#これまでにない公安モノ
エンドレス状態となっている馳星周強化月間。
今回は幾つかの候補の中からしっかり紹介文を読み込み、雰囲気的にハー
ドだと思われる作品をチョイスしてみた。のだが!
主人公は警視庁捜査一課から左遷され、どうしたワケか公安に入る羽目に
なった刑事・宮澤。捜一から見ればある意味で敵対組織、公安にもちろん
宮澤を歓迎する気配は無く、「公安のお荷物」とされている椿とのコンビ
を余儀なくされる。ところがこの椿がとんでもない人物で・・・という内容。
他の作家の作品で公安を題材にした作品は多々読んでいるのだが、ここま
で「笑い」に寄せた内容の作品は初めて。精神が破綻している椿の言動が
まず面白いし、それに付き合わされて右往左往する宮澤の様子がソレに和
を掛けて面白い。ただ面白おかしいだけではなく、ちょっとゾッとするよ
うな真実や人間関係のもつれが絶妙に描写されており、ミステリーとして
の完成度もかなり高い。
さらに、この小説にはいわゆる「濡れ場」が多々。その表現が妙に艶めか
しい。馳星周、以前は官能小説の書き手だったらしく、そのテクニックに
も注目しておいた方が良い。
何よりもこういうアプローチの公安モノ、というのが新鮮で、最初から最
後までとにかく読ませてくれる。どうやら続編があるようなので、アンリ
ミテッド探索が終わったらすぐ読めるように買っておいた。
恐ろしくハマってるなぁ、馳星周・・・。