新日本プロレス・初夏のビッグマッチとしてすっかり定着した
ドミニオン・大阪城ホール大会をNJPW Worldにて。語るべきことが多々
あった大会なのだけど、ここはセミファイナルに絞って触れておきたい。
内藤哲也の保持するIWGPインターコンチネンタル選手権に挑んだのは、
欠場明けの棚橋弘至。東京ドームで内藤の下克上を許し、2017年の上半期
を完全に棒に振ってしまったエースが、現状でいちばん説得力のある王者
とどう闘うのか?が注目された一戦。
賛否両論があるとはいえ、「タイトルを粗末に扱う」というギミックで
中邑真輔以来初めてインタコンチに色を付けた王者の内藤。方法論はとも
かく、IWGPヘビー級戦線とは違った種類の闘いを新日本のもう1つの主軸
にした功績は認められるべき、と正直思う。この試合に関してのお膳立て
も全て内藤が作ったモノ。ひさびさに完全なベビーフェースとしてリング
に上がった棚橋は、本当にイキイキと怒っていた。
そして、新日本の中でも1・2を争う試合巧者な2人。それぞれ起承転結を
作るのが非常に上手く、刻一刻で入れ替わる攻守は芸術の域。棚橋の負傷
箇所である腕を攻める内藤はゾクッと来るような笑顔。気がついてみたら、
凄いチャンピオンになっていた。
しかし、今回は全ての局面で棚橋が少しだけ内藤の上を行ったかも。
中邑ポーズからのハイフライフローを決まり手にせず、拷問式のテキサス
クローバーホールドをフィニッシュに持ってきた、というセンスが凄い。
内藤がタップした瞬間、思わず「おお!」と唸ってしまったほど。
やはり棚橋はベルト姿が良く似合う。
出来ることなら、棚橋は中邑・内藤に続き、インタコンチに色を付けられ
る3人目の王者として、長くこのベルトを巻いて欲しい。
そして内藤も、もう遠慮無くIWGPヘビー級王座を狙うべき。それも年内
の戴冠を強く願う。今年のドームのメイン、王者・内藤に、誰かが挑む、
というのが正しい気がする。内藤は上半期で、そこまでのことをやった、
と僕は思っているので。