WRESTLING DONTAKU 2021 Day.1

#njdontakuDay1


新日本プロレス「レスリングどんたく2021」初日。
まずは今年、福岡でのビッグマッチが開催されたことに感謝。場合によ
っては2年連続の中止も充分にあり得る状況だったので・・・。

初日のメインはNEVER無差別級選手権
王者棚橋弘至に、ジェイ・ホワイトが挑んだ一戦。棚橋のシングル、
それもタイトルマッチが新日本のメインになるのはかなり久しぶりかと。

双方共に作り込んだ肉体を披露。若いジェイはもちろんだが、既に40を
超えた棚橋が、この身体をキープ出来るのは驚異的。棚橋の足の具合が
悪いのは動きを見ていれば解るのだが、下半身がダメでも上半身をこれ
だけ鍛えられる、というプロ意識。尊敬に値する。

試合は・・・。
いやもう、完全にオールドファンが唸るようなプロレスらしいプロレス
二人とも基本に攻撃の的を絞り、そこからヒリヒリするような削り合
を展開。最近の選手なのに、棚橋がすれっからしのファンからも支持
されるのは、相手の技を受けるだけ受けた上で得意技で逆転、という、
アントニオ猪木から続く【風車の理論】を実践出来ているから。こうい
「色気」は、棚橋ならではのモノだと思う。

しかし、挑戦者のジェイにも僕は同等の評価を持っている。
ジェイも相手の技をスカすタイプではなく、おおよそを受ける。しかし、
致命的と思われる攻撃だけはしっかり回避し、最後は汚い手を使ってで
も勝ちに行く。いわば【昔の世界王者】のプロレス。あれだけの若さで、
こういう試合の出来る選手を、僕は他に知らない。

結果、外道の介入をキッカケにブレードランナーを決めたジェイの勝利。
ジェイはこれで新日本のグランドスラム(IWGP・IC・US・NEVER)
達成したことになる。 現在ではUS王座が本当にアメリカで稼働するタイ
トルになっている上に、IWGP王座・IC王座が消滅しているが故に、コレ
を達成できる可能性のある選手はもうほぼ居ない。

おそらくジェイのNEVER王座も長続きはしないが、グランドスラマー
勲章は消えない。ジェイとオスプレイ、どちらが新日本の外人エースに
相応しいのか、これから先1〜2年の彼らに注目すべき。

そして百年に一人の逸材・棚橋弘至は、今後どこに向かうのか?
あまり寂しいことにはなって欲しく無いなぁ、本当に。

“黄金の虎”と”爆弾小僧”と”暗闇の虎”

#奇跡の英国トライアングル


▼”黄金の虎”と”爆弾小僧”と”暗闇の虎” / 新井宏

G SPIRITS BOOK VOL.14としてリリースされた作品。
著者の新井宏氏は、G SPIRITSで秀逸なインタビュー記事を幾つも手掛けた
人で、あのダイナマイト・キッド最後のインタビューを敢行した日本人
として知られる人。おそらく古今東西の英国マット事情に一番あかるいプ
ロレスライターである。

そんな新井氏が【タイガーマスク】を書く。そうなると絶対に外せないの
は、初代タイガーマスクこと佐山サトルと一緒に時代を築いた二人の偉大
な英国人プロレスラー。もちろん、ダイナマイト・キッドローラーボー
ル・マーク・ロコである。

佐山の新日本プロレス入門から現在に至るタイムラインの中に、キッドと
ロコの二人の人生をバランス良く織り交ぜているのがポイント。どちらか
と言えば主軸は既に故人となっているキッドとロコの二人であり、彼等の
凄まじいキャリアがストレートに入ってくる。文体は淡々としたドキュメ
ンタリーなのに、そこには確実に「熱い何か」が。恥ずかしながら、二人
が永眠する件を読んでいる時、嗚咽を交えて号泣してしまった。

『爆弾小僧』『暗闇の虎』も、もうこの世に存在しない。
そんな揺るぎない事実を突きつけられた上で、改めてキッドとロコの稀有さ
を思い知った。

この本を書いてくれた新井氏を心の底からリスペクトすると共に、感謝の
言葉を贈りたい。「傑作」をありがとう、と。

・・・そして残された佐山先生、お願いだから1日でも長く生きてください
『黄金の虎』は、僕らの最後の牙城なのだから。

門茂男のザ・プロレス ≪角川抜粋版≫

#元祖暴露本


こないだ仕入れた例の稀覯本文庫の3冊を一気に読んだ。

『門茂男のザ・プロレス』シリーズ3冊で、タイトルはそれぞれ「力道山の
真実」「馬場・猪木の真実」「群狼たちの真実」。著者の門茂男とは、
力道山時代に東スポプロレス担当記者として活躍し、力道山没後は日本プロ
レスコミッションで長い間事務局長を務めたバリバリのインサイダー

佐山サトルの「ケーフェイ」やミスター高橋の「流血の魔術」以前に書かれた
プロレス内幕暴露系元祖で、オリジナルは「門茂男のザ・プロレス365」
いう8冊単行本。この角川文庫版は、そこからの抜粋である。

ここまで長い間プロレスを観ているから、仮に暴露本を読んでも今さら何も感
じない僕だが、多感な頃に365を読んだ時、そりゃあもうアタマに来た(^^;)。
小学校高学年くらいで『暗黙の了解』という概念(^^;)が染みついていた僕だ
が、これが「本」として流通している、という事実が気に食わず、完全黙殺
ていた少年期(^^;)。熱かったなぁ、あの頃は。

今読み返すと、暴露の部分も後にいくらでも出てくる他の作品に比べれば全く
大したことは無い。逆に【日本プロレス】という会社の経営に纏わる真実の部
分は今でも興味深く読める。こりゃ大人になった、ということでいいのかな?

この抜粋版も絶版であり、今では入手困難。
もし叶うのであれば、オリジナルの365全巻をもう一度しっかり読みたい。
復刊ドットコムあたりでなんとかしてくれないかなぁ・・・。

SAKURA GENESIS 2021

#IWGP #njSG


新日本プロレス「SAKURA GENESIS」両国国技館大会。
見どころは大小でそれぞれ一つずつ。大きい方はもちろん初となる『IWGP世界
ヘビー級タイトルマッチ』初代王者飯伏幸太が、NJC2021を圧倒的に制し
ウィル・オスプレイの挑戦を受けた。

この2人には珍しく、序盤は探り合うようなジックリした展開。おそらく世界タ
イトルマッチを意識してのことだと思われるが、個人的にこの2人にはそういう
トラディショナルは必要無い気がする。

それでも試合は徐々にヒートし、両者はいつものように難易度の高いムーブを
交歓。結果、【新世代の世界タイトルマッチ】に相応しい内容になったのだか
ら、さすがに二人とも非凡。特にオスプレイの成長が凄まじく、途中からゲー
ムメイクの全てを掌握とんでもない選手になった・・・。

生ヒザのカミゴエをスカされた飯伏を、ヒドゥン・ブレイド→ストーム・ブレ
イカーの必殺コースを決めたオスプレイが激勝。文句の付けようのない完璧な
勝利で二代目のIWGP世界王座を獲得した。

久しぶりの20台王者が誕生。これまで何人かの外国人IWGP王者が誕生したが、
僕のオスプレイの評価は歴代のどの選手よりも高い。このまま長期政権を築く
ことが出来れば、名実共に新日本プロレスのエースとなるハズ。このまま突っ
走って欲しいなぁ、マジで。

ちなみに小さい方UNITED EMPIRE「X」ヘナーレでした(^^;)。
ソンブラとかマーティ・スカルを期待してたので正直肩すかしだったけど、
ヘナーレが浮上するには良いキッカケ。今後を大いに期待します!

IWGP “WORLD” HEAVY WEIGHT CHAMPIONSHIP

#IWGP


新日本プロレスは本日の後楽園ホール大会の試合開始前、新設された
【IWGP世界ヘビー級王座】チャンピオンベルトをお披露目。かねてより
初代王者に認定されていた飯伏幸太が、このベルトを受け取った。

・・・以前も書いた通り、IWGP世界ヘビー級王座に一切の文句は無い
時代は変わるべきだし、今一生懸命闘っているプロレスラーに対して歴史
云々を論じるのは野暮であるし、失礼でもある、と今は思う。

IWGP王座が新しい歴史になったところで、新日本プロレスから昭和の匂い
が薄れたのは間違い無い事実。他の昭和に生まれたタイトル、IWGPタッグ
はまぁいいとして、せめてIWGPジュニア王座だけは歴史を継承して欲しい
ところ。

ただ、日本で初めて生まれた「文句の無い世界王座」の誕生は歓迎したい。
WWEが完全にエンタメに寄っている今、もしかしたらプロレス界で一番
価値のある世界王座になる可能性あり。あとはもう飯伏幸太次第。
ガンバレ!