ASO ROCK FESTIVAL 2018

阿蘇ロックフェスティバル
震災のあった2年前に参加する筈だった場所に、ようやく来ることが出来た。
残念ながら朝から雨が降り、状況は決して良くなかったが、昼を過ぎると・・・。

雄大な阿蘇山に射す陽光。
山肌が殆ど、という風景は、関東周辺ではなかなか観られない雄大な景観
仕事は正直かなりキツかったけど、この景色がこの場所で観られた、という
だけで大満足・・・だと思ったのだが!

大トリで出演した泉谷しげるの雄姿に、本当に涙が出た
日本に残り少なくなった真性のロックンローラーは、圧巻のパフォーマンス
を魅せてくれた。観客の拍手を待たずにインターバル無しで自らアンコール
へ突入し、名曲「野生のバラッド」を熱唱。この曲は約20分に及び、その間
に観客のテンションは一切落ちず。昭和のアーティスト底力に唸りつつ、
70歳になっても全く衰えを見せない泉谷の姿に驚愕した。この場に居ること
が出来たのは、極上の奇跡かもしれない。

熊本、サンキュー! 阿蘇山、サンキュー!
来年もまた来るぜ!(・・・呼んでくれるといいなぁ、本当に^^;)

向こう側の、ヨーコ

▼向こう側の、ヨーコ / 真梨幸子(Kindle版)

真梨幸子の新作。
今回はまず表紙のデザインに度肝を抜かれた。こんな表紙の本、普通だったら
絶対に誰も買わない。だって、単純に気持ち悪いし、不快だもの(^^;)。
しかし、最低とも思えるこの表紙ですら、物語の世界観の一部。なぜなら・・・。

イヤミスのお手本、と言って過言の無い傑作、と最初に断言しておく。
何人も登場する更年期のバ・・・熟女たちが、これみよがしに気持ち悪い動き
見せる。結婚せず、自分をいわゆるキャリアウーマンだと思い込み、あらゆる
ことに上から目線で講釈を垂れるババ・・・熟年の女性たちは、醜悪鼻につき
そして思い切り笑えるのだから凄い。

この表紙の人は絶対にモデルが存在する(ハズ^^;)。
僕を含めた多くの人たちが不快に思うあの文化人ズラした作家のような人たち
が、到底正気とは思えない戯言を繰り返した上で、相変わらず最悪の結末を迎
えるのだから、こんなに痛快な物語も無い。全てのイヤミスマニアは、全員が
幸子サマにひれ伏すべきだ、と強く思う。

そしてこの作品、場面展開の巧妙さにも注目すべき。
いわゆる「なんちゃらワールド系」のお話、と終盤までずっと思い込まされて
いたのだから、あまりにも秀逸叙述トリック。純粋なミステリー作家として
の腕も相当上がっている。

幸子サマ、新しい作品が出る度に魅力が増す
そういう作家が居てくれる、というだけで、活力が湧くなぁ、マジで。

証言UWF 最終章

▼証言UWF 最終章 3派分裂後の真実 / V.A

以前レビューした宝島社の書籍「証言UWF 最後の真実」続編
宝島のプロレス書籍のわりに読み応えの深い内容だった前作は個人的に評価が
高かったのだが、二匹目のドジョウを狙うにはちょっと早い気が(^^;)。まぁ、
そういうところも宝島っぽくていいんだけど(^^;)。

今回は新生UWF分裂後に出来た藤原組・UWFインターナショナル・リングス・
パンクラス・バトラーツのうち、Uインター・リングス・パンクラスの選手や
関係者たちが「それからのU」を語る内容。UWFに関してはもう出尽くした感
が正直あるが、分裂から各団体の旗揚げ・崩壊(パンクラスのみ存続)までの
エピソードでそれほど詳しいモノは無かった。そういう意味では、目の付け所
が凄く良い。悔しいが、今回もあっという間に読み切ってしまった。

印象に残ったのはこのシリーズ初登場の元リングス・山本宣久と元Uインター
金原弘光の談話。逆に、この本にボブ・バックランドは登場する必要は無か
った、と思った(^^;)。

前作ほどの衝撃は正直無いが、今作も暴露の香りがしない良質な内容。
こういうテイストで宝島からNOAH全日本のことを書いた本が出ればいいん
だけどなぁ・・・。

傑作の予感!「パパはわるものチャンピオン」

新日本プロレス・棚橋弘至主演映画「パパはわるものチャンピオン」の公開日
が、2018年9月21日に決定。もしかしたら単館系かもしれない、と予想して
いたのだが、なんと全国ロードショーに。

確かに、他のキャストもやたら豪華。木村佳乃仲里依紗に加え、寺脇康文
大谷亮平、そして我らが大泉洋さんも出演するのだから、そりゃあ全国扱いに
なるだろう。そんな状況で主役を務めるのが棚橋弘至。コレは凄い賭けだなぁ、
と正直思っていたのだが・・・。

・・・いや、もしかしたらこの映画、「傑作」の評価を受けるかも。
タナ存在感が他の有名俳優陣に全く引けを取っていないし、表情が本当に
すばらしい。そしてこの予告動画を観た段階で、大粒の涙をこぼしてしまった。

コレはプロレスファンとしても映画ファンとしても、絶対に観に行くべき映画
このマスク、映画館で販売しないかなぁ・・・。

参考:棚橋弘至主演映画!『パパはわるものチャンピオン』(OFFICIAL)

↓↓原作はこちら!↓↓
 

慈雨

▼慈雨 / 柚月裕子(Kindle版)

柚月裕子、次の一冊は退職した刑事を巡るドラマ。
現役時代に担当した幼女殺人事件である「悔い」を残した元刑事は、定年退職
後ほどなくで妻を伴い四国八十八ヶ所巡礼の旅に出る。踏破すれば何かが変わ
るかも、という淡い期待は巡礼が進むに連れ稀薄になって行くが、そんな中で
かつての部下から捜査協力依頼の電話が。皮肉にも、その事件もかつてと同様
の幼女殺人事件で・・・という物語。

いやぁ、重いです、実に。
ただ、全てが“意味のある重さ”であり、無駄が一つも無いところがこの作家の
凄さ。もちろん最後には事件は解決するのだが、事件だけでなく様々な人物の
心の葛藤、そして過去の事件までも悉く解決して行く。このカタルシス、ちょ
っと凄い才能。柚月裕子、しばらくハマり続ける気がする。

そして余談。
僕は、物語に登場する88の寺全てがピンとくる。岩屋寺焼山寺など、いわ
ゆるスター級とされる寺でのエピソードが細かいのが非常に嬉しい。もしかし
たら女史もどうバカの一員かも? と一瞬思ったが、だとするなら岩屋寺での
食事はクリームパンにするハズ(^^;)だなぁ、と。そうだったら嬉しいのに・・・。