成瀬は信じた道をいく

#世界は成瀬についていく


成瀬は信じた道をいく / 宮島未奈(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮島未奈成瀬シリーズ第二弾
まずは表紙に注目。今回、我らが成瀬『びわ湖大津観光大使』として活躍するこ
とが確定お前の他に誰がやるんだ?くらいのザ・はまり役、話の中身を想像する
だけでもうキュンキュン来る(^^;)のだが。

今回も成瀬は、我々の期待を裏切らず、真っ向から意表を突いて来た(^^;)。
もちろん主人公が成瀬あかりである限り、通常展開が起こることは考えにくく、こ
ちらも何かが起こる、と踏んで読んでいるワケだが、その“持って生き方”があまり
破天荒。まぁ、観光大使やら小学生の弟子やらはすぐに納得が行くのだが、クレ
ーマー(を止めたい)主婦のエピソードはあまりに斜め後ろで、読み終わった瞬間
こういう方法論もあるのか、と感心してしまった程。

で、個人的にはゼゼカラ盟友・島崎との、ほっこりしたすれ違いの連鎖の話が非
常に好み。成瀬を形成する重要なピースである島崎との友情も、このシリーズの大
きな魅力、だと思う。

・・・さて、僕は今ちょっと困難な場所に居る。
いろいろヤバイのは確実で、今後に影響も多々あると思う。だからこそ僕は・・・。
「この1月を、森山に捧げようと思う」。なんとかなるぜ、きっと。

成瀬は天下を取りにいく

#取るべきオンナ


成瀬は天下を取りにいく / 宮島未奈(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2024年度本屋大賞受賞作品
ずっと気になっていた本なのだが、表紙キャッチコピー「今さらオレが読んで
いいのか?」逡巡していた次第(^^;)。幸か不幸か、コレがUnlimited扱いになっ
ていたので、思い切って読んでみた。

誤解を恐れずに言えば、『変わりモノの女の子』の話。
200歳まで生きることを決意し、そのためにやるべきことを突き詰め、そのための
知識を幅広く拾うことに余念が無い。さらに幾つも目標を立て、それに邁進する。
どれもそこそこの達成率を誇るにも関わらず、本人は「その中の一つでもモノにな
ればいい」と思っている。健康状態超優良成績トップレベル、己の信念に対
して忠実。それが故にコミュニティから弾かれることも多々。それが、本編の主人
である成瀬あかり、である。

・・・いや、凄い
文章のテンポがすばらしく、親友であり漫才の相方である島崎を始め、主人公以外
のキャラクターも全てが魅力的。舞台となる滋賀県大津市、そして琵琶湖に関する
描写も秀逸で、ちょっと行ってみたくなるくらいの圧倒的な共感力そりゃあ本屋
大賞取るわ、と至極納得した。

そして成瀬
思い返してみると、クラスの中に稀にこういう子が居たな、と思った。僕は成瀬の
ような女の子に非常に弱く(^^;)、ちょっかいを出しては嫌われる、ということを
繰り返してきたような覚えも。未だに信念を持っている女性無条件で応援してし
まうし、時々突拍子も無い発言をする女性おもしろくてしょうがない。そういう
人を、近くで見ていたい、という島崎の気持ちが、本当に良く解る。

「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」
突然こんなことを言い出す中学二年生女子、魅力を感じるな、と言う方が無理。
この年になって、こんなステキな青春小説に出会えた幸福を、僕は反芻している。

成瀬シリーズ全3冊。続編2冊?とっくに買ったわ、んなもん(^^)!

こどもの頃のこわい話 きみのわるい話

#ショートショートホラー


こどもの頃のこわい話 きみのわるい話 / 蛙坂須美

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Kindle Unlimitedリコメンドに出て来た作品。
蛙坂須美という作家はもちろん初めてで、調べてみると各種の怪談アンソロジー
短編を発表している人らしい。非常に不気味な表紙デザインに惹かれ、取り敢えず
読んでみた。

収録数、なんと45篇(!)。
いろいろな人たちの「体験談」という体で書かれており、それが故に“オチ”が無い。
こういうの、本来は苦手なのだけど、この本に書いてあるエピソードは、僕らの世
代が小中学生の頃に都市伝説よろしく語られたような話のオンパレードで、思った
以上に懐かしく、そして取っつきやすい。逆にオチがあったとすれば、きっと反抗
が沸いて来て読後感が悪くなるハズ。そういう意味で成功している気がする。

個人的にヒットしたのは「猿なし猿まわし」。公園から太鼓の音が聞こえるのだが、
その音が聞こえる人と聞こえない人がいる。取り敢えず公園に行ってみると、そこ
には見えない猿をつれた猿面の男が居て・・・という感じ。こういうよくありそうな
話が幾つも出てくるのは妙に楽しく、あっという間に読了してしまった。

コレはかなりの良作、だと思う。
Unlimitedのリコメンドは当たり外れが激しいのだが、コレは良い方に転んだ。
こういうのがあるから止められないんだよなぁ、Unlimited徘徊♪

生殖記

#妙な語り部


生殖記 / 朝井リョウ(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

懐かしき螺旋プロジェクト以来、久々に読む朝井リョウ作品。
2025年の本屋大賞にノミネートされていた作品らしいのだけど、どうやら受賞は
取り逃した模様。・・・うんまぁ、それもちょっと納得出来るかも(^^;)。

語り部“ある男”“日常生活”分析しつつ描写する、という一人称視点構成
おもしろいのが「語り部」が、”ある男”の生殖器である、という設定。”ある男”は
一見普通のサラリーマンだが、自分が性同一性障害者であることを自覚し、長期に
渡ってソレをひた隠しにしている状況。そのことに注力するが故に、普通の人間が
持っているハズの感情を次々に排除して自分に都合の良いように生きている、ぽい。

そういうワケでココで登場する生殖器に「本来の活躍の場」はほぼ無い(^^;)。
その反動でペラペラ喋りだしたのでは?と思えるくらいこの生殖器は饒舌で、男の
細かな心情見事なアレンジを入れて喋りまくる。コレがイチイチ的を得ており
説得力に溢れている。のだが・・・。

・・・ハッキリ言うと、内容がかなり重い
文体ポップで読みやすいのだけど、ちょっと深く考えると恐ろしくなったり
持ちが悪くなったりする。それだけ深いところまで“人間を抉っている”、と評価す
ることも出来るのだが、そう考えながら読むとドッと疲れる。なんとか最後まで耐
えきったが、これはもう読書ではなくて修行(^^;)。読後感もけして良くなかった。

朝井リョウって結構アレな作家だなぁ、と改めて。
才能に関しては思いっきり認めるけど、僕との相性は良く無いかもしれない(^^;)。
殺傷能力の高い毒を持った作品は、本屋大賞にも向かないだろうなぁ、きっと。

イノセンス

#GUITAR


イノセンス / 誉田哲也(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誉田哲也の新作。とは言っても8月にリリースされたモノで、単純に見落として
いた模様。久しぶりの“音楽モノ”で、僕の記憶に間違いが無ければ、2011年
『ガール・ミーツ・ガール』以来かと。・・・もっと出ていた気がするのだが。

スランプに陥った女性シンガーソングライター・立石梨紅と、数年前に失踪し
消息不明となっている天才ギタリスト・伊丹孔善の二人が交互に語り部を務め
る構成。

アルバム制作に行き詰まった梨紅は、偶然耳にした孔善の楽曲に衝撃を受ける。
アルバムの完成に孔善のアドバイスは必要不可欠、と考えた梨紅は、消息不明
の孔善を探し出すことを決意。そのころ孔善は、東北のとある場所で世捨て人
のような生活を送っていて・・・という感じ。

・・・なんというか、凄く“優しい”作品。
登場人物に悪人は殆ど存在せず、全員が自分以外の誰かを慮る、という世界。
その中でややマニアック音楽楽器蘊蓄が踊るのだから、音楽好きにはた
まらない。そして最後にはちょっとした恋が生まれそうな予感が・・・。

・・・うん、問題は二つ(^^;)。
一つは、音楽系の話題の中にあまりに難易度の高そうな話があること。もちろ
ん解る人には解るし、かなり響くとは思うのだが、知らない人だと何も理解出
来ない可能性が。実際、僕もかなりギリギリだった(^^;)。
もう一つ、この優しすぎる作品“誉田哲也の作品”である、ということ。いつ
もはハードで、下手すればグロい作品を提供し続けている作家であるからこそ、
この普通さ違和感を持つファンがたくさん居そうな気がする。

とはいえ、僕はかなり気に入った
読了後、何年かご無沙汰だったMr.BIGを久々に聴いたし、最近弾き続けている
ウクレレの代わりにギターを引っ張り出しもした(^^;)。あと、GMGのキャラ
がサラッと登場しているのもちょっとニヤッと出来たかも。

読む人を選ぶ作品かもしれないが、こういうのが売れてくれると非常に嬉しい。
・・・難しいかもしれないけど。