絶叫

▼絶叫 / 葉真中顕(Kindle版)

WOWOW・連続ドラマW、3月にオンエアされるドラマ原作がこの「絶叫」
尾野真千子安田顕という、かなり好きな役者陣がメインを張る、という
ことで大きく期待してるのだが、何故だかこれは先に原作を読んでおこう、
という気になった。葉真中顕作品は初読だが、以前からリコメンドにちょ
くちょく登場。いい機会だ、ということで。

・・・うわぁ、久々に来たぞ、コレ(^^;)という感じ。
いろんな意味で「重い」、そして「ヤバい」(^^;)。読後感はある種最悪
イヤミス好きの僕なら大好物となってもおかしく無いのだが、この作品の
リアリティはあまりに凄い。人間のイヤな部分をデフォルメして書いてい
るのではなく、本当に普通の人間が陥ってしまいそうな転落劇をただただ
淡々と記述する。その様のジワジワ感虫唾が走り、どうしても続けて読
むことが出来ない。それでも先が気になる、という恐ろしい本

人物描写の巧みさに目を奪われがちなのだが、それが秀逸な叙述トリック
を形成。読後に改めて考えると、知らぬ間に多方面に張られた伏線がほぼ
回収されていることに気付き、感嘆の溜息を漏らした。驚愕、とまでは言
わないが、ラストの落としどころはこちらの予想を大きく覆すモノ。
読むのにパワーが必要だが、非常に良く出来たミステリーだと思います。

これはドラマ版に期待しちゃうなぁ・・・。
我らの安田顕が、どう考えても雰囲気の違うキャラをどう演じるのか?が
非常に気になるし、逆にどう考えてもこのキャスティングしかねぇだろ、
というキャラに扮する尾野真千子の演技がもの凄く楽しみ。

・・・現在、別の短編集を鋭意読書中。ちょっとハマるかも、葉真中顕。

ONE PIECE #92

▼ワンピース 92巻・花魁小紫登場 / 尾田栄一郎

ワンピース最新刊ワノクニ篇の第二幕。
「四皇」百獣のカイドウが遂に本領を発揮し、ルフィ一撃で倒される
という衝撃の展開からスタートする。いやぁ、このエピソードも長くなり
そうな気配濃厚(^^;)。まぁ、尾田栄一郎がいちばん書きたかった場面らし
いから、ちょっと大目に見た方が良いかも。

おそらくワノクニ篇に決着が付く頃、この大作は100巻を超えると思う。
まだ拾いきっていない伏線も多々あるし、僕が忘れている件はもっとたく
さんある(^^;)。危惧されたことだけど、ワンピースの完結を読むのは諦め
た方がいいかもしれない。

今回は表紙下1/3が非常に秀逸。そこらへんも注目!

週刊プロレス・2000号!

週刊プロレス、今週売り分で創刊以来2000号を達成。
記念号は増ページ、伝説の編集長ターザン山本の誌面登場、昔の企画の
リメイクなど、古くからのファンがニヤッとする誌面構成。というワケで、
さすがに今週号は「雑誌」を購入しました。

1983年の創刊から現在に至るまで、僕は週プロを1冊も読み逃していない。
本当は「ずっと買っている」と表現したいのだが、週プロがKindle Unlimited
の対象になってから店頭購入を止めた。まぁ、Kindle Unlimitedに入ったのは
週プロをリーズナブルに読むためであり、サブスクリプションとはいえその
分のお金は払っているから、「買い続けてる」のも間違い無いが(^^;)。

通常の雑誌でも休刊・廃刊が相次ぐ中、なんとか生き残っている週プロ
これは本当に特別な雑誌で、いろんな人に買い置き配送を依頼された。
海外出張中の人なんてのは当たり前で、長期入院中の人留置中の人(^^;)
など様々。こんなパワーのある雑誌は、おそらく他には存在しない。

願わくば、僕の今際の時間最新の週プロと共にありたい。
順調にリリースされ続けられるのであれば、ペースは2年で100号。だと
すると、2500号まではギリギリ付き合えると思うんだけどなぁ・・・。

虎の回顧録

▼虎の回顧録 昭和プロレス暗黒秘史 / タイガー戸口(Kindle版)

“野生の虎”こと、タイガー戸口の自伝。
御年71歳にして未だ現役。この間のジャイアント馬場没20年追善興行
バトルロイヤルにも出場し、元気なところを魅せてくれた、昭和を代表す
るプロレスラーの一人。

以前から著書熱望されていた戸口さん。
その理由は、Gスピリッツ等の雑誌で時折見掛けるインタビュー面白さ
にある。とんでもない毒舌に加え、ややヤバめの話題でもポンポン口に出
してしまう暴露癖(^^;)。コレを思いっきり楽しむには、何かを一冊仕上
げてもらうのが一番。ということで、期待大のまま読み始めた。

・・・いやぁ、どうだろ(^^;)?
これまで読んだ各種のインタビューに比べると、やや大人しい感否めず。
お得意の「他レスラーへの悪口」も若干歯切れが悪いのは、自分史という
性質上、一つのことに文章量を割けなかったのが原因なのだと思う。

それでも、日本プロレス時代から今に至るまで現役を続け、そのキャリア
の半分を海外で過ごした豪傑の語る自らの半生は本当に面白い。自分の
を隠そうともしない姿は潔くてカッコイイし、馬場猪木ですら一刀両
してしまう口の悪さもある意味ですばらしい。プロレスとは如何なる物
、が見えてくる佳作。プロレスファンならぜひ!

刑事に向かない女

▼刑事に向かない女 / 山邑圭(Kindle版)

Amazonのリコメンドで購入した作品。
山邑圭という作家は初めてなで調べて見たら、ゆうきまさみの代表作で
ある「機動警察パトレイバー」のノベライズ等で活躍している人らしい。
純粋な小説としては、コレがデビュー作の模様。

就職試験を間違って不本意ながら警察官となり、さらに手柄を上げてこれ
また不本意ながら刑事になってしまった今風の女性・椎名真帆が主人公。
世田谷で起こった女性刺殺事件を捜査中、真相に近づいたかな?というと
ころで理不尽に捜査を外される。納得出来ない真帆は休暇を取り独自に捜
査を始めるのだが・・・という内容。

テンポの良いミステリーで、主人公を始めとする個性的なキャラクター陣
もおもしろい。ギミックもかなりこなれており、デビュー作とは思えない
テクニシャンぶりを見事に発揮している、とは思うのだが、全体的な印象
ちょっと軽めなのがやや残念。ラストの処理をもう少しショッキングに
すれば、違った印象を持ったのかもしれないけど・・・。

とはいえ、将来が楽しみなミステリー作家。
おそらくこの作品にも続編があるだろうし、全く新たな作品もぜひ読んで
みたい、と思わせてくれた。次回作をお楽しみに!ということで。