絶望の記憶

Amazonプライムにて本日配信の「有田と週刊プロレスと」
先週に引き続き、テーマは「高田延彦vsヒクソン・グレイシー」、その後編。

・・・このテーマ、本当に観るのが辛かった
もう何年も経過しているのに、あの時に感じた絶望感は昨日のことのように
思い出せる。あの日からおよそ2週間の間、僕は全く使い物にならなかった。
それ以降はなんとか持ち直したものの、心の枷は全く取れず。この重りはわ
りと長く僕の心に居座り続け、やや楽になったのはアレクサンダー大塚
マルコ・ファスに快勝した時。さらに完全復活は桜庭和志ホイス・グレイ
シー狩り達成まで待たなければならなかった。

番組で有田や大木が言ったように、あの日、試合終了後の東京ドーム近辺に
は、夢遊病者のような人たちが本当にたくさん居た。もちろん僕もその1人
であり、自分の感情をどう制御したらいいか解らなかった。覚えているのは、
水道橋-飯田橋間のたった一駅区間の総武線内で、ガマン出来ずに嗚咽を漏ら
して泣いたこと。同じく水道橋から電車に乗った人たちの殆どが、そんな僕
をチラッと見て、すぐに視線を外し、自らも天井を見つめていた。

あの時のことを、否応なく思い出す。
正直、途中でちょっと泣いてしまった(^^;)かもしれない。
まさかこの番組で泣かされるとは、思いもしなかったんだけど・・・。

実録・国際プロレス

▼実録・国際プロレス / Gスピリッツ編集部

今や「プロレス史研究家のバイブル」とも言える雑誌・Gスピリッツ
その人気連載「実録・国際プロレス」を一冊にまとめたもの。基本、創刊号
からGスピリッツを愛読している僕であり、バックナンバーも(珍しく)全て
所持している。つまり、本当は必要の無い書籍なのだけど・・・。

↑↑まぁ、このを見て欲しい。
ちょっとした国語辞典を凌ぎ、さながら広辞苑のごとき厚さ。考えてみれば
Gスピリッツの創刊は2007年、連載はほぼ同時に始まった筈だから、物量は
確かにこのくらいは間違い無い。さらに言うのなら、いくつか掲載されてい
ないインタビューもある筈。にも関わらず、ということ。

昭和からのプロレスファンにとって、国際プロレスは忘れ得ぬ存在。
新日本・全日本メジャーとするのなら、国際は間違い無くマイナーであっ
たのだが、であるが故のワクワク感は凄かった。来日する外人のニックネー
ムは「放浪の殺し屋」(ジプシー・ジョー)、「気狂い犬」(マッドドッグ
・バジョン)、「流血大王」(トーア・カマタ)など、ちびっ子ファンを震
え上がらせるものばかり。これを迎え撃つのが我らのラッシャー木村であり、
アニマル浜口マイティ井上猪木鶴田に比べれば華が無く、派手さには
欠けるが、その泥臭い男らしさが我々を魅了。グレート草津のような、若干
思い入れを持ちづらい(^^;)選手も居たが、国際の所属選手は全員が「哀愁」
を漂わせており、そこになんとも言えない愛着を感じていた。

そんな哀愁の第三団体・国際プロレスの元所属選手団体関係者雑誌・新
聞記者カメラマンまで、23名に渡る人物に深く切り込んだ、とにかく濃い
ンタビュー集

内容が内容な上に、価格もかなりのモノなので、プロレス史に興味のある人
にしか勧められない本だが、我々のような輩にはある意味で「聖典」国際
の歴史は、昭和プロレスの歴史そのものだと思う。

・・・ただ一つ。
残念なのは、大エースであり後期国際の象徴であった「金網の鬼」、最後の
IWA王者だったラッシャー木村の「声」が聞けなかったこと。それがあったら
完璧だったなぁ、この本・・・。

怪物狩り

▼怪物狩り-世界”旅的”個人釣行ビジュアルガイドBOOK / 小塚拓矢

ヴィレッジヴァンガードで立ち読みし、ガマンしきれずにAmazonに注文し
てしまった作品。著者の小塚拓矢氏は、大学在学中から「デカい魚」を求め
世界各国を渡り歩いたアングラー。誤解を恐れずに、そして失礼を承知
言うのなら、「ちょっとイッちゃってる釣り人」である。

掲載されている釣魚たちが、まぁ異様にグロテスクなモノばかり(^^;)。
特に世界各国のナマズ系のおサカナたちは迫力満点であり、それでいながら
にしてキモカワイイ感じ(^^;)までするから不思議。とはいえ、僕を含めた
殆どの釣り人の憧れであるピラルクーバラマンディパイクといった海外
のターゲットに加え、イトウという国内最強の獲物も掲載されているのだか
ら、グラフとしては満点。いや、120点を付けてもいいと思う。

難があるとすれば文章だけど、これはハッキリと荒削り。しかし、勢いだけ
は写真と同様恐ろしいモノがあり、溢れる臨場感は本当にすばらしい。ただ、
いわゆる釣行記としては最高だけど、旅行記として読むと決してマネしたい
とは思えない(^^;)。まぁ、それもきっと狙いなんだろうけど。

ともかく、「大物」に一度でも魅了された釣り人なら間違い無くハマる!
一度釣ってみたいなぁ、バラマンディ・・・。

ノーマンズランド

▼ノーマンズランド / 誉田哲也(Kindle版)

誉田哲也・ストロベリーナイトシリーズ、待望の新作
前作、同じく人気のジウシリーズとのコラボ「硝子の太陽」から1年半
ザッツ・クールビューティー姫川玲子は、やや哀愁の漂う年代(^^;)に差し
掛かっており、その部分がやや寂しくもあるのだが・・・。

今回のテーマは、ある意味タイムリーな「北朝鮮による拉致」
そのテーマが見えてくるのは中盤に入ってから、という構成がすばらしい。
物語はもちろん「重い」のだが、お馴染みのストロベリーナイターズオール
スターがほぼ全て登場し、全員がそれなりに活躍するのだから、完全に目が
釘付けの状態に。このシリーズの誉田哲也は百発百中。打ち損じたところを
観た覚えが全く無い。

そして、初期の頃に漂っていた恐ろしいまでのグロさが、なんと復活
久しぶりに読んでいて目を背けたくなるような拷問描写があり、古くからの
ファンなら必見。個人的には、やっぱりちょっと苦手ではあるんだけど(^^;)。

ジェットコースターのような展開に加え、鋭すぎるテーマ選択と魅力的なキ
ャラクター。ストロベリーナイトシリーズは、事実上警察小説の最高峰と言
って問題無い気がする。

この原作をベースにした映像化にも期待。果たして竹内結子は、どんな演技
を魅せてくれるのか? ご時世的には期待薄なんだけど・・・。

Stephen King’s 「IT」2017

舞浜シネマイクスピアリ、レイトショーにて「IT」を観た。
スティーブン・キングの同名小説が映画化されたモノで、映像になるのは
コレが初めてでは無い

1990年米ABCで短期のテレビシリーズとして制作され、その翌年くらい
に日本のレンタルビデオ店にも並んだ。当時、B級ホラーを好んで観ていた
僕はすぐに飛びつき、そこで衝撃を受ける。僕とスティーブン・キング作品
との付き合いは、実はこのTVドラマから始まっており、そういう意味でも
思い入れの強い作品

2017年版の「IT」、正直過度な期待を極力持たずに鑑賞した。
あれから30年近くが経過し、僕の中で「IT」は美化されまくっている(^^;)。
あるプロレスラーは「思い出と闘っても勝てねぇよ」と言い放ったが、正に
ソレと同じ心境。正直、ただガッカリするのがイヤだったのだけど・・・。

・・・2017年版、すげぇ!
極悪ピエロ・ペニーワイズが登場するシーンで何度後ろに仰け反ったか解ら
ないくらい怖かった。最近ホラーからかなり距離を置いていたから、こうい
う感覚が非常に新鮮。ちょっとホラー熱がぶり返してしまった程。

↑↑は1990年版2017年版のペニーワイズを並べたモノ。
・・・怖さの種類は違うけど、どちらもやたら怖いのは変わらない(^^;)。
しばらく夢に出るな、きっと・・・。

だから、やっぱり言い換えといた方がいいと思う。
過去と闘って、何が悪い!と。