IWGPヘビー級王座挑戦権利証争奪戦

新日本プロレス「DESTRUCTION in KOBE」神戸ワールド記念ホール大会。
G1終了後最初のビッグマッチ。この夏にG1王者となり、自動的に来年の1.4ドーム
に於ける“IWGPヘビー級王座挑戦権利証”保持者となった棚橋弘至が、自らが指名し
オカダ・カズチカと争奪戦を行った。

「G1公式戦でオカダと引き分けたままではドームのメインに行けない」とした棚橋。
もちろん今のオカダは難敵中の難敵であり、これまで移動したことの無い権利証が
動く可能性は大。それでもオカダを指名した棚橋の心意気が泣ける・・・。


試合は序盤から激しい打撃が交錯する展開に。
優勢となった棚橋は場外へのプランチャを敢行したのだが、この時に古傷のを痛
めた模様。オカダはこの機を見逃さず、非情とも言える足攻め。満足にロープワー
クも出来なくなった棚橋に、勝ち目は無い、と一瞬思ったのだが・・・。

攻められても諦めない棚橋は、終盤になってからなんとペースを取り戻す。
↑↑の体勢でロープ最上段に立った棚橋は、ここからとんでもない方法で必殺技の
ハイフライフローを繰り出した。オカダを蹴落とし、同時に自分も飛ぶ。時間差の
無いフライングボディプレスなんて、初めて見たかもしれない。

最後は正調ハイフライフローを背中・正面と2発決め、オカダから3カウント。
どう考えても不利な試合を執念で自分のモノにした棚橋はやっぱり凄い

見事権利証を防衛した棚橋だが、試合後にG1で棚橋・オカダの両者から勝利を挙げ
ているジェイ・ホワイトが乱入。棚橋ばかりかオカダにもスイッチブレイドを決め、
結託した外道と高笑い。これでおそらく現行のCHAOSは解体せざるを得ない。

変革期なんだなぁ、新日本も。
しかし、最後に凄まじい乱入劇こそあったものの、危険な技に頼らずに観客を熱狂
させる棚橋のスタイルは、昨今のプロレスに対する強烈なデモンストレーション
応援したくなって当然だな、棚橋弘至という選手は。おそらくドームまでのどこか
でジェイの挑戦を受けることになると思うが、まず星を取りこぼすことは無い。
来年のドームは、久々にタナ「愛してま〜す!」が聞けるかも!!

最後の告白

▼長州力 最後の告白 /  長州 力・水道橋博士

・・・まぁ、普通だったら買わないんだよね、この人の本って(^^;)。
しかし今回は「聞き手」があの水道橋博士であり、信用している某サイトでの
評判も上々だったから、取り敢えず購入してみたのだけど・・・。

・・・いや博士、もっと突っ込むべきだった(^^;)。
各章のインタビューは非常に歯切れが悪く、どれも「告白」というレベルに達
していない気が。おそらく博士が知らぬ間に気を遣っちゃってハイスパート
持って行けなかったんじゃないか?と思われるのだが、おかげでもうスッカス
カの内容。う〜ん・・・。

残念ながら、これまでに出ている長州関連本およびその記事劣化再編集版
しか評価出来ない。僕を含むプロレスファンには信頼されている水道橋博士だ
が、この本はハッキリと失敗だった、としとく。

無駄だったなぁ、やっぱり。
相性悪いんだよなぁ、ど真ん中とは(^^;)。

ALL IN

丸藤興行と同じ9月1日に米国イリノイ州シカゴ、シアーズ・センター・アリ
ーナで行われたCody&ヤングバックス主催10,000人興行「ALL IN」
このビッグイベントがNJPW WORLDでも配信開始。ワールドワイドだなぁ、
最近のプロレスって。

ベストマッチはセミ前に行われたケニー・オメガvsペンタ・エル・セロ
ペンタとは、お馴染みのペンタゴンJr.。最初に曙・王道のリングで観た時か
ら凄い選手なのは解っていたが、ペンタはAAA及びLUを主戦場とする選手な
ので、新日系と関わることはまず無い、と諦めていた。が、なんとここで
現役IWGP王者とのシングルが実現。いやぁ、ビックリした。


・・・ここまでの名勝負になるとは。
ペンタ、あのケニーに全く力負けせず、終始互角の勝負を展開。しかも、
ステカ式アームブリーカーパッケージ・パイルドライバーなどの得意技も
キッチリ披露し、ケニーを慌てさせるほど肉薄。

最後はケニーの片翼の天使で惜しくも敗れたが、この才能は是非新日本の
リングに欲しい。すぐにでもヘビー級戦線で活躍出来そう。

そして、驚いたのがラスト。場内が一瞬暗転し、再びライトが点灯すると、
ペンタが明らかに別人(^^;)。正体はクリス・ジェリコ。ケニーをボコボコ
にし、そのまま去って行った。ジェリコが米国でWWE以外の試合に出場し
た、という事実は非常に大きな意味を持つ。果たして今後は・・・。



そしてメイン。
飯伏&ヤングバックスvsミステリオJr.&フェニックス&パンディードとい
う豪華な6人タッグマッチ。全選手が持ち味を発揮しまくり、大いに湧く。
特に初見のパンディード、名前こそ他の選手に劣るものの、随所にセンス
溢れる攻防を展開。今後、ちょっと注目しておこうと思います。

もう一人の主役・CodyNWA世界王座を奪取。まぁ、試合内容はともかく、
このイベントを実現してくれたことを感謝しときましょう、ココは。

さぁ、ALL IN 2はあるかどうか?
WWEがちょっと本気で怒ってるらしいけど、そりゃあそうだろうなぁ(^^;)。
ROH&新日本の連合軍、もしかしたらマジで米国第二の団体になれるかも!

丸藤正道vsヒデオ・イタミ

9月1日・両国国技館で行われた丸藤正道20周年記念興行「飛翔」が、
2日に日テレG+でオンエア。NOAH関係としては久々のビッグマッチらしい
ビッグマッチで、かなり楽しみにして番組を確認したのだが・・・。

メインイベントは丸藤正道vsヒデオ・イタミ
イタミとは、WWE・205LIVEで活躍する選手。言うまでも無いが、かつて
NOAHマットでKENTAを名乗っていた男である。

過去に行われた丸藤vsKENTAは、僕の宝物だった。
元来新日派の僕だが、この2人のシングルにはグウの音も出ないくらい感動
させられた。あの頃は、2人のうちどちらかが新日に居てくれたら、と思う
くらいNOAHが羨ましかったし、どの試合も掛け値なしの名勝負。だから、
4年振りの2人の一騎打ちには大きく期待したのだが・・・。


・・・ハッキリ言う。
今回行われたスペシャルシングルマッチは、丸藤vsKENTAでは無かった
これはKENTAのリングネームが違う、という意味ではなく、かつて何度と
なく観た彼らの試合のレベルには遠く及ばない、ということ。

以前の彼らなら、試合の序盤で僕を退屈させるなんてことは無かった。
以前の彼らなら、パンチ・キック・チョップの一発々々に緊張感が溢れた。
以前の彼らなら、フィニッシュを失敗することなど無かった。
なにより以前の彼らの試合なら、終わった後に「う〜ん・・・」と唸る事態に
はならなかった。そんな気がする。

究明しても意味は無いが、原因はやはりイタミにある気がする。
おそらくイタミは、NOAHを辞めてから今に至るまで、こういうスタイルの
試合を経験していない。WWEでは無用の長物だが、日本の、それもNOAH
のメインを張るレベルから遠のいてしまったのではないか?

これも本当は言いたく無いのだが、おそらくイタミがWWE一軍で試合を
することはもう無い気がする。だとするなら、そろそろ帰国し、彼の得意な
ジャパニーズスタイルに回帰した方が良い気がするなぁ・・・。

正直、今のイタミ・・・いや、KENTAを観ているのが辛い
NOAHでなくてもいいから、日本に帰ってきてくれないかなぁ・・・。

猪木は馬場をなぜ潰せなかったのか

▼猪木は馬場をなぜ潰せなかったのか / 西花池湖南

プロレス「黄金時代」とされる1980年から89年までの10年間の解説本。
俗に新日本・全日本「二団体時代」とされる時期で、両団体の試合が地上波の
ゴールデンタイムで放映されていた、プロレスがいちばん熱かった時代。その頃
に選手としても経営者としても団体のトップを張っていた日本プロレス界の象徴
アントニオ猪木ジャイアント馬場対立と、両者の権力が衰えていく様子が時
系列で描かれている。

・・・この手のプロレス本に関してはかなりの数を読んでいるのだが、正直中途半
な印象。ディープなプロレスファンであればおおよそ知っている事実に対し、
主観を混ぜた状態で淡々と書かれているのだが、その肝心の「主観」があまりに
画一的。一冊の本としてまとめる場合、もう少し自分の考えが前面に出てきてく
れないと、すれっからしの我々は共感も批判も出来ない

そして、がっかりしたのはタイトルに対する明確なアンサーが記載されていない
こと。まぁ、文脈から察しろ、ということだとは思うのだが、だとするなら特に
必要の無い本(^^;)、ということになっちゃうと思う。

それなりに読める本ではあるが、良い意味でも悪い意味でも「問題作」では無い
そういうプロレス書籍ってインパクトも無いんだよなぁ、実は・・・。