死にゆく者の祈り

#教誨師


死にゆく者の祈り / 中山七里(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

読むべき本に困っていたところ、中山七里未読作品Kindle Unlimitedにあっ
たので、迷わずチョイス。タイトルからしてちょっとヤバい気がしたのだが・・・。

主人公は浄土真宗僧侶。単なる坊さんではなく、拘置所『教誨師』を勤め
ている特殊な坊さんで、仕事の内容をざっくり言うと「死刑囚に仏の道を説き、
安らかな死を迎えさせる」という感じ。

この教誨師が拘置所で出会った死刑囚が、なんとかつての親友。しかも、大学
山岳部時代遭難しかけた自分のを助けてくれた恩人であり、彼が死刑囚
であることを俄に信じられない。彼の犯罪に疑問を持った教誨師は、今一度彼
が犯したという「殺人事件」を洗い直すのだが・・・。

探偵役僧侶、という設定が非常におもしろい。
まぁ、罪人に過度な思い入れを持つ、というのは坊主としてどうかと思わなく
も無い(^^;)のだが、聖職者であってもやっぱり人間、という現実をイチイチ
再認識させられる。コレはけして否定的な意味ではなく、ある意味で清々しく
もある

正直、文体は非常に重い上に、仏教用語お経なども頻繁に登場するため、や
鈍重な展開になるのだが、タイムリミット「死刑執行」であるが故に、全
編に緊張感が漂う。おかげで緊張が切れることなく、最後の最後までドキドキ
しながら読むことが出来た。

お得意の「どんでん返し」もしっかり炸裂するので、ファンの方はご安心を。
なかなか重厚なミステリーなので、Unlimitedなウチに是非!

お電話かわりました名探偵です 復讐のジングル・ベル

#変則安楽椅子探偵


お電話かわりました名探偵です 復讐のジングル・ベル / 佐藤青南(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤青南お電話かわりました名探偵ですシリーズ第3弾
このシリーズのことは失礼ながら失念しており、新作が出たことを知らなかっ
たのだが、運の良いことにUnlimitedで登場。しっかり読ませていただいた。

110番通報に対応する通信指令センターオペレーターを担当する“イケボ”
童貞早乙女廉くんが主人公。ミステリーの登場人物を「くん付け」すること
は無いのだが、この人の良い意味での矮小さは、シリーズ3作を通して全く変わ
らず(^^;)。じれったさの極地みたいな性格で、最初は本当に嫌いだった(^^;)。
ただ、ここまで徹底されると一周回って可愛く見えて来ちゃうのだから不思議。

そしてその先輩、“万里眼”こと君野いぶき女史は相変わらずの名探偵
通報電話の応対だけで事件の真相を見抜いてしまう、という能力はかなり凄い
のだが、今回は結果に至るまでのプロセスがやや粗かった気が。それでも納得
は出来るので、大きな問題では無いのだけど。

そして前作から問題になっていた二人の恋愛問題に関しては、一応一歩前進
とはいえ、基本はまだダメダメ(^^;)なので、この件は今後に期待。
シリーズとして充分楽しめるな、この作品。

Borsalino

#今週のワンピ


先週号でエッグヘッドでの伏線がほぼ回収されたジャンプ『ONE PIECE』
ルフィがニカからの復帰で老人状態であったモノの、まで描かれたから、
今回は繋ぎの『世界情勢描写』になるかと思っていた。だが!!!

以下、単行本派・アニメ派の人たちはネタバレ注意!

・・・ちゃんとした『エッグヘッド編・最終回』だった。
言われてみれば闘いが終わった後の宴にルフィがほぼ不参加、というのは
絶対にオカシイし、船に乗せて来たベガパンク・リリスをそのままにして
次に進むことは出来ないに決まっている。この構成は納得しかない。

そして、久々にたった一コマ涙腺が崩壊してしまった海軍大将・黄猿こと、
ボルサリーノ怒りの叫び。どんな場面でも常に飄々とし、心を乱すことの
無かった「最強の敵」の一人だった黄猿が、涙を流しながら叫ぶ姿に、完全
に圧倒されてしまった。

・・・こういうのを見てしまうと、日本のマンガのクオリティを改めて認識して
しまう。こんな「絵」を出されたら、どんなにおもしろい小説でも絶対に叶わ
ない。ワンピース、すげぇよ、やっぱり。

Good-bye, EGG HEAD

#今週のワンピ


お盆明け、合併号を経てようやく連載が再開されたジャンプ『ONE PIECE』
既にクライマックスを終えた状態エッグヘッド編だが、合点のいかない点
も幾つか。コレを残したまま進むのか、と思いきや・・・。

以下、単行本派・アニメ派の人たちはネタバレ注意!

当然、ワケが解らなかったのが『時系列』ベガパンク伝説のオンエアは、
いつ・どこで・どのように撮影されたモノなのか?最大の謎だったのだが、
この辻褄は後で合わせてくる、と思っていた。
さすがの尾田栄一郎でも、コレをアジャストするのは至難の業かと・・・。

・・・すげぇ
今週のこの一話で、全てがサクッと腑に落ちる展開Dr.ベガパンク
付く天才だが、尾田栄一郎その上を行く、と改めて思い知った。なんと言
っても、納得のいかない説明が一切無いのだから

あの無能老害共が未だ生きていることは、まぁ納得いかない(^^;)が、一味
全員とボニー、そしてリリスは無事。コレは大勝利だよね、きっと。

とにかくありがとう、エッグヘッド!ワンピ史上、いちばん読むのが辛い
場面もあったけど、コレが無ければきっと“最終章”は台無しになったと思う。
次の島は遂にあの巨人の国か・・・。

転スラ日記(7)

#異質な重さ


転スラ日記(7)/ 伏瀬(原作)・柴(作画)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アニメからハマり、コミックから小説まで細かく読み込むようになった
「転生したらスライムだった件」。で、スピンオフ作品もチョイチョイ読む
ようになったのだが、その中でも安心してホッコリ気分で読むことが出来た
のが魔国・テンペストで暮らす人々の日常を描いた「転スラ日記」。しかし、
最新の7巻が・・・。

場面的にはファルムス王国の侵攻を受け、シオン・ゴブゾウらが一時的に命
を落とし、リムルが完全にブチ切れそうになるところ。本編でも泣きそうに
なるシーンが多々あったのだが、普段ほのぼの展開の転スラ日記でいきなり
シリアスな展開をぶちこまれちゃったモンだから、相当面食らった。

そして、まぁ泣けること泣けること(^^;)。大きく印象に残ったのは2つで、
1つは仲間の死を眼前にして怒りに震えるゲルドを、仲の良いホブゴブリン
の女の子が初めて声を発して諫めたシーン。そしてもう一つは、ランガ
普段けして仲が良いとは言えないシオンの死を愁うシーン。特に最初の方
は、ヤバいくらいに涙が溢れてしまった。

・・・スピンオフにまでハマるのはさすがにヤバイかも(^^;)。
出来るだけ手を広げないように注意しとかないと(^^;)。