G1・飯伏幸太vs石井智宏

大熱戦の続くG1 CLIMAX28、今日は昨日開催の愛知県体育館大会
ちなみに日付が1日ずれちゃうのは、なんとなく翌日にG1を観ちゃうから。
速報性は全く無いので念のため。

今回やたら凄かったのはなんとセミ前
Bブロック公式戦・飯伏幸太vs石井智宏とんでもない試合が、この日の
全てを持っていってしまった

・・・この2人、正直ちょっとオカシイ。もちろん良い意味で、だけど。
両者共にプロレスの範疇を超えているワケでもなく、試合経過を客観的に
書けばおそらく「普通の試合」と取られてもおかしくない。にも関わらず、
まるで生の喧嘩を観ているような気分にさせてくれるのだから凄い。

最近は僕も年を取り、この手のゴツゴツした試合に対して多少否定的にな
っているのだが、そんな思いを吹っ飛ばすかのような強烈な打撃の交換
昨日書いた棚橋vs真壁真逆を行く、ある種刹那的な試合だが、この2人
がやると「もっとずっと観ていたい」とか思っちゃうのだから、僕も酷い
プロレスファンな気がする。

2人とも、G1という長丁場で全く明日を見ていない
お互いに「今日ぶっ壊れてもいい!」と思っていなければ、こんなに凄い
試合にはならない筈。始終鬼の形相の両者だが、その姿がどこか楽しげに
も見える。だからこそ名勝負になったのだろうけど・・・。

外の世界からただ観ているだけの僕は、やっぱり彼らの明日が心配になる。
特に飯伏・石井の2人は、開幕からずっとこんな試合を続けている。せめて
途中で壊れないように、祈るしか出来ないのが若干歯がゆい。

そしてこの試合、セミファイナルで組まれた内藤vs後藤、下手すればメイ
ンのケニーvsSANADAまで完全に食ってしまった。次回以降、試合順はち
ょっと考慮した方がいいかもしれない。

恐るべき消耗戦を制した飯伏は、現状まだ優勝の目が残っている
今回のG1、僕は優勝すべきは飯伏幸太だと思っているので、次戦以降は
ぜひ全勝して貰いたい・・・のだが、くれぐれも身体には気をつけて・・・。
・・・プロレスの応援っぽくない言葉だなぁ、コレって(^^;)。

G1・棚橋弘至vs真壁刀義

G1 CLIMAX28、昨日開催されたアクトシティ浜松大会「セミファイナル」
で組まれた試合が、なんか非常に良かった。どんなカードなのかと言うと・・・。

Aブロック公式戦・棚橋弘至vs真壁刀義
ほんの・・・ほんの少し前まで、中邑真輔と共に新日本の中心に居た2人が、
G1とはいえ平日の地方大会で一騎打ち。しかも、セミファイナルである。
これがどういう意味なのか、闘った2人充分に理解していた

だから棚橋と真壁は、この2人にしか出来ない闘いをやってのけた。
身体能力にモノを言わせた危険なムーブも、垂直落下式で頭部から落とす
ような技も、わざとらしい殴り合いの交換も一切無い、懐かしき新日本の
ベーシックなチェーンレスリング。その動きだけで観客に固唾を呑ませて
しまうのだから、やはり2人とも只者では無い。

今現在のトレンドで言うのなら、決して「名勝負」の範疇には入らない。
それでも2人の意地とか、これまで背負ってきた重たい責任とか、そういう
「人生」が垣間見える試合。デビューからずっとその活躍を観てきた新日本
生え抜きの2人が、こういうレベルの試合をするようになった、という事実
に、ちょっとジーンと来た。

しかし、心配なのは・・・。
ここ2〜3年で同じような試合をしてきた永田・小島・天山第三世代と呼
ばれる選手たちは、今回のG1に同行すらしていない。棚橋や真壁がすぐに
そうなるとは思えないが、サイクルの速い現在の新日マットを考えると、そ
れがすぐに起こらない、と言い切れない自分も居る。

棚橋も真壁も、まだまだトップ戦線でやるべきことがある筈。
勝った棚橋は今後も勝ち点を重ねて優勝戦へ進出する義務があると思うし、
負けた真壁ももう一暴れしなければならない。

棚橋と真壁は、間違い無く今の新日本の基礎を造った功労者。でも・・・。
そんな思いがいちばん先に立つようなスタンスは、2人には絶対に似合わな
い。まだいける。まだやれる。本人たちよりきっと、僕らが心からそう思っ
ていることを、本気で彼らに伝えたい。

G1・飯伏幸太vsSANADA

G1 CLIMAX28アオーレ長岡大会で個人的に注目のカードが組まれた。
両者の接点は驚く程少なく、シングルでの対戦はなんと初。こんなのが残って
たとは・・・。

この日のメイン、公式戦としてくまれた飯伏幸太vsSANADA
G1大会のメインとして、ある意味「外様同士」のカードが組まれたのに驚いた。
やっぱり僕は昭和気質が相当あるようで、こういう事実には敏感になる。

しかし、試合は本当にすばらしかった
驚いたことに、ゲームメイクのほぼ全てがSANADAの「受け」。飯伏の打撃を
真っ向から全て受けた上で、スカルエンド→ラウンディングボディプレスとい
鉄板の連携であの飯伏幸から勝利を奪ってみせたのだから凄い。

SANADAが、今の新日本に居る、という状況はある意味で幸運。
年齢的にもあと5〜6年は今の状態を維持出来るし、武藤から学んだ「プロレス」
の型を見事に体現出来る存在。おそらく今のSANADAなら、棚橋や真壁、そし
て内藤とのカードが組まれれば、最高の内容を残すに違いない。SANADAにと
っては、飛躍のためのターニングポイントとなった気がする。

問題は飯伏かなぁ、やっぱり。
そろそろ明確な結果を出さなければならない時期。このG1、残り全勝して優勝
決定戦へ駒を進めるくらいのことをしないと、間違い無く停滞してしまう気が。
ポイントは武道館ケニー戦差を付けられた盟友に一矢報いなければ、ゴー
ルデンスターとしてのキャリアを全て失うかも・・・。

今年のG1、やっぱり深い
気にしちゃうなぁ、やっぱり(^^;)。

有田と週刊プロレスと シーズン3

もしかしたらAmazonプライムビデオ最強のコンテンツかも!?とまで言わ
れている人気番組「有田と週刊プロレスと」のシーズン3が先週より配信中。
プロレストーク番組というかなりニッチな内容なのにも関わらず、シーズン1
・シーズン2で25話ずつ、計50話分を配信し、尚且つ視聴者評価がやたらと
高いことで有名。

個人的には待望・・・というか、かなり待たされた上でのシーズン3だが、よく
考えてみたら6ヶ月スパンで新作オンエア、というのは異様な速さ。視聴者は
もちろん、配信メディアであるAmazonからも多大な期待を受けている、と
いうことが非常に良く解る。

シーズン3の第一話は、ゲストに陣内智則を迎えての初代タイガーマスク
エピソード。陣内の受けはやや緩いが、2シーズンを越えて培った有田
ークテクニックは冴えに冴え、結果やたら面白くなってるのだから凄い。

もう一つ注目しているのが、アシスタントを務める元AKB48・倉持明日香
存在感。この世のプ女子と呼ばれる人たちは、全員彼女を参考にしたらいい
と思うようになっちゃったのだから、彼女もまた凄い。

また水曜日の楽しみが戻って来た!
シーズン3、なんなら50話とかやっちゃってください、有田さん・倉持さん!

ありがとうU.W.F.

▼ありがとうU.W.F. 母さちに贈る / 鈴木浩充

どういうワケだか最近リリースラッシュが続くUWF関連書籍
本命・・・というか、リファレンスとなるべき柳澤健「1984年のUWF」
皮切りに、そのアンサーとも言えるインタビュー集「証言UWF」など、
読み応え抜群の作品が多かった。しかしこの作品、これまでずっと「謎」
とされており、好き勝手な見解だけが先走っている現在のUWFを取り巻
く状況を打破する作品となるかもしれない。なぜなら、著者鈴木浩充
そう、あの新生UWFと呼ばれた株式会社ユー・ダブリュ・エフにて、
神真慈氏と共に専務取締役を務め、UWFを特別な場所まで押し上げ
た人である。

神社長・鈴木専務の2人に、30年近く取り憑いて離れないイメージは、
「横領フロント」。プロレスファンは誌面に載るプロレスラーの発言し
か拠り所が無く、例えば前田日明の発言こそ真実、と信じ込んでしまう
風潮が否めない。これに加え、新生UWF崩壊後の2人は公に対しての発
言を一切しなかった。ある意味“犯罪者”というレッテルを貼られたまま、
それを受け入れて地下に潜ったのだ。

この本は自費出版である。
これまでずっと沈黙を貫いた伝説のフロントが、どうして今になってか
ら著作を発表したのかと言うと、タイトルにある通り自らの母親のため
母が“自分の息子が泥棒扱いされている”ことで心を痛めている、という
事実を知り、ここで改めて身の潔白を証明しようとした。だから、大手
の出版社にも、ライター・作家にも頼らず、「自らの言葉」だけで表現
出来る自費出版にてこの本をリリースした、とのこと。

そもそも、UWF解散時にフロントの2人が本当に横領していた、と思っ
ているファンは、実はそれ程多くないと思う。会社を起ち上げたのは紛
れもなく神・鈴木両名であり、そこで得た利益の使い途は役員で決めて
構わない。そんなことは通常の会社に務めている人なら誰もが理解出来
ることであり、前田や他の選手の言うことがイマイチピンと来ない、と
感じていた人も少なくないハズ。ただ、ファンの心情的にはやはり選手
の味方をしたく、無条件に黙った2人のフロントに一方的に悪者になっ
て貰った、というのが本当のところだと思う。

この本を読んでいて、その考え方はおそらく正解だった、という思いを
強くしたのは間違いない。だからこそ、最悪とも言えるヒール役を買っ
て出てくれた鈴木専務には、ファンであった者としてここでちゃんとお
詫びとお礼をしておくべきだと思う次第。鈴木専務、本当にごめんなさ
い。そして我々のために悪者になってくれて本当にありがとうございま
した!

・・・というワケで、UWFに対する疑念はまた一つ晴れた。
ただ、正直「読み物」としてはちょっとだけ不満(^^;)。本職の作家さ
んでは無いのだから仕方無いが、せめて文章監修をいれるべきだった
気がする。まぁ、ファンであれば問題は無いと思うけど。
そしてもう一つ、UWF崩壊後の謎の会社「スペースプレゼンツ」に関す
る記述が殆ど無かったのが残念。その辺りのディープな話を、出来れば
また別のどこかで聞かせて欲しい気がする。

こうなってくるともう一人口を開かなければならない人が居る気が。
全てを時効にして良い今だからこそ、ご本人の言葉が聞きたいなぁ・・・。