悪いものが、来ませんように

#叙述トリック


▼悪いものが、来ませんように / 芦沢央(Kindle版)

約4年ぶりの芹沢央作品。
前々からタイトルが気になっていたのだが、Kindle Unlimitedになっ
ていたのでコレ幸い、とばかりに読んでみた。

主人公である二人の女性が基本の語り部であり、そこに周囲の人間
証言が挟まる、という構成。この証言から主人公二人が何らかの
事件に巻き込まれている、ということが解って来るのだが、最後に
とんでもないオチが待っている。

・・・いや、見事な叙述トリック
事件の概要が解った段階で思わず呆気にとられ、冒頭の章を読み返
してしまったほど。ネタバレすると申し訳無いので詳しくは書かな
いが、ミスリードを誘う構成が非常に秀逸。中山七里や最近の真梨
幸子に勝るとも劣らない。

ミステリーとしてもすばらしいが、ドロッとしたオンナの心情描写
もなかなかのモノ。かなりの長編だが、いろいろな意味で退屈しな
い、凄い作品だと思う。

ということで、今は別の芹沢央作品を鋭意読書中。久しぶりにハマ
れる作家が出て来たかも!

タケ・ササ手入れのコツ(?)

#ミス


Amazonのマーケットプレイスで購入したが届いた。
以前から気になっていた本で、読むのが非常に楽しみだったのだが・・・。

『育てて楽しむタケ・ササ手入れのコツ / 内村悦三』
タケやササを育てている人には必須の指南書であり、この本があれば
初心者でもかんたんにタケ・ササが育てられ・・・、いや、知るか!!

当然ウチにはタケ・ササの類を育てていないし、実家にも無い。
親戚がちょっとした竹藪を持っているけど、特に世話をする必要は無い。
だから僕がこの本を注文する必要は無く、もちろん注文した覚えも無い。
どういうことかというと、まぁ単純な配送ミス(^^;)。

注文したのは↑↑コレだったのだけど(^^;)。
もちろんAmazonに報告、返金もして貰ったのだけど、さてこの本を
どうすべきか・・・。悩むな、若干(^^;)。

俺が戦った真に強かった男

#風雲昇龍


▼俺が戦った真に強かった男 / 天龍源一郎(Kindle版)

稀代の名プロレスラー、天龍源一郎の著書。
自身のプロレスキャリアの中で共に闘った「強かった男」たちについて書か
れた作品だが、コレは単なる“強い・弱い”ではなく、天龍さんが“好き”なタ
イプのプロレスラーに関する記録、とするのが正しい。

主に取り上げられているプロレスラーは全12名
ジャイアント馬場、アント二オ猪木、ジャンボ鶴田、阿修羅原、スタン・ハ
ンセン、ブルーザー・ブロディ、ミル・マスカラス、ザ・グレート・カブキ、
前田日明、三沢光晴、武藤敬司、そしてオカダ・カズチカ

注目すべきは、この中に長州力の名前が無いこと。コレについては、もしか
すると深い意味があるのかもしれないが、単純に忘れていただけの可能性も
ある。こんなところにも問いかけを残すところが、天龍さんの魅力の一つ。

暴露的な要素が一切無い、オーソドックスなエッセイ集だが、読後爽やかに
『漢』を感じられる。あ、僕は天龍源一郎が好きだった、と改めて思い出さ
せていただいた。

天龍さんが引退してもう8年が経過する。あれからもプロレスは面白いし、
凄い試合もたくさん生まれた。今の選手たちがいつか引退して本を出した時、
同じように思わせてくれると嬉しい。そこまで生きられるかどうか定かでは
無いのだけど。

Mr.REIJI MATSUMOTO

#999


昭和を代表するマンガ家であり、日本のSF・ファンタジーの第一人者でもあっ
松本零士さんが、2月13日に急性心不全で死去。享年85

僕らの世代に生まれた人たちなら、誰もが一度は松本作品の薫陶を受けた、と
言って過言は無いかと。爆発的にヒットした『宇宙戦艦ヤマト』には、何故か
興味をそそられることは無かったが、その後の『銀河鉄道999』には完璧にハマ
った。連載されていた少年キングを毎週購入し、更に単行本を発売日に購入・・・。
今を以て続いている僕のマンガ読書スタイルは、間違い無く幼き頃の999から始
まった。

そして、ヤマトや999が大人気にならなければ、『アニメ』が今のようなモノに
はならなかった気がする。この手の専門誌が続々発刊し、「声優」という職業に
スポットが当たったのは、松本零士作品があったからこそ、だと思う。

僕たちが影響を受けた昭和の偉大なマンガ家は、その殆どが鬼籍に入った。
ちばてつや先生永井豪先生、お二方は1日でも長くご健在でいてください・・・。

そして松本零士先生
僕にメーテルエメラルダスを与えてくれて、本当にありがとうございます。
ただ、999の幕の引き方に関しては若干の疑問もあるので、できればその辺りの
お話を是非聴かせてください。

だからまた必ず、どこかで

▼銀河鉄道999① / 松本零士(Kindle版)

銀河鉄道999・全21巻(Kindle版)

境界線

#罪


▼境界線 / 中山七里(Kindle版)

またもや読むべき本が無くなり、Kindle Unlimitedをチェックして
いたところ、中山七里作品、それも少し新しめのモノがあることに
気付き、迷わずダウンロード。中山七里なら内容に何の不安も無い
と判断した結果だったのだが・・・。

・・・最初から最後まで、読むのがかなり辛かった
東日本大震災が起因となるミステリーであり、ところどころであの
時の酷い光景がフラッシュバックしてしまう。未だにあの震災は僕
に幾ばくかのトラウマを残しているらしく、3.11をモチーフにした
作品は、これまでなんとなく避けて来た気がする。

この物語の中での『罪』に対し、最初は異常なくらいの嫌悪感を持
った。おおよそ考え得る犯罪の中でも、オレオレ詐欺と並ぶくらい
最低最悪であり、犯人は非道い目に遭うのが当然、と思って読んで
いたのだが、終盤でその感覚が思いっきり揺らいだことに自分でも
驚いた。もしかするとコレは、氏お得意の「どんでん返し」と同じ
効果なのではなかろうか?

考えさせられる事の多い、非常に重い物語。この作品、僕はいつに
なったら積読出来るのか、未だに予測が付かない・・・。