柚月裕子作品。
「盤上」を読むつもりだったのだが、なんか凄そうな映画の予告編を観てしま
ったため、かんたんに予定変更(^^;)。第69回日本推理作家協会賞を受賞した氏
の出世作、「孤狼の血」を読むことに。
・・・いや、驚いた。
あまりに本格的なヤクザ小説が展開され、アタマがクラクラする程。
主人公こそ刑事・・・それもズブズブの悪徳刑事を上司に持つ大卒新任・・・だが、
基本線は昭和末期の博徒たちの物語。ちょっと間違ったら無駄になりそうな
暴力団の組織背景が事細かに記載され、まるでノンフィクションのようなリ
アリティが溢れている。
正直言えば、僕がヤクザ関係の作品で読み込んだのはヤングマガジンで連載さ
れていた「代紋TAKE2」くらいだし、男系の週刊誌で特集されるヤクザ記事を
愛読する習慣も無い。つまりこの手の作品に殆ど耐性が無いのだが、とにかく
グイグイ引っ張られ、翻弄された。おかげでラストがやたら意外(^^;)。後から
考えれば全然読めそうなオチなのに、完全にしてやられた、という状態。
・・・オンナなんだよなぁ、柚月裕子って(^^;)。
映画の記者会見を報じたページに写真が載っていたが、スラッと背の高くイン
テリジェンス感の溢れる姿に再び衝撃を受けた。こういう人がこういう小説を
書く、というギャップ。只者じゃないな、この作家。
久々に出会った「凄い」作品。
現在続編を読んでいるのだが、残りもうあと3ページ(^^;)。そちらのレビュー
は明日にでも。映画ももちろん観に行くつもりです、ハイ。