北尾光司

#八百長野郎 #空拳道


元大相撲第60代横綱で元プロレスラー・元武道家・元総合格闘家
北尾光司氏が2月10日に逝去していた模様。死因は慢性腎不全、享年55

僕らにとって北尾とは、長い間ずっと「A級戦犯」であった。
許せなかったのはやっぱりSWS時代、ジョン・テンタとの試合中にいき
なりマイクを掴み、「この八百長野郎!」と叫んだこと。あの頃の僕は
“八百長”という言葉に敏感で、それをプロレスラー自らが叫んだ事実が
腹立たしいやら悔しいやら。その段階でもう二度と見ることの無い選手
だと思っていたのだが・・・。

それでも北尾を実力者として認めざるを得なくなったのは、Uインター
での山崎・高田との二連戦。あの山崎を子ども扱いし、満を持して行わ
れた高田との一戦では後に伝説となったハイキックでのKO負け。未だに
この試合は僕の観たプロレスの試合の中でもベストと言えるモノである。


逝去のニュースを見て、もう一度北尾のデビュー戦ビガロ戦を確認し
てみた。今この試合だけを改めて見れば、決して悪い内容ではない。
この日は他の試合が凄すぎただけだった、というのはフォローしすぎな
んだろうか?

出来ればもう一度だけ、プロレスファンの前に姿を見せて欲しかった。
ビガロとの決着戦があるのなら、その時はあちらで必ず観戦したい。
ご冥福をお祈りします。

Lucha Libre Estrella Fiesta

後楽園ホールにて「Lucha Libre Estrella Fiesta」を観戦。
開催と参加選手が発表された段階で絶対観に行こう、と決めていた興行。
懐かしき「ユニバーサルプロレスリング連盟」残り香を嗅ぐために・・・。

僕の本命は第三試合に登場したケンドー
ユニバがあれだけ盛り上がったのは、間違い無くケンドーの存在があった
から。全盛期ケンドー打たれ弱い、という致命的な弱点(^^;)こそある
ものの、ゴムマリのようなバネ立ち居振る舞いの面白さはピカイチ。
そして僕らに「応援すること」楽しさを教えてくれたのもケンドーだった。

ケンドーも年を取り、動きはさすがに全盛期に及ばないが、その面白さだ
けは昔のまま。最後もイホ・デル・パンテーラにカンパーナを決め、見事
に勝利を奪って魅せてくれた。

そして、まさかの再来日を果たしたのがタケダ
リングネームがタケダであった、という理由だけで日本に来たタケダは、
相変わらずマスク以外の特徴は無かった(^^;)のだが、そこに居るだけで
観客を楽しませてしまうのは凄い。


ケンドーやタケダをユニバのリングで最初に観たのはもう30年近く前
あの頃からずっと大好きな選手(タケダはそれ程でも無いけど^^;)が、
今もリングに上がって観客に手を挙げてくれる。こんな幸せ、プロレス
ファンをやってなければ絶対に感じられない。ありがとう、ケンドー!

メインに登場したのは、これまた懐かしきエル・イホ・デル・サント
しかも対戦相手の中にフェルサ・ゲレーラが居る。あまりの懐かしさに、
ちょっとだけ泣きそうになった

そしてもう一人、ネグロ・カサスエル・テハノ、そして浅井嘉浩と共に、
ユニバの「強さ」の部分を担ったシルバー・キング。ユニバ以降も各団体に
来日していたが、生で観るのは本当に久しぶり。身体は完全にヘビー級にな
っていたが、その迫力未だ健在。いやぁ、凄ぇわ・・・。

試合内容については正直語る必要すら無いと思うのだが、敢えて言うなら、
「予想以上に良かった」としておく。何よりも、動くサントやケンドーを、
2019年の今、“観ることが出来た”という経験は何にも代え難い。

企画してくれたスターダム・ロッシー小川社長と、東京愚連隊に感謝を。
おそらくもう次は無い、と思うけど、もし2回目があるのなら、次回も必ず。
楽しかったなぁ、本当に。

THE “INTELLIGENT SENSATIONAL” DESTROYER

“白覆面の魔王”こと、ザ・デストロイヤー(本名:ディック・ベイヤー)が、
3月7日(日本時間8日)、米国ニューヨーク州・バッファローの自宅で永眠
死因は今のところ明らかにされていないが、家族に看取られた安らかな死で
あったという。元WWA世界ヘビー級AWA世界ヘビー級王者。享年88

僕がプロレスに興味を持った要因の一つが、ザ・デストロイヤー。
他のスポーツでは絶対にあり得ない“覆面レスラー”という存在があまりに
奇異な上に、当時の子どもたちの誰もが真似した“足四の字固め”という必
殺技の説得力と相まって、プロレス少年の心をガッチリ掴んだ。僕が知っ
た頃のデストロイヤーは全日本プロレス日本陣営で活躍する正統派だっ
たことも大きな理由。


↑↑はあまりにも有名な力道山との死闘。
この試合のテレビ視聴率64%という放送史上4位の記録。真っ白なマスク
を鮮血で染める姿は当時のデストロイヤーの定番であり、最も恐怖を感じさ
せるプロレスラーであったらしい。


力道山亡き後の日本プロレス時代は、エース外国人として猪木・馬場と対戦。
↓↓、YouTubeで発見した猪木との試合は実力者同士の好勝負で、今観ても
唸ってしまう程のレベル。

全日本プロレス参戦時は、PWF認定US王者として活躍。
↓↓のマスカラスとの試合を始め、大ヒット企画「覆面十番勝負」シリーズ
ではずっとデストロイヤーを応援していた。このマスカラスとの試合も記憶
しているのだが、会場の声援がマスカラスに集中していたのに憤っていた覚
えがある。

そして、僕が最初に手に入れたマスクもデストロイヤーのもの。
直筆サインの入った、今思えばかなり貴重なモデルだったのだが、小学生の
頃に何度も被ってプロレスごっこをしたため、破れてしまったのが非常に悔
やまれる。今もマスクを収集しているのは、あの頃のトキメキが未だに鮮明
なのが原因だと思う。

謹んでご冥福をお祈りします。
長生きしてくれたことを感謝すると同時に、これまでの功績を大きくリスペ
クトします。また必ず、どこかで。

※偉大なるプロレスラーであった故人に敬意を表し、敬称略とさせていただ
きました。

“JUSHIN” THUNDER LIGER

今日は別のことを書くつもりだったのだが、そういうワケには行かなくなった
以下、本日行われた新日本プロレス・旗揚げ記念日大会一夜明け会見の模様。

・・・獣神サンダー・ライガーが、来年1月東京ドーム二連戦での引退を発表。
引退の理由として、「伸びしろがなくなった」と語った。

昨日のエントリで「そろそろ覚悟した方がいい」と書いたのだが、あの熱戦
の翌日に事実としてそれを突きつけられた感。本人は異様なまでに明るく、
悲壮感の全く無いライガーらしい記者会見で、僕も大いに笑わせて貰ったの
だが、途中でおかしな状態となった。

間違い無く爆笑していたのに、同時に号泣
平成の新日本プロレス・・・いや、平成のプロレス界で、僕らにたくさんの大
きな夢を魅せてくれた「正しいプロレスラー」が、自らの口で引退をアナウ
ンス。ライガーが決めたことなら、我々はそれを受け入れるより他無い、と
いうことを心では解っているのだが、涙腺はソレを受け入れてくれなかった
らしい。

僕にとっての「平成」は、正直思い入れを持ち辛い時代だった。
僕は20年間の昭和を過ごしたが、人生に於ける大事なこと・・・凄く嬉しいこ
とや凄く悲しいこと・・・を、その時期にほぼまとめて経験したから、その後
の人生はほぼほぼ「妥協」。好きなプロレスラーも殆ど全員が昭和を代表す
る選手であり、そういう人たちが引退したら、僕もプロレスを離れていった
筈だった。でも・・・。

平成の僕らには、獣神サンダー・ライガーが居た。
自ら進んで奇抜なマスクを被り、それまで誰も考えつかなかった技をいくつ
も繰り出す。オトナたちを唸らせ、子どもたちを会場に呼ぶ。試合のみなら
ず、プロモーターとしても超一流で、禁断であった他団体の選手を一同に集
めて行った「SUPER J-CUP」が実現出来たのは、ファンのみならず同業者で
あるプロレスラーからも絶大に信用されていたライガーが企画したからこそ。
妥協もクソも無い、自分のやりたいことをパワフルに実現するライガーの姿
に、何度励まされたか・・・。

本当の「感謝」は、ラストマッチが終了した時点で改めて。
残りはまだ10ヶ月もある。僕はこれからできるだけ多くライガーの試合を観
て、大事なモノが何だったのかをもう一度思い出そうと思う。もちろん最後の
東京ドームも、出来るだけ良い席で観戦するつもり。

デビュー戦引退試合を、同じドームで。最後まであるよ、ライガー・・・。

獣神サンダー・ライガー

新日本プロレス・旗揚げ記念日@大田区総合体育館をNJPW WORLDにて。
興味深いカードが多々組まれたのだが、僕の興味は一点のみ。
リアル・リビング・レジェンド獣神サンダー・ライガーが、石森太二
持つIWGPジュニアヘビー級王座に挑戦したタイトルマッチがソレ。

入場から場内にこだまする大ライガーコール
平成時代の新日本をずっと引っ張ってきた選手は、もうライガーしか居ない。
観客もそのことをよ〜く解っている。


その存在自体が「日本の誇り」と言っても全く過言の無いプロレスラーは、
一回り以上若い王者を翻弄し、そして追い込んだ。試合の主導権の8割を握
りながらも、最後は石森のYESロックに無念のギブアップ・・・。

試合後にライガーは、
「石森が強くて、俺が弱かった。それだけ。俺なりにいろいろ考えることも
あって、近いうちにいろいろ語らせてもらう。ただ、俺が弱かった、これが
現実」、さらに「あれだけ応援してもらって、それに応えることができなか
った。ある意味、プロ失格だと思うし。口下手な俺が、あとでまた語らせて
もらいますので。今日はそれだけ。ごめん!」と語ったらしい。

・・・ライガーの凄いところは、新日ジュニアという世界で認められている場所
に、自らの後継者を多々創ったこと。いや、ジュニアだけではなく、例えば
現在WWEでトップを取っている殆どのレスラーが、スーパージュニア時代
ライガーに少なからず影響を受けている。一世代以上前のレスラーなのにも
かかわらず、現役でリングに上がり、世界中で尊敬を受けている。でも・・・。

ライガーも今年で55歳(な筈)。
だとするのなら、僕らもそろそろ覚悟した方がいいのかもしれない。その前に
もう一度だけ・・・。IWGPジュニアのベルトを巻く獣神サンダー・ライガーの姿
を観たい。

Please, One more Fight, LIGER!