THE SUN ALSO RISES

▼日は、また昇る。 / スタン・ハンセン(Kindle版)

「ブレーキの壊れたダンプカー」ないしは「不沈艦」の異名を取り、その
キャリアの殆どを日本のリングに捧げたレジェンド、スタン・ハンセン
自伝

ハンセンの存在を認識したのは、僕が小学校4年生くらいの頃だったと思う。
ニューヨークであのブルーノ・サンマルチノの首をへし折り、鳴り物入りで
新日本プロレスに参加したハンセンは、その段階で既に驚愕だった。ファイ
トスタイルは荒削りで直線的だったのだが、凶器などの反則を殆ど使わず、
フィジカルのみ圧倒的な強さを魅せる。最初こそインサイドワークに長け
アントニオ猪木に手玉に取られたが、2回・3回と来日を重ねる度に猪木
に肉薄。ついにはNWF王座まで奪ってしまった。ちなみに、NWF王者時代
の猪木がタイトルを明け渡した選手は、ハンセンとタイガー・ジェット・シ
2人だけである

僕が最初に生で観た猪木の試合は、ハンセンとの一騎打ち。それも、NWF
王者のハンセン猪木が挑むリターンマッチ。ここでスタン・ハンセンを、
そしてウェスタンラリアートを目撃してしまった事が、僕の人生を変えた、
と言って間違い無いと思う。

そんな「最重要」な選手の自伝だから、やはり居住まいを正して読んだ
現役時代の話ももちろん興味深かったのだが、それよりも引退後、未練を
残さずにキッパリリングから去った後の姿に感銘を受けた。

プロレス界には「引退」を撤回し、何度も復帰するレスラーが多々居るし、
正直ソレを否定する気はもう失せているのだが、ハンセンの態度は本当に
立派。だからこそ僕は今でもハンセンをリスペクト出来るし、大きな大会
にウィットネスとして来日するハンセンに惜しみなく大声援を送ることが
出来る。スタン・ハンセンこそが、本物のプロレスラーである。

そんなハンセンは、来年2月19日の「ジャイアント馬場没20年追善興行」
両国国技館大会に久々に来日する。当日集まるであろう多くのプロレスフ
ァンと共に、僕も大きな「ウィー!!」を叫ぼうと思う次第。

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