ちょっと木になる童話集

▼ちょっと木になる童話集 / 木村洋平(Kindle版)

Unlimitedサービスを徘徊して見つけた作品。
いわゆるインディーズ系だと思うのだけど、著者の木村洋平氏の他作品
情報を見ると、クソ難しそうな哲学関係の訳書がいくつか出てくる。
プロフィールによると、東大哲学を専攻したライターさんらしい。
まぁ読み放題だし、そんなに期待しないで読み始めたのだけど・・・。

まずは「ああ、なんかいいなぁ」と感じる文体に好感。内容に関しては
もう完全に“童話”。著者自身がまえがきで語った通り、起承転結も脈絡
も希薄だけど、そこが非常に童話らしい。確かに幼少期、むかしばなし
や童話の類いに整合性なんて求めていなかった。そういう感覚を思い出
させてくれたことは、大きく評価したい。

残念な点は、あまりにも「短い」ということ。
10本の童話が掲載されているが、どの篇も1本5分以内で読み終わって
しまう。どうせならこれの倍〜3倍くらいの物量を一気読みしたかった。
そでなければ挿絵をふんだんに使って「絵本」的なモノにするとか、そ
ういう工夫が欲しかったかも。

童話としての味はあるし、テクニックもあると思う。出来ればシリーズ
化してもらって、もっとたくさんの「お話」を読んでみたい!
Unlimitedユーザーはちょっと押さえておいた方がいいかも。