永遠の最強王者 ジャンボ鶴田

#おそらく最強だった善戦マン


▼永遠の最強王者 ジャンボ鶴田 / 小佐野景浩

G1中はほぼプロレスのトピックで埋まるこのブログ。狭間の移動日くらい
はプロレスから離れれば良いのだけど、今日の書評もプロレスモノに(^^;)。

全日本プロレスの“初代絶対王者”こと、ジャンボ鶴田の評伝。
著者は元週刊ゴング小佐野景浩編集長。業界では「天龍番」として知られて
いた記者が、鶴田の一生を描く、というのがまず面白い。

とにかく、半端じゃない文章量にまず驚かされる。
書かれているのは紛れもなく正確な事実ばかり。週刊ゴングという雑誌がど
れだけ丁寧な取材をしていたかが非常によく解る構成。これに加え、小佐野
さんという超一流の編集者が絶妙なバランスで解説を入れる。こういう書籍
だと鶴田を褒めちぎる内容に終始するのが普通なのだが、否定的な意見もし
っかり記述。きちんと「フェア」な作品になっていると思う。

ジャンボ鶴田の怪物的な強さは、昭和からのプロレスファンなら誰もが認め
るところ。しかし、その認識がついたのは天龍革命以降。もし天龍があのタ
イミングで鶴田に牙を剥かなかったら、僕らがジャンボ鶴田に対して持った
イメージは「善戦マン」で終わっていたハズ。悪い言い方をするのであれば、
「ちょっとマシな木村健悟」くらいのレベルである。

これは、元々怪物的なポテンシャルを持っていながら突き抜けられなかった
男が、どのように覚醒していったのか?を追った物語。だから、正直あまり
ジャンボ鶴田に思い入れの無い僕でも、興味を切らさずにしっかり読了する
ことが出来た。

ジャンボ鶴田が亡くなって、もう20年が経過する。
かなり遅くなったけど、ようやくジャンボ鶴田の一生がしっかりした作品と
してまとまったことを、とても嬉しく思う次第。

・・・そして、関係者の皆様は続いて藤波辰爾の評伝リリースを検討して欲しい。
猪木馬場も、天龍鶴田も、そして前田長州でさえもしっかりした書籍
が存在するのに、藤波の作品が無い、というのは大問題。藤波さんご本人が
元気なうちに、是非!