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▼BACK 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 / 内藤了(Kindle版)

内藤了・藤堂比奈子シリーズ第七弾。
前作「ONE」でシリーズ最大とも言える事件が解決したため、新章へ。
これまでの藤堂比奈子シリーズと大きく違うのは、プロローグの舞台が
「外国」であること。八王子を根城にしている猟奇犯罪捜査班をコレにど
う絡ませるのか、お手並み拝見という感じで読んだのだが・・・。

・・・いやぁ、お見事
やはり前作はターニングポイントだったらしく、今回から構成はジワジワ系
へシフトチェンジ。もちろん、すっかりお馴染みの主要キャラたちも大活躍
するし、これまで通りにスリリングな内容ではあるのだが、犯人正体はも
ちろん、目的すらハッキリしない状態のままジリジリ進む物語。こういう
場合、下手をすると退屈してしまう場合が多いのだが、今作全篇に漂う薄気
味悪さ一級品。全く退屈せずに読了した。が・・・。

またやってくれやがったよ、「続きは次巻」(^^;)。
そして今回のコレはもう続きが気になって気になってしょうがない(^^;)。
続編はまたもやのリリースが予告されているが、正直そこまで待てる自信
が全く無いんですけど、内藤先生

とにかく待つしか無い。ちょっとでも早く出てくれるといいんだけど。

徒花・悪役ブルースを発掘!

Kindle Unlimitedサービスに登録し、週刊プロレス定額購読の体勢に入った
のだが、ついでに面白そうな小説も片っ端から読み漁っている状態。んで、
読み放題ストアで“プロレス”というワードで検索したら、興味深い作品が
多々出て来やがった。特に驚いたのは・・・。

↑↑「悪役ブルース」
原作はタイガーマスクの梶原一騎、作画は峰岸とおる週刊少年マガジン
で連載されていたのだが、梶センセ不祥事(^^;)でいきなり連載中止にな
った、悪い意味で“伝説”とされる幻の作品である。

将来有望な空手家がTV番組の企画で外人悪役プロレスラーに叩きのめされ、
そのままそのレスラーに弟子入り。アメリカ・メキシコに渡り、プロレスで
ヒール(悪役)として活躍する、という話なのだが・・・。

梶センセの作品によくある展開なのだが、途中から実在するプロレス団体
リンクしてくる。上の画像はメキシコ遠征に来た初代タイガーマスクと、
作品上の主役であるザ・カミカゼ=吹雪純也が激突するシーン。まぁ、カミ
カゼはこの後タイガーにボッコボコにされてしまうのだが(^^;)。

この話は展開を見せ、カミカゼは当時悪役として絶頂だった国際軍団に入る。
さぁこれから!と言うところで連載が終わってしまったのだから、当時の僕
を含めたプロレスファンの落胆ぶりは凄まじかった(^^;)。
梶センセがご存命なら、今からでも続きを書いて欲しいくらいなのだけど・・・。

Unlimitedにはその他にも「プロレススーパースター列伝」やら「最狂超プロ
レスファン烈伝」などの読み放題コミックが多数あり。いや、マジで申し込
んでおいて良かったよ、Unlimited。

▼悪役ブルース1 /  梶原一騎・峰岸とおる(Kindle版)

ニュークリアフュージョン

▼水鏡推理5 ニュークリアフュージョン / 松岡圭祐(Kindle版)

水鏡瑞希シリーズ第五弾
前作からたった2ヶ月。松岡圭祐、手が早いにも程があります(^^;)。ついて
いくのが正直大変なんですけど(^^;)。

水鏡瑞希さん、5作目にして異動。これまで勤務した文科省
「研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォース」から
「研究公正推進室」へ。物語の性格上、「不正を暴く」というのは変わりよ
うが無いので、ちゃんといつも通りの展開になる、と先に言っときます(^^;)。

今回のネタは「核融合」
・・・いやぁ、もういきなり解りません、相変わらず(^^;)。かんたんに言えば
水素をエネルギーに変換するときに起こすアクションの一つで、この研究に
予算が出る・出ないの攻防戦。こういうすっごく固いネタに、「少子化問題」
を絡め、ある程度解りやすくしてくれるところがさすが。おかげで読んでい
る最中には自分が核融合研究のエキスパートみたいな気分になるから不思議。
まぁ、読了後しばらくするとなぁんにも理解してない自分に気付くのだが・・・。

水鏡シリーズはどれから読んでも全く問題の無いシリーズだが、少なくとも
今作は小難しいテクノロジーの話切ない人間ドラマが絶妙のバランスで
同居しているから、初心者でもOKかと。しっかり進化してるなぁ、このシリ
ーズ♪

ところで、「核」を示す英語をカタカナで書くと、「ニュークリア」なのね。
昔は「ナックリアー」と記載する人が多かったんだけどなぁ・・・。
「ナックリアーフュージョン」の方がカッコイイ気がする、語呂的には。

ニシカレ♪

▼ニシカレ♪~第二子は彼の子を~  / 菅原裕一(Kindle版)

「ツナウォーズ」がそこそこ面白かったので、菅原裕一の別作品をUnlimitedで。
氏には東スポ官能小説大賞グランプリ作家という肩書きがあり、さらにAmazon
でこの作品はアダルトカテゴリに登録されている。そう、当初の目的はこの
「官能」の部分。あの東スポがグランプリを上げるくらいだから、どんなにイヤ
らしい小説なのか?、と相当期待してたんだけど・・・。

IT関連企業の重役と結婚し、何不自由の無い生活を送っている主婦が、悪友に
たらしこまれて元カレの子どもを産み、それを現在の夫の子どもとして育てる、
という恐ろしい計画を実行するサマを描いた物語。う〜ん(^^;)。

内容はもちろんドロドロであり、それなりに艶っぽい場面もあるのだが、興奮
するとかそういう種類の話では無い。伏線らしきものも随所に貼ってあり、
読み方によってはサスペンスっぽいところもあるのだが、残念ながらリアリティ
が一切感じられない(^^;)。場面転換新たなキャラの登場もかなり唐突。なん
か昔のケータイ小説みたいだなぁ、とか思ったのだが、読後に調べてみると初出
ケータイだったらしい。それを知ったとこでちょっと納得してしまった。

まぁ、凡百のケータイ小説と比較すれば、かなり面白い作品だとは思う。
アイデアも人間ドラマもかなりイイと思うから、ちゃんとした“小説版”に書き直
してくれたらいいかもしれない。やっぱ横組みって読み辛いし(^^;)。

ただ、個人的に納得行かないのが、地理的な考証を一切やっていなさそうなと
ころ。コレは言っとくけど、姉ヶ崎には港はあっても海岸なんて存在しない
砂浜とかあったら、僕はもう少し泳げるようになってたハズだぞ(^^;)。

雪煙チェイス

▼雪煙チェイス / 東野圭吾

東野圭吾最新作。
1ヶ月ほど前に発売された「恋のゴンドラ」“雪山シリーズ”のスピンオフ
だとするなら、こちらは同シリーズの正統な系譜であるサスペンス。何故だか
解らないのだが、東野圭吾はスキー・スノボモノ“いきなり文庫”でリリース
する場合が多い。個人的には大歓迎なのだけど。

東京で起きた強盗殺人事件を軸にしながら、ストーリーの殆どは長野の巨大な
スキー場で展開される。容疑者・警察、そしてスキー場のスタッフと語り部は
どんどん変わるが、それぞれがそれぞれに逼迫した事情を持っている、という
展開は東野圭吾の真骨頂と言って良い。最後の方にはそれなりのミステリー
要素、下手すれば恋愛的なテイストまで入れて来るあたりがニクい

正統な系譜なだけに、「白銀ジャック」「疾風ロンド」に登場して主役を張っ
根津・千晶も出陣。ただし今作では重要な脇役に徹している。あれだけ個性
豊かなキャラが脇に引いても、さながらゲレンデのように物語がキラキラして
いる。この人、本当にウィンタースポーツを愛してるんだなぁ、きっと。

疾走感の溢れるサスペンスが好きで、尚且つスノーボード愛好家なら鉄板。
残念ながら僕はスノボの良さが全く解らない(^^;)のだが、それでもそれなり
に読んでいて楽しい作品。安定してるなぁ、この人やっぱり♪