柚月裕子「孤狼の血」シリーズ最新作。
前作で亡き者となった悪徳刑事の意志を継いだ若きマル暴刑事・日岡のその後
が描かれている。ちなみに舞台は平成初期、暴対法施行前の時代。
期せずして警察組織の秘密を握り、マル暴として生きて行く決意を固めた日岡
だが、敢えなく左遷。山間部の駐在として、平和ながらも悶々と過ごす日岡が、
ある日とんでもない裏社会の大物と遭遇して・・・という物語。
前作よりも強調されているのが、「任侠」という思想。
現代のコンプライアンス的に考えれば、決して褒められる世界では無いのだが、
やはり“男”としてどうしようもなく惹かれてしまうダークワールド。僕らの世
界でもままある「清濁併せ呑む」現場が実に効果的にデフォルメされているか
ら、共感度はかなり高い。
・・・まぁ、共感するのはたぶん男性読者だけだと思うのだが、コレを書いてる
のは女性なんだよなぁ、実は(^^;)。もしかしたら任侠道とは、女性にもしっ
かり響く思想なのかもしれない、と感じた次第。
これは次作に期待大!・・・とか書きたいのだが、コレ以降はいわゆる暴対法の
時代。そうなっちゃったら、ここまで一般を惹き付けるエピソードは激減しち
ゃうかも・・・。
でも、続編はあって欲しい!
そして個人的な柚月裕子強化週間はまだまだ続きそう。