校閲ガール トルネード

▼校閲ガール トルネード / 宮木あや子(Kindle版)

もう少し引っ張ろうかなぁ、とか思いながら、結局ガマン出来ずに買って
しまった宮木あや子・校閲ガールシリーズの第三作にしておそらく最終作
「校閲ガール トルネード」

前作の「ア・ラ・モード」が主人公・河野悦子の周囲の人間の集大成=
アラモードであったことを考えると、今回のサブタイトルにもきっと意味
がある、と予測して読書開始。そしたら・・・。

予測通り(^^;)。
今回は最強の校閲ガール・悦子に「人生の岐路」が続出し、伴って色々な
人たちにもターニングポイントが。それに巻き込まれていく様は、まさし
トルネード(竜巻)出版業界のトルネードは、ちょっとばかり凄い

そして今回いちばんグッと来たのは、終盤であの人の口から説得力抜群
語られる「やりたい仕事と向いている仕事が、違ったんです」という言葉。
僕自身もどこかの段階でコレに気が付いた。その時に感じたどうしようも
無い絶望感を、まるで昨日のことのように思い出し、胸が痛くなったほど。

・・・やっぱこのシリーズ、共感度が半端じゃない。
巻末のマンガ「もう出ません」とあったけど、それはちょっと寂しすぎ
る。出来れば数年後の景凡社の風景を見たいなぁ・・・。

校閲ガール ア・ラ・モード

▼校閲ガール ア・ラ・モード / 宮木あや子(Kindle版)

昨年のちょうど今頃に読んだ宮木あや子「校閲ガール」の第二弾。
っても「オシャカワ」こと河野悦子がバッキンバッキンに活躍する話では
なくて、彼女の周辺人物たちのスピンオフストーリーをまとめた短編集

こういうある意味「企画モノ」的な作品の場合、キャラにどれだけ思い入
れが持てるかがポイントなのだけど、校閲ガールに関してはこれ以前に
1作あるだけ(^^;)。ゆえに、通常ならば「いきなりスピンオフ?」的な
ひねくれた感情を持ってもおかしく無い。

ところが!
連ドラの印象が功を奏し、登場人物たちにやたら思い入れを持って読めち
ゃうから凄い。実はドラマと原作は細かい設定がかなり違い、彼ら・彼女
らの働いている現場も違う筈なのだが、それでもドラマとの違和感が全く
無い。そういう意味で、映像化が大成功したシリーズなのは間違い無い。

そして各人のエピソードもほっこり瑞々しく感動出来る物語ばかり。特に
茸原部長壮絶な過去に関するエピソードは、ちょっと涙が出た。

このシリーズ、いいなぁやっぱり。
続編ももうとっくにリリースされてるから、すぐにでも読めるんだけど、
終わっちゃったら寂しくなりそう(^^;)。どうしようかなぁ・・・。

バリアフリー温泉で家族旅行

最近ヒマがあれば調べているのが、バリアフリー温泉
ちょっと身体の動きに難のある人でも気にせずに行ける温泉宿、というの
を出来るだけ近郊で探しているのだが、「近郊」というのがちょっと問題。
どの書籍を読んでも関東甲信越では適当と思える物件が結構無かったりす
るのだけど・・・。

▼バリアフリー温泉で家族旅行 / 山崎まゆみ(Kindle版)

このガイドには山梨県河口湖温泉の物件、神奈川県箱根温泉の物件が1つ
ずつ掲載されている。同じようなガイドブックをたくさん読んでいるのだ
が、近郊で2件って実は多い方。取り敢えず一つ、目星を付けてみた。

この本の特徴はハンディキャッパー高齢者向けに特化した施設情報が詳
しく記載してあること。特に大浴場回り解説写真は非常にありがたく、
かなり参考になる。

そして便利なのは、プラスアルファ情報として車いす等でも立ち寄れる
近隣施設情報を掲載してくれているところ。目的がハッキリしている人に
は、本当にありがたいガイドブックだと思う。

・・・とても良い本なのだけど、できればもっとたくさんの関東近郊バリア
フリー温泉情報が欲しい。本じゃなくても、サイトとかで良いから、この
手の情報に詳しいところをご存じの方は教えてくださいませ!

保存

保存

WHITE RABBIT

▼ホワイトラビット / 伊坂幸太郎

「AX」から2ヶ月くらいしか経っていないのに、もう新作!
伊坂幸太郎の新刊は、なんと“籠城ミステリー”。この段でもう胸がときめい
ちゃう人、やたら多い気がする(^^;)。

伊坂幸太郎の籠城モノと言えば、「チルドレン」「陽気なギャング」シリ
ーズで何度か目撃したことがあるのだが、今回のは完全に一線を画す内容
籠城モノなのに登場人物やたら多く、ともすれば話がこんがらがってしま
いそうなのだけど、絶対にそういう展開に持って行かないのが伊坂幸太郎の
凄いところ。終わってみれば全キャラが皆重要な役回りを最低一つは担って
おり、結果的に“無駄な人物”一人も居ない。加えて、章全てに用意された
どんでん返し感嘆に値するくらいレベルが高く、随所で爆笑しつつも唸る
奇跡のような作品だ・・・。

そして嬉しいことに、今回のキーマンは「泥棒」「探偵」の両極端を生業
とするあの男。彼のキャラがここまで立つのはかなり久しぶりで、それだけ
でもう嬉しい。さらに、「レ・ミゼラブル」にインスパイアされた狂言回し
的な表現があまりに小憎らしい上に「あそこからこの話を思いつくのか!」
という天才ぶりも遺憾なく発揮されているのだから、もう脱帽するしか無い。

ユーモアに富んだジェットコースターミステリー。しかしこのカッコ良さ
伊坂幸太郎のエッセンスが存分に詰まった作品、ぜひお試しを!

「神様」の貴重な映像

▼G SPIRITS Vol.45

本日発売のG SPIRITS 45号、特集はなんと「カール・ゴッチ」
我々の年代のプロレスファンはほぼ全員がゴッチを「神様」として認識し、崇拝
の対象とする人。ここ最近、UWF回顧書籍を多々読んでいるのだけど、どうやら
このMOOKがトドメになりそうな気配。

まずは初来日時のエピソードを読みつつ、伝説となっているvs吉村道明のビデオ
をYouTubeで検索。↑↑が本当にアップされており、その試合内容に驚愕する。
こういう映像の存在をさりげなく教えてくれるのがG SPIRITSという雑誌の真骨頂
ではないかと。

・・・いやぁ、すばらしい。
初来日時の詳細なエピソードに加え、アントニオ猪木を始めとする関係者への
インタビュー。圧巻なのは、13ページに渡ってビッシリと書き込まれた「カレ
ル・イスターツ全試合記録」。これはもう、本気の永久保存版である。

とにかく、全盛期と目されるゴッチの試合映像を目撃できたことが嬉しい。
G SPIRITSを読んでなかったら、全く気付かずに終わるところ。本当に感謝だ!