部屋・アウトサイド

▼部屋<下> アウトサイド /  エマ・ドナヒュー (著)・ 土屋 京子 (訳)

「部屋」、ようやく下巻を読み終えた。
語り部は今回もジャック(^^;)。まぁ、予測していたことではあったのだけど、
このガキの喋り言葉は鬱陶しいことこの上無い。忙しかったとは言え、たった
1冊の文庫を読むのに4日近くを費やした。う〜ん・・・。

サブタイトルは「アウトサイド」
上巻の最後で見事に“大脱走”に成功したジャックとその母親「その後」の話。
一般社会は母親にしてみれば生還だが、ジャックにとっては初めての場所
自我が芽生えてから突然“普通”の生活に放り込まれたジャックの気持ちには
もちろん共感出来ないが、その苦しみだけは手に取るように解る。ただ読む事
しか出来ないのに、強烈な痛さだけは随時襲ってくる。
・・・出るもまた地獄、ということなんだろうか?

そういう意味で凄い作品ではあるのだが、ハッキリ言って順番間違えた(^^;)。
この小説を読んだ後に映像化されたモノを観よう、という気になる人が居る
としたら、その人格を僕は否定してしまうかもしれない。それくらい後味の
悪いストーリーであり、その世界観を思い返すとゲンナリする。

さらに言うなら、翻訳がハッキリと「失敗」と言い切ろう(^^;)。
5歳児の喋り言葉をああいう日本語で表記する、というのは、大きな勘違いの
ような気がするのだが。“知的レベルの高い5歳”日本的な幼児言葉の羅列で
誤魔化すのは正直卑怯だと思うし、もう少し言葉のレベルを上げて表現しても
腕の立つ人なら成立したように思う。
違う訳者の翻訳なら、と考えると惜しいなぁ・・・。

ただ、もちろん万人にはオススメしません(^^;)。
映画先に観ればよかったな、マジで。