買っ
て出てくれた鈴木専務には、ファンであった者としてここでちゃんとお
詫びとお礼をしておくべきだと思う次第。鈴木専務、本当にごめんなさ
い。そして我々のために悪者になってくれて本当にありがとうございま
した!

・・・というワケで、UWFに対する疑念はまた一つ晴れた。
ただ、正直「読み物」としてはちょっとだけ不満(^^;)。本職の作家さ
んでは無いのだから仕方無いが、せめて文章監修をいれるべきだった
気がする。まぁ、ファンであれば問題は無いと思うけど。
そしてもう一つ、UWF崩壊後の謎の会社「スペースプレゼンツ」に関す
る記述が殆ど無かったのが残念。その辺りのディープな話を、出来れば
また別のどこかで聞かせて欲しい気がする。

こうなってくるともう一人口を開かなければならない人が居る気が。
全てを時効にして良い今だからこそ、ご本人の言葉が聞きたいなぁ・・・。

揺るぎなし!「ビーチボーイズ」

古いDVDを整理していたら、偶然・・・というか、必然のように発見された
6枚のディスク。見つけるのは絶対に「夏」なんだよなぁ、コレが。

1997年だから、今からもう21年前の夏大ヒットした上に社会現象に近い
ところまでいっちゃったCX月9「ビーチボーイズ」。いろんな意味で、僕の
ライフスタイルを思いっきり変革してくれた連ドラである。

反町隆史・竹野内豊ダブル主演。性格も生き方も真反対男2人が、とある
きっかけで海辺の民宿に転がり込み、そこで一夏を過ごす、という、よくよく
考えてみればかなり“ありきたり”なストーリー。制作手法も典型的なトレンデ
ィドラマのソレであり、本当なら20年以上経過した後に改めて見返すような
プログラムでは無いのかもしれない。でも・・・。

自然光を大胆に活用したやたら明るい画面と、かなり考え込まれたナチュラル
な台詞回しは、今観ても全く輝きを失っていない。そして、きっと偶然だとは
思うのだが、物語の性質上、現代的なアイテムの類をほぼ必要としていない。
実際、画面には携帯電話が数回出る程度だし。そういう奇跡が重なりまくり、
年月が経っても決して「錆びない」ドラマになったのだと思う。

もちろんディテールだけでなく、この作品に出演した時期が正しく「全盛期」
だった主演反町・竹野内稲森いずみ、そして誰よりも凶悪なくらいの可愛
を醸し出す広末涼子らのハツラツとした演技は、本当に何度観ても飽きない。

このドラマに出会わなかったら、きっと今のように週に何本もドラマを観るよ
うにはならなかったし、映画以外の映像ソフト・ハードにこんなに金を使うこ
とは無かった筈。そう考えると、ちょっと複雑なのだが・・・。

・・・でも夏になるとやっちゃうんだよなぁ、このドラマの一気鑑賞(^^;)。
まぁ、いいよね、夏だし(^^;)。

▼ビーチボーイズ DVD BOX ※現在絶賛品切れ中!