クジャクを愛した容疑者

▼クジャクを愛した容疑者 警視庁いきもの係 / 大倉崇裕(Kindle版)

大倉崇裕・動物シリーズ第四弾
このシリーズ、今クールのフジテレビ・日曜ドラマ枠映像化されており、
おそらくそのオンエアに合わせてリリースされた単行本。もちろん、電子
書籍版も同時に発売!

お馴染みの元捜査一課鬼警部補・須藤総務課動物エキスパート・薄(う
すき)の「まるでイメクラ」(^^;)な凸凹コンビが今回相手にする動物は、
デスマッチアイテム・ピラニア、動物界のジュディ・オングことクジャク
そしてみんな大好きハリネズミの3種。さらに今回より2人の部下らしき
役割を担う珍キャラも登場。物語は更に緊迫していく・・・のだが!

まぁ今回も不可思議な駄洒落の飛び交う最高にファニーな展開。
物語が非常に高等秀逸ミステリーなだけに、そのギャップにクラクラ
するほど。だけど、コレがたまらないんだよなぁ、このシリーズ!

ドラマの方もなかなか良いレベル。なんなこの最新作からも一つくらい
採用して欲しいかも。ドラマを観て興味を持った人は、ぜひ原作もどーぞ。

首洗い滝

▼首洗い滝 よろず建物因縁帳 / 内藤了(Kindle版)

内藤了よろず建物因縁帳シリーズ第二弾
「鬼の蔵」と一緒に購入したのだけど、ちょっと間をおいて読んでみた。

主要キャラの役割がしっかりアタマに入った状態で読んだため、前作で感じ
とっちらかった感じが見事に解消。あまりに不気味な過去の因縁から現代
まで繋がる怪異の解説に淀みがなく、スッキリと物語に入って行ける。

そして前作よりも格段にオカルトのレベルが上がっており、薄ら寒くなるよ
うな描写が多々。このシリーズでようやく「内藤了を読んでいる!」と感じ
られた。藤堂比奈子シリーズ同様、次作が楽しみになってきた。

しかし、主人公の勤務する「広告代理店」というのは、どういう形態なのか
がちょっと気になる(^^;)。守備範囲はゼネコンに近い気がするのだけど、
規模の大きい代理店ならこんな業務もあるのかなぁ・・・。そうだとするのな
ら、ちょっと関わってみたい気がする。同業者はそのへんにも注目!

ONE PIECE magazine vol.1

▼ONE PIECE magazine vol.1

ワンピース20周年を記念し、3ヶ月連続3号出版される予定のムック
コンビニでよくみるような勝手考察系(それはそれで面白いのだが)では
無く、集英社がキッチリ編集したオフィシャルマガジンエンボス加工
表紙、付録の手配書など、まるで豪華本のような造り。

連載小説や著名人へのインタビュー、絵物語や原画など、読みどころ満載
なのだが、いちばんインパクトが強いのは尾田栄一郎自身の書き下ろしと
なるマンガ「Special Episode “Luff”」。物量はたった2ページ、見開きの
み。ただ・・・。愛好家ならこの2ページだけで大泣き出来るハズ。

そしてこの2ページを読んだら、エース右肩のタトゥーについて検索。
アレをずっと刺青失敗番長だと思っていた自分が情けない(^^;)。
とにかく読むべし!

神様の裏の顔

▼神様の裏の顔 / 藤崎翔 (Kindle版)

ちょっと前からKindleストアのリコメンドにやたら出てきた作品。
第34回横溝正史ミステリ大賞受賞作品で、作者の藤崎翔はなんと元芸人
コントのネタを書いてた人らしい。そういうバックボーンのある人は、
おおよそで面白い物語を書くのだけど・・・。

人格者の見本のような元教師が死んだ。
通夜の席は盛(?)況、誰もが涙し、悲しみは最高潮。葬儀屋が太鼓判を
押すほど完璧な葬式で、ある疑惑が持ち上がる。まるで「神様」のような
故人は、実はとんでもない犯罪者だったのではないか?・・・。容姿端麗な
2人の娘、元同僚の教師、教え子で子持ちの男性、近所の主婦、なんかギ
ャル、そして売れないお笑い芸人、といった参列者それぞれが疑念を持ち、
ひょんなことからそれらが一本の線に繋がって・・・という内容。

語り部が次々に変わり、それぞれが自分と故人の関係を思い返し、その中
で小さな綻びを発見することで物語が展開する、という仕組み。言ってし
まえば、典型的「実は何も起こらなかった」系の話と見せかけ、最後に
は驚愕の真実が明らかになる、という王道叙述トリック。そういう意味
ではトリックが若干稚拙で、ミステリーを数多く読んでいる人なら、割と
かんたんに謎が解けてしまうのではないか?という懸念あり。

しかし、ラストに至るまでの間に細々した仕掛け笑いが施され、定番と
解っていても全く退屈しない。コント師らしい言葉の選び方は非常に心地
よく、スピード感も充分。予想通り、読み応えはバッチリであった。

・・・なんで芸人として売れなかったんだろうなぁ、この人(^^;)。
ネタが見てみたかった気がするけど、どうやらそれは叶わぬ模様。なので、
取り敢えず他の作品を読んでみることにします。かなりオススメだ、コレ。

鬼の蔵

▼鬼の蔵 よろず建物因縁帳 / 内藤了(Kindle版)

猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子シリーズでお馴染みの内藤了作品。
どうやらこちらもシリーズモノで、現在2作品がリリースされている。藤堂
シリーズにはかなりハマった覚えがあるので、こちらも迷わず2冊とも購入
結構期待して読んだのだけど・・・。

内容はホラーと言うよりも、完全にオカルト
幼き頃に雑誌「ムー」「トワイライトゾーン」を愛読していた僕だから、
それなりに楽しめる世界観は間違いなくあるのだが、どうしたことかちょっ
取っつきづらい物語。後半に入ったところでようやく主要キャラの役割を
掴み、ラストでそれなりの満足感はあったものの、残念ながら藤堂シリーズ
のようにのめり込むことは出来なかった

つまらない、というワケでは決して無いし、キャラを理解した上でもう一度
読めばきっと違った感想が出てくるとは思うのだが、内藤了はもう少しだけ
リアリティスピード感のある作品の方が良いかも。おそらく続編ではその
部分が改善されてると思うので、そちらに期待。なんつったって既に購入し
ちゃってるので(^^;)。