向こう側の、ヨーコ

▼向こう側の、ヨーコ / 真梨幸子(Kindle版)

真梨幸子の新作。
今回はまず表紙のデザインに度肝を抜かれた。こんな表紙の本、普通だったら
絶対に誰も買わない。だって、単純に気持ち悪いし、不快だもの(^^;)。
しかし、最低とも思えるこの表紙ですら、物語の世界観の一部。なぜなら・・・。

イヤミスのお手本、と言って過言の無い傑作、と最初に断言しておく。
何人も登場する更年期のバ・・・熟女たちが、これみよがしに気持ち悪い動き
見せる。結婚せず、自分をいわゆるキャリアウーマンだと思い込み、あらゆる
ことに上から目線で講釈を垂れるババ・・・熟年の女性たちは、醜悪鼻につき
そして思い切り笑えるのだから凄い。

この表紙の人は絶対にモデルが存在する(ハズ^^;)。
僕を含めた多くの人たちが不快に思うあの文化人ズラした作家のような人たち
が、到底正気とは思えない戯言を繰り返した上で、相変わらず最悪の結末を迎
えるのだから、こんなに痛快な物語も無い。全てのイヤミスマニアは、全員が
幸子サマにひれ伏すべきだ、と強く思う。

そしてこの作品、場面展開の巧妙さにも注目すべき。
いわゆる「なんちゃらワールド系」のお話、と終盤までずっと思い込まされて
いたのだから、あまりにも秀逸叙述トリック。純粋なミステリー作家として
の腕も相当上がっている。

幸子サマ、新しい作品が出る度に魅力が増す
そういう作家が居てくれる、というだけで、活力が湧くなぁ、マジで。