Mr.POGO

“極悪大魔王”こと、ミスター・ポーゴが23日に逝去。
死因は腰の手術中の脳梗塞。危篤状態に陥り、そのまま帰らぬ人となった。
享年66

日本人悪役プロレスラーとしては、おそらく日本でいちばん憎まれた
選手なのだと思う。大仁田厚松永光弘とのあまりに泥臭い一連の抗争は、
UWFや格闘技がトレンドであった時代に異彩を放ち、我々を魅了した。
プロレスをプロレスらしく魅せてくれた偉大な悪役だったと思う。

次にポーゴの勇姿を見る機会があれば、僕も以前同様盛大にブーイング
送るつもり。とにかく、いったん「お疲れ様でした」と言わせて貰います。
また必ず、どこかで。

※復帰を目指して手術を受けた現役プロレスラーに敬意を表し、敬称は略
させていただきました。

DOMINION IWGP INTERCONTINENTAL CHAMPIONSHIP

新日本プロレス・初夏のビッグマッチとしてすっかり定着した
ドミニオン・大阪城ホール大会をNJPW Worldにて。語るべきことが多々
あった大会なのだけど、ここはセミファイナルに絞って触れておきたい。

内藤哲也の保持するIWGPインターコンチネンタル選手権に挑んだのは、
欠場明けの棚橋弘至。東京ドームで内藤の下克上を許し、2017年の上半期
を完全に棒に振ってしまったエースが、現状でいちばん説得力のある王者
とどう闘うのか?が注目された一戦。

賛否両論があるとはいえ、「タイトルを粗末に扱う」というギミックで
中邑真輔以来初めてインタコンチに色を付けた王者の内藤。方法論はとも
かく、IWGPヘビー級戦線とは違った種類の闘いを新日本のもう1つの主軸
にした功績は認められるべき、と正直思う。この試合に関してのお膳立て
全て内藤が作ったモノ。ひさびさに完全なベビーフェースとしてリング
に上がった棚橋は、本当にイキイキと怒っていた

そして、新日本の中でも1・2を争う試合巧者な2人。それぞれ起承転結
作るのが非常に上手く、刻一刻で入れ替わる攻守芸術の域。棚橋の負傷
箇所である腕を攻める内藤ゾクッと来るような笑顔。気がついてみたら、
凄いチャンピオンになっていた。


しかし、今回は全ての局面で棚橋が少しだけ内藤の上を行ったかも。
中邑ポーズからのハイフライフローを決まり手にせず、拷問式テキサス
クローバーホールドフィニッシュに持ってきた、というセンスが凄い。
内藤がタップした瞬間、思わず「おお!」と唸ってしまったほど。

やはり棚橋はベルト姿が良く似合う
出来ることなら、棚橋は中邑・内藤に続き、インタコンチに色を付けられ
3人目の王者として、長くこのベルトを巻いて欲しい。
そして内藤も、もう遠慮無くIWGPヘビー級王座を狙うべき。それも年内
の戴冠を強く願う。今年のドームのメイン、王者・内藤に、誰かが挑む
というのが正しい気がする。内藤は上半期で、そこまでのことをやった
と僕は思っているので。

ライガー最後のBOSJ

新日本プロレス「BEST OF THE SUPER Jr.2017」Aブロック最終公式戦・大阪
大会の模様をNJPW Worldにて。

BOSJ、いつもなら星取り状況に一喜一憂し、最終戦まで楽しみまくる大会な
のだが、今回はどうしてもテンションが上がらない。原因は明白。
大会前のインタビューで、獣神サンダーライガー「今年でBOSJを卒業」
明言していたから。


ここまで全敗のライガー、最終戦の相手は鈴木軍タイチ
ゴング前からセコンドの金丸デスペラードと3人がかりでライガーを蹂躙
し、序盤から獣神はフラフラな状態に。


レフェリー不在のリングで、マスクはおろかコスチュームまで破られたライ
ガーだが、最後まで闘志は衰えず。金丸・デスペラードをKUSHIDA田口
抑える間に、掌底→ライガーボム→垂直落下式ブレーンバスターのフルコー
スを爆発させ、最後のBOSJを勝利で飾って魅せた。

僕にとってライガーは本当に特別な選手
ライガーが居なければジュニアヘビー級というジャンルはもうとっくに潰れ
ていたかもしれないし、BOSJがこんなに長く続くことも無かった。取り敢え
ずは「お疲れ様です!」と言いたい。

しかしあくまでBOSJ卒業
まだまだ引退なんて絶対して欲しくないし、世界中のコアなファンにその姿
を焼き付けてあげて欲しい。お願いだから「辞める」とか言わないで・・・。

証言UWF

▼証言UWF 最後の真実 / V.A

柳澤健の『「1984年のUWF」に対するアンサー』として出版された、とされ
る、ある種いわくつきの本。出版社は暴露系のプロレスムックを多数リリース
している宝島社。正直、全く期待していなかったのだが・・・。

柳澤氏の著作と大きく違うのは、この本が「関係者による証言」の集合体であ
ること。1984にも関係者のインタビューは多々掲載されているが、彼の本の
中には“実際にリングに上がっていたレスラー”の言葉が殆ど無い。その代わり
フロント雑誌記者興行関係者の証言が多く掲載され、さらには柳澤氏の
鋭い見解に溢れている。そのため、読み物としてのグレードが高く、満足度の
高い作品に仕上がっていた。

しかし、こちらは完全に真逆
基本はUWFに参加していたレスラーとその周辺の人々の“言葉”のみで構成され、
余計な脚色編者の意見などは一切掲載されていない。1984を読んだ後だか
らこの編集方針は非常に効果的で、一度ケリが付いた筈の僕のUWFへの思いが、
もう一度頭をムクッと起こしてきたような感覚さえ産まれた。

この本に対し、“証言”をしたUWF戦士は下記の通り。
前田日明・藤原喜明・山崎一夫・中野巽耀・宮戸優光・安生洋二・船木誠勝・
鈴木みのる・田村潔司・垣原賢人
・・・UWFのリングで、僕自身が全員のファイトを目撃している。彼らの語り口
皆一様に魅力的ながら、全員が明らかに違う見解を持つ。この証言集に説得力
が無いワケが無い。これもまた、“凄い本”である。

30年近く前に消滅した団体なのに、今もこれだけの求心力を持つUWF。
あの団体の始まりから終わりまでを観た僕も、きっと一生UWFを抱えて生きて
行くんだろうなぁ、と思った。

宝島真面目にプロレス本を作った結果がこの本。
出版社にアレルギーのあるプロレスファンも多いと思うが、UWFに心を揺すら
れた覚えのある同志なら、読んでおかないと損をする。名作です。

SHINSUKE NAKAMURA on WWE!

WWE NETWORKにてPPV「BACKLASH 2017」をタイムシフト観戦。
今回の主役は間違いなくKING OF STRONG STYLEこと中邑真輔。NXTから
上がってきた選手がPPVで一軍デビュー、というのは破格の扱い。
実際、このPPVのプロモーショングラフィック真輔のワンショットだった
のだから凄い。

対戦相手は過去に二度WWE世界王者になっているドルフ・ジグラー
アマレスをバックボーンとする基礎に忠実な選手で、日本のファンが思うよりも
かなり大物(^^;)。実は真輔とジグラーはSmack Downダークマッチで何度も
対戦しており、この段階で磨き上げられた鉄板カードだったのだと思う。

真輔はこの大物相手に終始余裕の試合運び。ちょっとくらい緊張してても良さそ
うなモン(^^;)なのに、ノリまくって試合するところはさすが。コレをやってる
のが日本人だ、というのがすっごく嬉しい。


ジグラーの持ち味を引き出し、得意技を受けきった上での貫禄勝ち。
フィニッシュは定番のリバースパワースラムからのキンシャサだったのだが、
この少し前にジグラーの片足タックルをガブり、横にスライドしてニーを決める。
というMMA的なムーブも。こういう試合をされると、もう唸るしか無い。

100点満点のデビュー。
もしかしたら、年内にWWE世界ヘビー級のベルトを巻く真輔の姿が観られるかも。
一刻も早くその時が来てくれるといいなぁ♪