“黄金の虎”と”爆弾小僧”と”暗闇の虎”

#奇跡の英国トライアングル


▼”黄金の虎”と”爆弾小僧”と”暗闇の虎” / 新井宏

G SPIRITS BOOK VOL.14としてリリースされた作品。
著者の新井宏氏は、G SPIRITSで秀逸なインタビュー記事を幾つも手掛けた
人で、あのダイナマイト・キッド最後のインタビューを敢行した日本人
として知られる人。おそらく古今東西の英国マット事情に一番あかるいプ
ロレスライターである。

そんな新井氏が【タイガーマスク】を書く。そうなると絶対に外せないの
は、初代タイガーマスクこと佐山サトルと一緒に時代を築いた二人の偉大
な英国人プロレスラー。もちろん、ダイナマイト・キッドローラーボー
ル・マーク・ロコである。

佐山の新日本プロレス入門から現在に至るタイムラインの中に、キッドと
ロコの二人の人生をバランス良く織り交ぜているのがポイント。どちらか
と言えば主軸は既に故人となっているキッドとロコの二人であり、彼等の
凄まじいキャリアがストレートに入ってくる。文体は淡々としたドキュメ
ンタリーなのに、そこには確実に「熱い何か」が。恥ずかしながら、二人
が永眠する件を読んでいる時、嗚咽を交えて号泣してしまった。

『爆弾小僧』『暗闇の虎』も、もうこの世に存在しない。
そんな揺るぎない事実を突きつけられた上で、改めてキッドとロコの稀有さ
を思い知った。

この本を書いてくれた新井氏を心の底からリスペクトすると共に、感謝の
言葉を贈りたい。「傑作」をありがとう、と。

・・・そして残された佐山先生、お願いだから1日でも長く生きてください
『黄金の虎』は、僕らの最後の牙城なのだから。

門茂男のザ・プロレス ≪角川抜粋版≫

#元祖暴露本


こないだ仕入れた例の稀覯本文庫の3冊を一気に読んだ。

『門茂男のザ・プロレス』シリーズ3冊で、タイトルはそれぞれ「力道山の
真実」「馬場・猪木の真実」「群狼たちの真実」。著者の門茂男とは、
力道山時代に東スポプロレス担当記者として活躍し、力道山没後は日本プロ
レスコミッションで長い間事務局長を務めたバリバリのインサイダー

佐山サトルの「ケーフェイ」やミスター高橋の「流血の魔術」以前に書かれた
プロレス内幕暴露系元祖で、オリジナルは「門茂男のザ・プロレス365」
いう8冊単行本。この角川文庫版は、そこからの抜粋である。

ここまで長い間プロレスを観ているから、仮に暴露本を読んでも今さら何も感
じない僕だが、多感な頃に365を読んだ時、そりゃあもうアタマに来た(^^;)。
小学校高学年くらいで『暗黙の了解』という概念(^^;)が染みついていた僕だ
が、これが「本」として流通している、という事実が気に食わず、完全黙殺
ていた少年期(^^;)。熱かったなぁ、あの頃は。

今読み返すと、暴露の部分も後にいくらでも出てくる他の作品に比べれば全く
大したことは無い。逆に【日本プロレス】という会社の経営に纏わる真実の部
分は今でも興味深く読める。こりゃ大人になった、ということでいいのかな?

この抜粋版も絶版であり、今では入手困難。
もし叶うのであれば、オリジナルの365全巻をもう一度しっかり読みたい。
復刊ドットコムあたりでなんとかしてくれないかなぁ・・・。

SAKURA GENESIS 2021

#IWGP #njSG


新日本プロレス「SAKURA GENESIS」両国国技館大会。
見どころは大小でそれぞれ一つずつ。大きい方はもちろん初となる『IWGP世界
ヘビー級タイトルマッチ』初代王者飯伏幸太が、NJC2021を圧倒的に制し
ウィル・オスプレイの挑戦を受けた。

この2人には珍しく、序盤は探り合うようなジックリした展開。おそらく世界タ
イトルマッチを意識してのことだと思われるが、個人的にこの2人にはそういう
トラディショナルは必要無い気がする。

それでも試合は徐々にヒートし、両者はいつものように難易度の高いムーブを
交歓。結果、【新世代の世界タイトルマッチ】に相応しい内容になったのだか
ら、さすがに二人とも非凡。特にオスプレイの成長が凄まじく、途中からゲー
ムメイクの全てを掌握とんでもない選手になった・・・。

生ヒザのカミゴエをスカされた飯伏を、ヒドゥン・ブレイド→ストーム・ブレ
イカーの必殺コースを決めたオスプレイが激勝。文句の付けようのない完璧な
勝利で二代目のIWGP世界王座を獲得した。

久しぶりの20台王者が誕生。これまで何人かの外国人IWGP王者が誕生したが、
僕のオスプレイの評価は歴代のどの選手よりも高い。このまま長期政権を築く
ことが出来れば、名実共に新日本プロレスのエースとなるハズ。このまま突っ
走って欲しいなぁ、マジで。

ちなみに小さい方UNITED EMPIRE「X」ヘナーレでした(^^;)。
ソンブラとかマーティ・スカルを期待してたので正直肩すかしだったけど、
ヘナーレが浮上するには良いキッカケ。今後を大いに期待します!

IWGP “WORLD” HEAVY WEIGHT CHAMPIONSHIP

#IWGP


新日本プロレスは本日の後楽園ホール大会の試合開始前、新設された
【IWGP世界ヘビー級王座】チャンピオンベルトをお披露目。かねてより
初代王者に認定されていた飯伏幸太が、このベルトを受け取った。

・・・以前も書いた通り、IWGP世界ヘビー級王座に一切の文句は無い
時代は変わるべきだし、今一生懸命闘っているプロレスラーに対して歴史
云々を論じるのは野暮であるし、失礼でもある、と今は思う。

IWGP王座が新しい歴史になったところで、新日本プロレスから昭和の匂い
が薄れたのは間違い無い事実。他の昭和に生まれたタイトル、IWGPタッグ
はまぁいいとして、せめてIWGPジュニア王座だけは歴史を継承して欲しい
ところ。

ただ、日本で初めて生まれた「文句の無い世界王座」の誕生は歓迎したい。
WWEが完全にエンタメに寄っている今、もしかしたらプロレス界で一番
価値のある世界王座になる可能性あり。あとはもう飯伏幸太次第。
ガンバレ!

Mil Máscaras

#50th Anniversary


『仮面貴族』ミル・マスカラス初来日から、今年で50年が経過する。
これを記念し、Gスピリッツが大々的なマスカラス特集。本人への最新イン
タビューの他、弟のドス・カラスのインタビュー、獲得メジャータイトル
の解説など、非常に興味深い内容となっているのだが・・・。

最近発掘されたゴング・ポケットダイジェスト③マスカラス特集と並べてみた。
マスカラスが日本で大人気になったのは、本人が来日する前から毎月のよう
プッシュした月刊ゴングのおかけ、というのはほぼ全てのプロレスファン
が知っている事実。「ゴングのマスカラスか、マスカラスのゴングか」とい
うキャッチフレーズまであった。

Gスピリッツの編集チーム首脳陣はみなが元ゴング編集者。そういう意味で
マスカラスの特集本が出るのは頷けるのだが、その前に大きな奇跡に感謝
しなければなるまい。

ミル・マスカラスが、未だに存命であり、元気で過ごしていること。
更に凄いのは、ミル・マスカラスが未だ現役のプロレスラーであること。
マスカラスももう78歳(!)。こうなったら僕が死ぬまで生きてて欲しい。

「千の顔を持つ男」「百の年を重ねた男」になったらカッコイイじゃん♪

▼G SPIRITS No.59