Double or Nothing

ALL ELITE WRESTLING #Double or Nothing


注目の新団体・AEW(ALL ELITE WRESTLING)の旗揚げ戦は、ラスベガスの
MGMグランドアリーナFITE.TVのPPVでなんとか観れたのだけど、この団体、
いろんな意味で揉めそうな気配が(^^;)。

取り敢えずYouTubeにダイジェストが上がってたので、まずは↓↓を。

ビックリしたのは主に2つ

メイン、ケニー・オメガvsクリス・ジェリコのAEW初代世界王座決定戦への
出場権を賭けた試合、なんとジェリコの勝利。ジェリコは6月に新日本に参戦、
IWGP王者のオカダ・カズチカへの挑戦が決まっている。新日本とAEWの関係
を考えると、この結果に?マークが点くのだが・・・。

そして大問題なのはそのメインに乱入したのがついこないだまでWWEに所属
していたジョン・モクスリー(a.k.a.ディーン・アンブローズ)だったこと。
WWEの規定では、退団後6ヶ月は他団体のリングに上がれない契約の筈なの
だが、これは明らかにWWEにケンカを売るような行為。さて・・・。

全体的には「さすが!」と言えるレベルを保った旗揚げ戦。
特にセミのヤングバックスvsルチャブラザーズの試合は現代プロレス象徴
するような試合。不安があるとすれば、今後もこのレベルを維持しなければ
ならないこと(^^;)かなぁ・・・。

この旗揚げ戦を観て、新日本プロレス&ROHとWWEがどう動くのか見物。
そしてなんとか日本でも通常のTVショーが観たいのだが、どうなる?

さよならムーンサルトプレス

#闘魂三銃士 #スペース・ローン・ウルフ #610


▼さよならムーンサルトプレス 武藤敬司35年の全記録 / 福留崇広

スポーツ報知のwebサイトで連載された同名の記事をまとめ、200ページを
超える加筆を加えて再編成したもの。誰もが「天才」と認める平成を代表す
るプロレスラー・武藤敬司の35年が、ボリュームたっぷりに描かれている。

いわゆる通常のプロレス本と一線を画しているのは、ストーリーの基軸に
武藤の必殺技「ムーンサルトプレス」を置いていること。デビュー時から使
い続けていたこの技は武藤敬司を超一流プロレスラーの座に導いたが、代わ
りに日常生活すら困難となる深刻な疾患を産み出した。酷使された膝は完全
にボロボロの状態。普段の武藤敬司が移動に車イスを使用している、という
のは、ファンの間では有名な事実。武藤が文字通り身を削ってまで使い続け
この技を各所で絡めることにより、「評伝」「物語」にまで進化してし
まっているのだから凄い。

これはもう、福留崇広という記者の構成力文章力の勝利。
僕は武藤敬司が天才プロレスラーであることに全く異論は無いのだが、好き
かキライかで言えばキライなタイプ。故ジャンボ鶴田同様、持って生まれた
身体能力に頼るファイトスタイルに心を揺さぶられた記憶が無い。そんな僕
が、この本を読み終わる頃にはちょっとした武藤ファンになっている、とい
う事実。この書き手もまた、「天才」なのかもしれない、と言ったら褒めす
ぎ(^^;)かもしれないが。

先頃人工関節を入れる手術が成功し、新日本プロレスのMSG大会でグレート
・ムタとして復帰したばかりの武藤。相変わらずの天才ぶりを発揮し、米国
の観客を魅了したのは記憶に新しいところだが、もう武藤が月面水爆で宙を
舞う姿は二度と観られない。この本を読んだ所為で、その事実が急に寂しく
なったのだが、プロレスのリングからまだ「天才」は奪われていない、とい
“もう一つの事実”には感謝すべきだと強烈に思った。

掛け値無しに凄いノンフィクション
ちょっとでもプロレスに引っかかりを覚える人は、絶対読むべき!

AEW、PPVまもなく!

#ALL ELITE WRESTLING #Double or Nothing


気が付いてみたらもう今週末に開催されるAEWのPPV「Double or Nothing」
発表された時はそりゃあもうトキめいたのだけど、何故だか今はそれ程でも
無いのだから不思議。

おそらく新日本のMSG大会がかなり良かった所為で、日本人ファンにアレ以上
訴えることの出来るイベントを今のAEWがやれるとは思えないから。出揃った
カードはそこそこ魅力的だけど、メインのケニーvsジェリコが新日本の時ほど
盛り上がるかどうか、正直疑問。

・・・まぁ、一応何かでチェックするつもりだけど、果たしてどうか?
注目すべきはヤングバックスvsフェニックス&ペンタかな?

夜の虹を架ける

#四天王プロレス #超世代軍


▼夜の虹を架ける / 市瀬英俊(Kindle版)

元週刊プロレス編集者市瀬英俊による、全盛期全日本プロレスの回顧録。
主要登場人物は三沢光晴・川田利明・田上明・小橋建太、いわゆる全日四天王
の4名に加え、G馬場・J鶴田・天龍源一郎・菊池毅・秋山準・Sハンセン他。
天龍革命後期から三沢NOAH設立までの時期、週プロで全日本を担当しなが
ら、編集長のターザン山本と共に影のマッチメイカーを勤めた、とされる作者
の、強大な思い入れが詰まった作品。

あの頃の全日本に対する僕の思いは、非常に複雑なモノがある。
生まれてから今に至るまで、基本猪木信者である僕にとって、全日本プロレス
とは目の上のたんこぶ三銃士の時代を迎えていた新日本プロレスに対し、そ
の試合の激しさで真っ向から対抗した全日本は、正直やたらウザかった

が、一度でも試合を観てしまうとそういう感情は引っ込めざるを得ない
何故なら四天王の繰り広げたプロレスはその説得力が尋常では無かったから。
相手のをけして避けず、首だろうが腰だろうが、ほぼどんな部位でも対戦相
手に無防備に差し出す。そればかりが、投げ技を本当に「脳天」から落とすの
だから、そういう試合を魅せてくれる選手たちに文句などある筈が無い。対極
に居た筈の新日ファンさえ黙らせたのだから凄い。

・・・四天王全員が(事実上)リングを去っている今、「四天王プロレス」の是非
を問う論争が各所で起こっている。論調は「やはりやり過ぎ」「選手も客も異
常だった」、そして「今のプロレスをダメにした」など、正直肯定的な意見は
殆ど出ない。本来これは我々ファンの側が論じて良い内容でないことは明白。
なぜなら、我々が「求め」なければ、彼らは「実行」しなかった筈なのだから。

だから。
誤解を恐れずに、そして失礼を承知で書くのだが、市瀬英俊にこんな作品を書
いて欲しくなかった、というのが本音。あの頃の週プロは間違い無く今起こっ
ている事態の主犯であり、我々も間違い無く共犯者である。あの時代で麻薬の
ような高揚感を味わった我々が今できる「贖罪」とは、人間を破壊してしまう、
もっと言えば人の命を奪ってしまうような「過剰さ」を、プロレスに出来るだ
け求めないことなんじゃないか、と僕は思っている。

市瀬さんはこの本を書くことでどうしたいのか?が、正直見えてこない
今後のプロレス界に警鐘を鳴らすことが目的なのか、それとも単に「あの頃は
凄かった」なのか。臨場感はたっぷりだし、文章にもさすがの迫力がある。
それだけに、目的を曖昧にしたまま終わってしまった感のある構成はちょっと
残念。あの頃の署名原稿のような、一刀両断さが欲しかったなぁ・・・。

SILVER KING

#ロス・カウボーイズ


そんな馬鹿な・・・と思った。
5月11日、英国・ロンドンで行われた大会にて、フベントゥ・ゲレーラ
のシングルマッチを行っていたシルバー・キングが、試合中の心筋梗塞
死去。享年51・・・。

ついこの間、後楽園ホールで試合を観たばかり。
コンディションの良さに驚かされ、相変わらずルチャドールとしては珍し
「強さ」を前面に出した試合を魅せてくれた。まさかシルバーが、こん
なにも早く逝くなんて・・・。

ロス・カウボーイズは最高のタッグチームだった。相棒のエル・テハノは、
きっとアッチで怒っている筈。なんでこんなに早くコッチへ来たんだ?と。
僕らも呆然とするしかない。だって、あのシルバー・キングなのだから。

どうして・・・という思いが本当に・・・。
せめて最高のルチャドールの一人であるシルバーの行き先が、すばらしい
世界でありますように。また必ず、どこかで。

シルバー・キング
父はドクトル・ワグナー。19歳の時にドクトル・ワグナー・ジュニアとし
て全日本プロレスに初来日。ユニバーサルプロレスにロス・カウボーイズ
として参加し、一躍人気レスラーに。2001年には新日本プロレスに3代目
ブラック・タイガーとして来日し、ケンドー・カシンとタッグを組んだ。
2008年、中嶋勝彦を破って世界ジュニアヘビー級王者に。最後の来日は
2019年3月14日・後楽園ホール「Lucha Libre Estrella Fiesta」。

※現役のまま生涯を終えた故人に敬意を表し、敬称を略させていただきました。