「プロレススーパースター列伝」秘録

#ホゲ〜ッ

「プロレススーパースター列伝」秘録 / 原田久仁信

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


1980年代前半
、まだ週刊プロレスが存在しなかった頃。
当時バカ売れしていた週刊少年サンデーの発売日を、毎週心待ちにしていた。
目的はもちろん『プロレススーパースター列伝』梶原一騎原作、そしてこ
の作品の著者である原田久仁信作画。このファンタジーに満ちた作品を、我
々は「真実」と信じ、熱狂的に支持していた。

そんな“列伝”の時代を、原田先生自らが振り返ったドキュメンタリー
原田氏の梶センセ(列伝内でブッチャーが梶原一騎氏をこう呼ぶ)に対する
愛情に溢れ、まだハイテクが無かった頃の熾烈な週刊連載の状況が克明に記
されている大作。あまりにおもしろく、1日かからずに読了してしまった。

何よりもおもしろかったのが、梶センセのファンタジーを、原田氏が一応検
証していた、という事実。マスカラスが怪我を治したウラウナ火山の温泉は、
インターネットの無い時代に現地(メキシコ?)の地図を手に入れて所在を
確認したし、ブッチャーに空手を教えたガマ・オテナ先生の実情も確かめて
みたらしい。もちろんどちらも見つかるワケは無い(^^;)のだけど、ならば
これは“本当”と信じてあの場面を描いた、という。こういう人がプロレスの
マンガを描いてくれたことが、本当にありがたい。

同年代のプロレスファンと列伝の話をする時、議題は「どこまで本当か?」
であることが多い。くだらないことを喋るだけ喋った挙げ句、「全て嘘」
いう結論に辿り着く(^^;)。こんなに楽しい話のネタを与えてくれた「列伝」
にも、梶原一騎先生にも、もちろん原田久仁信先生にも、僕は大きく感謝し
て止まない。

プロレススーパースター列伝は、全17巻全てがKindle Unlimited対象なので、
ぜひこれ等を読破したからこの本を読んで欲しいところ。当時の少年たちの
心を鷲掴みにした全盛期昭和プロレスの正体を、ご堪能あれ!

「してはいけない」逆説ビジネス学

#麺ジャラスK


開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も
 続けてきたプロレスラーが伝える 「してはいけない」逆説ビジネス学
/ 川田利明(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年に発売された川田利明ビジネス本
川田と言えば、全日本プロレス四天王一角であり、同団体の最盛期を創造
したメンバーの一人。それだけの名選手でありながら、引退を表明すること
なくリングから遠ざかり、2010年にラーメン店「麺ジャラスK」を開店。
2024年の現在もお店は健在

プロレスラーとしての川田は、正直苦手なタイプだった。と言うのも、古く
から新日派だった僕にとって、説得力しかないプロレスを体現する川田は
でしかなく、当時の新日本のエース級・・・橋本・武藤・蝶野など・・・の勝ち
目は薄い、とか思っていたから(^^;)。まぁ、後にハッスルに参戦し、その
懐の深さを魅せられた時には違う印象を持ったのだけど。

そんな川田が、自身の経営するお店が10周年を迎えたところで出版したのが
この作品。ラノベの如く「タイトルを読んだだけで内容が解ってしまう」系。
ほぼ何も考えず、居抜き物件でラーメン屋を始めてしまった自分の経験談
失敗談が記されているのだが、まぁ言葉のチカラがあまりに凄い。もしこれ
からラーメン屋を始めよう、と考えている人がコレを読めば、確実に考え直
すに違いない。

ちなみに、プロレスのことはほぼほぼ出て来ないので、その手の内容を期待
するファンは手を出さない方が吉。逆に言えば、プロレスファンでは無い人
にはやたら響きそう。こんなところでも“説得力”を発揮するのだから、やっ
ぱり凄いよな、デンジャラスK

闘魂と王道

#二団体時代


闘魂と王道 – 昭和プロレスの16年戦争 / 堀江ガンツ(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライターの堀江ガンツ氏の著書。
新日本プロレス・全日本プロレスの両団体が旗揚げした1972年から、作者
「昭和プロレスの最終回」とした1988年までの、17年間に渡る両団体の
“攻防”が記されたノンフィクション。

数年前に刊行されたモノで、書店で見た折にその束の厚さに圧倒された覚え
がある。この手のプロレス本はおおよそで考え無しに購入してしまう僕なの
だが、どういうワケかこれまで手を出さず。最近になってUnlimitedに登録
されたので、これ幸いとばかりに読んでみた。

・・・正直、紙の書籍を購入しなくて良かったな、と。
いや、二団体時代に起こったトピックはしっかり押さえられており、それに
関係各位のインタビューを混ぜた構成と、その物量には感心したのだが、何
故だか食い足りない。おそらく、構成上時系列が若干曖昧になってしまって
いるのが原因だと思うのだが・・・。

ただ、大いに共感出来るのは1988年「最終回」としたこと。
アントニオ猪木“実質の引退試合”が、あの横浜文体で行われた藤波辰爾
であったことは全面的に同意する。その後がボーナストラックだったことを
改めて理解出来ただけでも、コレを読んだ甲斐はあったのかも。

・・・堀江氏の著作はもっとポップなモノの方が良い気がする。
下手にマジメなモノを書くと、ちょっと違和感があるので(^^;)。

六人の嘘つきな大学生

#就活


六人の嘘つきな大学生 / 浅倉秋成(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベストセラーな上に、映画化までされている作品がKindle Unlimitedに。
数年前にちょっと気になっていた作品だったのだけど、何故かそのまま読ま
ずに放置(^^;)。これ幸い、とばかりに読んでみた。

大手IT企業スピラリンクス最終選考に残った就活生6人。最後の課題は残
った全員で1ヶ月後までにチームを組み、グループディスカッションを行う、
というモノ。内容が良ければ全員の内定もあり得る、と通達された6人は、自
主的に交流し、お互いの理解を深めていく。ところが本番直前に課題は変更。
「6名で話し合い、内定者を1人決めろ」。渋々開始された議論の最中、会議
室で封筒が発見される。その中には・・・といった滑り出し。

浅倉秋成という作家、初めてかと思いきや、2年前に1作品読んでいた。その
時に気になっていた別作品が正にコレだったのだけど、初読の作品のインパク
トが若干薄く、結局今になってしまった次第。

まず、ミステリーとしての構成はほぼ満点
初っ端から伏線を緻密に引き、ラストまでにその全てが回収されている、とい
う気持ちよさ。さらに随所に高度なミスリードが組み込まれており、最後には
思わず感心してしまったほど。2年前にすぐに読んでおけばよかった、とちょ
っと後悔した。

しかし、この作品がおもしろいのは「就活」という、ある意味で人生最大の
イベントについて掘り下げられていること。僕自身は就活の経験が一切無く、
事の重大さやその空気感を全く知らない。であるが故に、未知の世界を覗い
ているようで、非常におもしろかった。

・・・だけどまぁ、やんなくて良かったなぁ、就活(^^;)。
この本を読む限り、企業の採用自体が「くじ」のようなモノで、コレは絶対、
と言えるような採用方法など存在するワケが無い。就活生としてそこに翻弄
される時間は絶対に無駄だった、と言い切れる。どこに勤めようが、間違い
なく2〜3度は転職したハズだし(^^;)。

そういうワケで、ミステリーとしても人間ドラマとしても非常に秀逸。
実写映画が現在好評公開中なようなので、観に行ってみてもいいかな・・・。

この音とまれ!- 時瀬高校箏曲部 -

#熱血琴マンガ


ジャンプSQ・2024年12月号

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャンプSQ12月号、1ヶ月の休載を経て「この音とまれ!」最新話掲載。
総文祭(全国大会)クライマックス、遂に時瀬高校箏曲部演奏が始まった
ワケなのだが・・・。

・・・凄い
全61ページ中、文字があるページが半分も無い。これまでこれでもか!とい
う状態で積み上げて来た時瀬の演奏を、恐ろしいまでの臨場感と、途方もない
美しさで表現。音楽系のマンガはこれまでいろいろ読んで来たが、ここまでの
感動は本当に初めてかもしれない。

時瀬の演奏する曲「和」は、部員9人全員ソロがある。
今月号でソロを奏でたのは、2年生の部長・倉田武蔵と、副部長・来栖妃呂
2名のみ。今回は導入部分もあったのでそこにページが割かれたが、来月以降
残り7名ソロ部分描写が展開されるハズ。もしかしたらここから3ヶ月
らい、時瀬の演奏シーンが続いていく可能性も。

・・・もしそうなるのならば、こんなに最高なことは無い。
来月が楽しみ過ぎる!!!